ファンタジーの名を借りた……③ 2国間の終わりなき戦争

 これは、日常生活の苦渋をファンタジーの文脈に乗せてストレス解消しようとした筆者の浅はかな記録である。


───


小隊長(以下、小)「た、た、たいちょう! 大変です!」


私「うん? どした小隊長?」


小「あれ? 今日は怒ってませんね、いつもならすぐに【あーもう!】とか言ってるのに」


私「あのさ、別に私がぶち切れるって話じゃないからね。ファンタジー風にぶちまけるのが主眼なの。で用件は?」


小「あ、そうでした。我が国と同盟関係にある【マッシュルー帝国】と、同じく同盟国【バンブー王国】の両国間の戦争が長引き、救援を意味する貿易要請が両国から来てます」


私「えー? このあいだ買ったばっかりじゃん。帝国からも王国からも加工食材の山。倉庫ギッチギチなのに!」


小「仲介組織から届いた購買リストがこんなに!」


私「なんかあの2国って張り合ってうちにバンバン購買圧力かけて来るなあ」


小「両国とも因縁ばりばりのライバル関係で、東の小国で格好の貿易相手である我が国は立場弱いんですよ」


私「まぁーわかってるけどさー……」


小「実際のところは両国にカカオ風味の魔法調味料を販売し、商社としても仲介を一手に取り仕切る魔法組織【メイジ祭司団】がぼろ儲けしてるって噂ですけどね」


私「え? じゃあ祭司団がわざとこの【キノコタケノコ戦争】を焚き付けて煽ってるってこと?」


小「どうしましょう? その者が営業に来てるんです」


祭司団の営業(以下、祭)「そんなわけで、当組織の商品をもっと買っていただきたいのですよ」


私「我が国の国際的な立場を利用して軍の前線にまで売り込みかけてきたわけね。商魂たくましいとはこの事」


祭「あんたらに選択権はねえんだよ! 早く契約書にサインしやがれ!」


私「ふっ……断る」


祭「?」


私「いっとくけどキノコは菌類、タケノコは植物、まったくの別物だかんな? それを比べるなんざ相撲取りと卓球選手を戦わせるようなもんなんだよ!」


祭「うっぐ……お、おぼえてろ!」


小「隊長! やりましたね! 逃げ帰っていきますよ」


私「おい、帰りの砂漠は金色のクチバシを持った二足歩行の殺人鳥【チョコダマ】が出没するよな」


小「あ、そうでした! 獰猛な丸っこい怪物です!」


私「さっきの奴に水と護身用の撃退スプレーを持たせてやれ」


小「は、はい。隊長、やさしいですね」


私「あいつらは地獄の果てまで命がけで売りに来る低地位の魔法使い。いわば俺たち軍人と同じ同胞さ」


小「同胞……」


私「いつか平和な時代が訪れたら、あいつらともノーサイドで酒飲めるといいな……

チョコレートでもつまみにさ」


小「そうですね。いつか、この不毛な戦争が終わったら……」

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