No.109 なんでええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーー!!!!!?????

「そこにいるのは誰だっ!!」




聞こえたのは男の声。

しかも、うちが聞いたことのある声、というかよく聞いている声だった。


フレイ!?


アイツは八つ橋の上に立ってうちに向かって叫ぶ。


チッ。

よりよって一番バレたくない人がここに来るとは。


アメリアはフレイに向けていたライトを消し、顔を向けないようにフードを深く被った。

すると、ライトが自分の方に向けられた。




「?? 女??」


「こっちにライト向けんなっ!!」


「えっ?? アメリア??」




チッ。

声を出しちまったじゃないか。


アメリアはバレたくないあまりフレイに対し警戒心マックスだった。

そのためかライトにも敏感になっている。




「アメリア、こんなところで何をしているの?? 気分が悪いんじゃ……」


「うちのことはいいから、帰れっ!! 早く!!」


「そうは言っても……」




うちが叫ぶとフレイが少し大人しくなった。


よし、よし。


ぜひとも帰ってくれ。

ていうか、なんでここにいるんだよ!!


とうちは心の中でフレイに怒っていると後ろでポチャンという水の音が聞こえた。




「よっと……」




八つ橋の方を見ると、フレイが靴や靴下を脱ぎ、池の中に足を入れていた。




なんでええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーー!!!!!?????

来んなって言ったよねっ!? 言ったよねっ!?


アメリアの目は限界まで開いてフレイの方を見ていた。

一方、フレイはお構いなしにこちらに歩いてくる。


どういうつもりだっ!?


とうちがフレイの腹に一発食らわせてやろうと考えていると、フレイが水の中を歩きながら話しかけてきた。




「アメリア、なんでフードなんて被ってるの??」


「……なんとなく」




アメリアはフードを被っている理由が思いつかず、適当に小声で答える。




「なんで、ここにお前がいるんだよ」




うちはぶっきらぼうにフレイに尋ねた。

すると、フレイは真剣な眼差しでこちらを見る。




「……朝、アメリア王女がいると聞いたから。いるかなと淡い期待を抱いて……」




昨日のピンクの髪の少女の件はゾフィーだって判明しただろうが。

ばぁーか。


イライラMAXなアメリアは声に出しはしないが、フレイにイライラをぶつける。




「そういうアメリアはなんでこんなところにいるの??」


「うちはアンタと違って探し物をしているの!!」


「じゃあ、僕も手伝うよ。何探してんの??」


「指輪っ!! 指輪を探してんのっ!!」




ええい!! どうにでもなれっーーー!!




「分かった、指輪ね。どんなデザインなんだい??」


「金色!! シンプル!!」




うちはイライラしながらも、フレイとともに指輪を探し始めた。

絶対にフレイにピンクの髪を見られないように警戒しながら。




★★★★★★★★★★




「ん??」




リングを捜索し始めて約1時間。

足もそろそろ限界になりそうだったそのとき、池の中にキラリと光る何かが見えた。


アメリアはその輝く何かをとるため、手を水につけそれを掴む。

光るものを取り、水から引き揚げた。

うちはそっと手のひらを開ける。

すると、そこにはうちがずっと探していた金色のリングがあった。



「見つけたっ」




見つけたっ!!


アメリアの手には金のシンプルなリング。

そのリングは少し汚れていたが、何も異常はないようだった。




「あったああぁぁーーーーーー!!!!!」




うちはそのリングを右手に持ち、空へと右手を伸ばす。




「やったあああぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」




嬉しさのあまり、うちは本気で叫んでいた。

心には安堵と嬉しさでいっぱいになっていた。


よし、リングをつけないと。


うちはさっそく見つけたリングを池の水で洗い、左の小指に戻す。

アメリアの手はいつも通りに戻っていた。

そして、邪魔だと感じていたフードを外す。




「よぉーし!! フレイ!! 見ろ!! 指輪あったぞ!!」




うちは彼に左手をじゃじゃーんと言わんばかりに見せつける。

すると、彼は驚いたような表情をしてフリーズしていた。




へ??



まさか……、





























この指輪、フレイのもの??

うちとフレイのリングっておそろだったの??

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