宿題
勝利だギューちゃん
第1話
僕は、長い間病院にいた。
数年前に、不慮の事故に遭い、生死の境をさまよった。
奇跡的に一命を取り留めたが、リハビリに時間がかかった。
とても大変だったが、どうにか歩けるように回復した。
そして、今日は病院の外に出た。
太陽の光が眩しく温かい。
久しぶりに陽の光を浴び、とても、清々しい。
庭のベンチに腰掛ける。
一息ついた・・・
「ねえ、彼氏、お暇」
声をかけられる。
「くだらない冗談はよせ、メイ」
「やっぱり、ばれた?」
「ばれるわい。それよりその格好はどうした?」
メイは、くるっとまわって見せる。
「どう?この国の女子高生の格好をしてみたんだけど、
気に入ってくれた?まーくん」
「僕は、セーラー服よりも、ブレザーが好きだな」
「いけず」
「でも、ポニーテールはかわいいな」
「ありがとう」
ふざけ合って見せる。
「じゃあ、今度はブレザーで来るね」
「ああ、楽しみにしてるよ」
メイ・・・
僕が意識不明の時に、出会った少女。
つまり、人間ではない。
意識不明の時、僕は半分あの世にいた。
その時、生き返るように手続きをとってくれたのが、彼女、メイだ。
つまり、僕が意識を取り戻せたのは、メイのおかげだ。
「しかし、今更だが、どうして僕を、助けてくれたんだ?」
「ああ、それ」
「うん、気になってた」
メイは、しばらく考えて・・・
いや、今更考えなくてもいいだろう・・・
「まーくんは、気付いてないと思うけど・・・」
「うん」
「君を愛する人が大勢いたんだよ」
「ウソ」
「本当だよ」
メイは、真剣になる。
「君が事故に遭った時、大勢の人が泣いたんだ」
「泣いた?」
「今の君の命は、その人たちの涙で出来てるんだ」
「涙で?」
「私もそのひとり、それを与えたんだ」
メイは、僕を知っていたのか?
「うん。上から見てたよ。君はまだ、死んではいけない。
だから、私の意思で助けた。これじゃ、だめかな?」
「いいよ、それで・・・」
メイとは、向こうでとても、仲良くしてもらった。
「君が意識を取り戻す前に、私が言った事、覚えてる?」
「花は枯れない・・・だったかな」
「パチパチパチ」
意味はわからなかった・・・
「じゃあ、宿題ね。今度来る時までに、考えておいて」
「いつくるんだ?」
「私も忙しいから、すぐには無理かな」
「OK、考えとくよ」
しばらくして、看護師さんが来た。
「さあ、そろそろ病室に戻る?まだ体に毒よ」
「わかりました」
「さっきの女の子は、彼女?」
看護師さんの問いに、答えた。
「ええ、でも頻繁には会いたくない恋人ですね」
宿題 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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