脳裏に隠された彼の存在 (?月)

ガチャリ。

カギはしていなかった。入ると…

『わーっ!凄い!』

いろんなボードゲームやトランプ、ウノの機械までありとあらゆるアナログゲームがたくさん置いてあった。

「ええっ!?これ今じゃ売ってないやつ…。ああっ、こっちにも!」

『すごいねぇー!お宝の山だねー!』

なんて話していると

「お待たせ。何する?」

『………(いろいろあるでしょ?)』

ロナン君とジーンさんがやってきた。

「じゃあ…トランプで!」

そう言ってトランプの箱を棚から引っ張り出した。

「いいよ。そのトランプを使うんだね」

『さーって!椅子に座ろっかー!』

『………(そこにありますよ)』

ジーンさんが指さす先には、アンティーク調のテーブルとイスがあった。





『よっこいしょ。何をするの?ババ抜き?』

「まずはそれにしよっか。切って…と」

かしゃかしゃかしゃとトランプを切ってゆく。

「へえ、四季姉が切ってくれるんだ」

「ふふ、自分で切りたかった??」

私はではちょっと呼びづらいからと呼んでみた。

「ロナ…きゅん?」

「そ。ロナン君、だからロナきゅん!」

「ま…まあ、何でもいいけど…」

私が付けたあだ名に若干照れるロナきゅん。




『四季ちゃんって結構あだ名好きだよねー。あの春樹君もあだ名で呼んでたし…』

レンタンが言った何気ない一言に私はハッとする。

「春樹…?うっ…頭が、痛い…。け…いん…」

何かを思い出せそうで思い出せない。と同時に頭がガンガンと痛み出した。

「四季姉!?くそっ…ジーン、ベッドに運んで!」

なんで余計なことを言ったんだ、みたいな目でレンタンを一瞥いちべつしてからジーンさんに指示を出すロナきゅん。

『……(了解!)』

『あれー…僕何かやばいこと言っちゃったかな…』

「大丈夫…。私は平気だから…くうっ」

「全然大丈夫じゃないよ!とにかく安静にして!」

『四季ちゃん…何かごめんね…』

「何でレンタンが謝るの…?ちょっと眠れば…平気だよ…」

『………(とりあえず、ベッドに運びますっ!)』

ジーンさんに連れられて、ベッドまで運ばれた。

その後、レンタンの『四季ちゃん!』という叫びがとぎれとぎれに聞こえたが、私の意識が覚醒するのはもっとずっと後のお話………。

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ワンサイド・ガール&メランコリー・ボーイ 儚夏arfy @chubei298455

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