魔王城到着………そして

 結論から言うとトゥルーレッドドラゴンは死んで俺のアイテムボックスに収納された。


「………………………………………………………………………………………………………………………は?」


 レヴが随分と溜めてから発した言葉。それ以外に言えるセリフは無かった。レヴは目を大きく見開いて、口も大きく開けたまま空を見上げ、放心状態になっている。


「これが………俺の力だ」


 俺はもう一度言う。が………。


「………………………………へ?」


 レヴもまたマヌケづらして何が何だかわからないような声を上げる。いや、実際に理解出来ていないのだろう。


(さて、一旦ギルドに帰ろうかな。ん? そう言えば、たしかこの辺は………)


 と、思ったが一度レヴに確認しておきたい事ができた。


「レヴ、魔王城はここから近いんだっけか? 方向はどっちだ?」


「え? ………あっちよ。ここから近い訳じゃ無いけど。山脈は3つか4つくらい越えて大きな川も渡んなきゃ行けないけど………。って、もしかして………!」


 レヴは俺が魔王城の場所を知る理由を深く考えずに淡々と応え、その後、その意味を理解したのか慌てふためきだしたが、俺はレヴをアイテムボックスに収納した。


(向こうか。山4つくらい越えた先……ね。思ってたより遠いけどアイテムボックスがあれば日が暮れる前に行って帰って来れるかな)


 俺はレヴが指差した方角を見つめながら思考する。


 そして俺はアイテムボックスで今いる位置より更に高く飛び上がり、地上が見渡せる程の高度まで上る。



(やっぱ、この高さはさすがに風も強いし、何より寒いな。酸素が薄いからこのままだと高山病になるかもしれんし、とっとと行こう。)


 俺は山脈3つ、4つアイテムボックスで高度を下げながら飛び越えて行く。川……というか海にしか見えない程、川幅が広い川もアイテムボックスで飛んで行く。


 川を飛んで渡っている最中、高度を下げすぎたのか水面から俺に向かって何かが飛んで来る。










 --バチバチィ!











 いつもの如く、俺はアイテムボックスで弾き返す。弾いた何かは水面に押し戻され、50メーター程の水柱がドデカい着水音と共に跳ね上がった。俺は少し高度を上げて先のように何かが飛んで来ることが無いようにする。



「うわ。何だったんだ? 今のは。………それより、ということはではないな。生物か魔法攻撃か………」


 俺は物であればそのまま収納するつもりでアイテムボックスを展開した。だが、そうではなかった。俺は次が来ても余裕で回避出来るよう高度を上げる。



 そして高度を一定以上げてからは特に何事も無く『城』の上空まで到達した。この『城』が『魔王城』なのか、そうでないのかがわからないため、レヴを取り出す。



「マスター! 魔王様を攻撃するのはやめた方が………--」


「レヴ、あれは何だかわかるか?」



 俺はレヴのセリフを無視して『城』を指差して聞いてみる。レヴは俺の指の延長線上を見て驚き動揺する。



「!? ま、魔王じょ………。ま、ままま魔王城じゃないわ! あれは。アハ、アハハハハ……ハ」


「………そうか」



 俺は真顔で受け答えをする。俺はに手をかざし、アイテムボックスを………………-----。




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