第15話(まずはお友達から)
シナウスとオウノ王子は乗ってきた車、バルトロマイに戻る。コトオーが車外で待っていた。
「ご用件はもうよろしいので?」
「帰るぞ、乗って」
シナウスはバルトロマイを運転する。後部座席には、オウノ王子とコトオー。
オウノ王子は妹のアサノとテレパシーで通話する。
『アサノ、ドスコイ。今、付き合ってる人は居ないな?』
『急にどうしたの? 居ないけど』
『カドバーン王国第2王子のシナウス殿と結婚してくれないか』
『急にそんな事…………。シナウス様は、確か、自動車好きで有名な方ですね』
『そうだ。ヨコヅーナ王国の未来のために前向きに検討してくれないか』
『分かりました。まずは、お友達から』
『ありがとう、アサノ』
テレパシーは終わり、オウノ王子は、シナウスに説明する。シナウスも友達からと前向きだ。
シナウスはガソリンスタンドに寄る。バルトロマイは燃費が悪いからだ。給油スペースに停めて車を降りる。セルフサービスだ。すかさずコトオーは給油口を開けて車を降りる。
「シナウス様、私がやります」
「任せるよ」
オウノ王子は、アサノの結婚相手になるかもしれないシナウスをスマートに感じた。不安ないと言えば嘘になる。しかし、カドバーン王国三兄弟の内で一番マトモだ。
ガソリンスタンドの店員が来た。
「いらっしゃいませー! シナウス様!」
「え、セルフサービスのガソリンスタンドじゃないの?」
「月15万スリラじゃ食っていけませんや。少しでも収入を増やさないと」
「1人か?」
「ええ。みんなベーシックインカムでちょっとずつサボるようになって。でも、僕は目が覚めましたよ。満タンですか?」
「ハイオク満タンで頼む。支払いは王国持ちで」
「わっかりましたー! ハイオク入りまーす!」
シナウスとコトオーは車内に戻り、運転席側のウインドウを下げる。
「シナウス殿、ベーシックインカムは上手くいってないようですね」
「民の事を考えて、父のカネウスが施行した制度だが、大失敗だろうな。今更後には戻れないし。俺は車さえあれば、それでいい」
「ホーケー民国も自動車を造っていますね」
「ありゃ、おもちゃだ。ホーケー民国製の車を急加速させると、ピストンがボンネットを突き破る。資源の無駄遣いだな」
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