No.99 また
「あらあら、シトリー様。どうしたのですか?? その見苦しいお姿」
窓から現れたゴブリンみたいなやつ。
そいつの声はまるでかの有名なフ○ーザのようだった。
ここであの声優さんと出会えるとは……。
アメリアは女王を肩を貸して支え、ゴブリンのようなやつがやってくるのをじっと見ていた。
アメリアは前世でよく聞いた彼の声に懐かしみを感じていた。
女悪魔はそのゴブリンの方に向く。
「サタナキア……」
「あらあら、
女悪魔にサタナキアと呼ばれたそのゴブリンのようなやつはどうも悪魔のようだった。
女悪魔はシトリーという名を持つことが分かった。
一体、アイツらはなんなんだ??
どういう関係だ??
醜いサタナキアは爪が伸び切った手で口を隠しククク…と笑う。
地面に足を下ろすと、サタナキアは女悪魔シトリーの方へ歩いていく。
「サタナキア、力を貸せ」
シトリーはサタナキアに本望ではなさそうに助けを求める。
一方、サタナキアは笑ったまま。
コイツ……。
うちは嫌な予感がしたので、エリカに叫んだ。
「エリカ!! その光すぐに放てっ!! 早くっ!!」
「あっ! はいっ!!」
思わぬ登場人物に困惑していたエリカはうちが言ったことを聞くと、準備していた光の玉をすぐに放った。
光の玉はシトリーの方に向かっていく。
「なっ!!!」
すると、身長の低く身動きが遅そうなサタナキアが突然勢いよく動き出し、シトリーを上手いこと気絶させ、その気絶したシトリーを抱え、光の玉を避けた。
サタナキアは嫌な笑みをしたまま。
嫌な顔だ。
サタナキアは自分より大きな体のシトリーを抱え、上に飛ぶ。
「エリカ!! アイツに向かって光をっ!!」
「はいっ!!」
エリカが天井付近を飛ぶサタナキアに向かって光の玉を投げていくが、華麗に避けられる。
うちも光の玉を放つが、主魔法でないため威力がなく論外だった。
「あらあら、私を狙っているのですか?? 正直に申し上げますと下手くそでございますね。私も用事がありますのでそろそろ失礼いたしますね」
サタナキアはそう言ってエリカをやんわりと侮辱しつつ、去ろうとする。
それに対しエリカは「下手くそですって……」と小さく言い、舌打ちを何度もしていた。
あー、エリカ。
イライラしてんな……。
そりゃあ、この世界から消えてもらえる方がいいけど倒せないなら仕方ないな。
悪魔どっか行ってくれるのならまぁいいか。
などとうちが思っていると、悪魔サタナキアはうちの方に目を向ける。
「アメリアさん、
「??」
うちは意味が分からず、首を傾げるが、サタナキアはにこりと笑い入ってきた窓から外に出てシトリーとともに去って行った。
「また……??」
アイツと会うことはないと思うんだけど。
うちはアイツに用はないんだけど。
うちがサタナキアの謎発言を考察していると、重かった左肩が急にすっと軽くなっていた。
「えっ??」
隣を見るとさっきまでうちの肩にもたれかかっていた女王が床に倒れていた。
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