《ドア×還らずの館》第1話 くぅとシャルロットの三日間
煉瓦で舗装された道を、一人の少女が歩いていた。
色素の薄いセンター分けの肩までの髪はツーサイドアップに、深紅のワンピーススカートの下には白いブラウスを身に付けている。もちもちとした頬が特徴的な、幼げで愛らしい少女だ。
他に辺りを歩くのは、どこか疲れた顔をした大人達。その合間を縫うように、少女は、明確にどこかを目指していた。
やがて少女は、一つの小さな家の前に辿り着く。こんこんとドアをノックすれば、はぁい、と鈴が鳴るような声が返った。
間も無くドアが開かれて、一人の女性が顔を出す。それはまだ幼さの残る、雪のような短めの白髪とルビーを思わせる赤い目が印象的な女性だった。
「いらっしゃい、くぅちゃん」
「えへへ、シャルロットさん、お邪魔しまぁす!」
少女と女性は、互いにそう言葉を交わし合い、笑った。
くぅは旅人だ。と言っても、普通の旅人ではない。
不思議な『ドア』を使った、時間と空間を越えた旅。その旅の途中なのである。
彼女の旅の道連れは、一人の少年と一匹の黒猫。一行の目的はただ一つ。
それはくぅと黒猫が、自分の『サガシモノ』を見つける事。
黒猫――夜さまの探し物は、見つかった。後はくぅのサガシモノだけ。
顔も名前も解らない。それでも、きっと見つかると信じて。
くぅは、今日も、旅をする。
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