嗚呼、青春のホリゾントライト!

作者 成井露丸

誰だってみんな、青春は終わりなんかじゃない

  • ★★★ Excellent!!!

高校演劇。
それが、この物語の舞台だ。

主人公の昴は、自分の現役時代に起こった「悲劇」により――不完全燃焼の気持ちを背負ったまま、青春の幕を閉じてしまった。

それが三年後、大学生になった昴に、当時の恩師から声がかかることになる。母校の後輩たちを、病床の恩師に変わって指導してくれないかと。

しかし、引き受けた昴を待ち受けていたのは、演劇部の看板女優からの強い反発だった――。


そんな舞台のなか。この物語は、日常の積み重ねをしっとりと描きながら進んでいく。

主に昴の視点から、ときに、まだ青々しい高校生の視点から。
それぞれの立場から感じたこと、想いを、丁寧に丁寧に重ねながら、少しずつ前に進んでいく。

喜び、憧れ、悲しみ、後悔――たくさんのものを背負いながら、みんながみんな、誰かを想い、誰かを支え、そして自分の道を探っていく。

奇をてらうことなく、その様を一途に追った優しい読後感の作品。

これは、青春を失ってしまった気がするあなたに、捧げられた物語だ。
そしてきっと、読み終えたときに気がつくだろう。
誰の青春も、失われてなんかいない。
どこかに、置き忘れてしまったかもしれないけれど。
その青春はきっと、いつだって、また――。

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