第26話 雑魚を大量投入

「ルンルルン~。」

 カロヤカさんたちは、ある問題に直面していた。

「んん~、カードやゲームになるためには雑魚キャラが少ない?」

「それなら大量に投入して、私たちの刀と忍術の錆にしてあげましょうよ。」

「それがいい、それがいいと言いました。」

「水花、火花、雷花、地花、風花、いくわよって、なぜ風花が、ここにいるの!?」

 風花は、人魚の茶店でアルバイトをしているはず。

「新しくバイトの氷花レイという女の子が来て、私はクビになっちゃったんです!? これからよろしくお願いします。」

 風花もカロヤカさんたちと同じ、オーナーの人魚による被害にあっていた。

「相変わらず人魚は残酷なことをするわね。」

「まあ、いいわ。私たちは人魚のパワハラに異議を訴える会のメンバーとして、一致団結して戦うのよ!」

「おお!」


「忍法! お花になるの術!」

 カロヤカさんは、お花と同化して、敵の追求から逃れる。

「カロヤカさんめ!? どこへ隠れた!?」

 鬼の頭目、酒吞童子とのかくれんぼうにも使えます。

「花水木って、お花は本当にあるのよ。忍法! お勉強の術!」

 水花は、お花の勉強をしている。

「本当だ。すごいね。お母さん。」

「そうだね。いろいろな花があるんだね。」

 お花畑の小鬼とお母さん鬼の家族。

「くらえ! 忍法! 焼き鬼の術!」

 火花は、大きな鬼が現れたので火をつけてみた。

「ギャア!?」

 大鬼は、熱いので走って逃げて行った。

「出たな!? たくさんの鬼たちめ!? 忍法! ムササビの術!」

 雷花は、多勢に無勢なので、逃げることを選択した。

「待て!? 逃げるな!?」

 色鬼、赤鬼、青鬼、緑鬼、黄鬼、桃鬼たちは、雷花を追っていく。

「こい! 鬼ども! 忍法! 落とし穴の術!」

 地花は、地面に落とし穴を掘っていく。

「ギャア!?」

 ちょっとレアな黒鬼、白鬼、金ピカ鬼、プラチナ鬼は、次々と落とし穴にはまっていった。

「あなたたち、本当に鬼ですか!? 忍法! 壁隠れの術!」

 風花は、気持ち悪い鬼たちなので壁に隠れた。

「どこに行った!? 出てこい!?」

 萌え鬼、ざる蕎麦鬼、キムチ鬼、水泳鬼、クラシック鬼、介護鬼・・・何でもありである。


「ルンルルン~。」

 カロヤカさんたちは、疲れたので鬼退治中に休憩することにした。

「モグモグタイムならぬ、ニンニンタイムね。」

「団子が美味しい。」

「戦った後のお茶は最高ですな。」

 カロヤカさんたちは、茶会を開いて、英気を養っている。

「うわあー!?」

「どうしたの!?」

「外で、鬼さんたちが出番を待っています!?」

「こっちを睨んでいる。」

 カロヤカさんたちは、休憩を取れても、鬼たちエキストラは、カロヤカさんたちの出番待ちをさせられて、トイレや休憩にはいけないのである。

「早く休憩を終えてあげないと。」

「ちょっと待って!」

「え?」

「ということは、私たちが長く休憩していれば、鬼たちは、お腹がすいたり、トイレに行って、リタイヤってことね。ウッシッシ。」

 最近の課題は、いざとなれば戦うが、戦わないで問題・事件・課題を解決することである。

「鬼の皆さん、休憩やトイレに行きたい人は、名前を名乗ってから行ってください。それでお仕事は終わりです。ちゃんとエキストラ料のアルバイト代は、みなさんの銀行口座に振り込まれます!」

 カロヤカさんは、空腹鬼とトイレ鬼たちに助け舟を出す。

「そんなことで、鬼の職務を放棄する鬼がいるとは思えません。」

「そうですよ!? そんな鬼、いないでしょ。」

 水花たちは、カロヤカさんの案を疑う。

「餓鬼です。」

「悪鬼です。」

「邪気です。」

「茨木童子です。」

「羅刹です。」

「疫鬼です。」

「天邪鬼です。」

「百々目鬼です。」

「お腹空いた!」

「トイレに行きたい!」

 鬼たちは、行列をなして、仕事の放棄を選んだ。

「マジか!?」

「今までの鬼との命がけの激しい戦いは何だったんだ!?」 

 水花たちは、絶句した。

「カロヤカにお任せあれ。」

 きっと刀や忍術を使わないでも、人間と鬼が平和に暮らせる日が来るはず。

 

「カロヤカさん! 大変よ!」

「今度は何?」

「妖怪が大量に並んでいます!」

「なんですって!?」

 鬼の次は妖怪のエキストラが大量に並んでいた。

「キョロキョロ!? 妖狐のおばさんは来てないわね。ふう~。良かった。」

「息子の子妖狐コンコンも来てませんよ。」

 妖怪の総大将、九尾の妖狐の化身、玉藻前は来ていなかった。

「妖怪のみなさん! 鬼と同様に一列に並んで名前を書いてください。それがエキストラの登録です。終わったら、今日のお仕事は終わりです。銀行口座にアルバイト代が振り込まれます!」

 カロヤカさんは、鬼の時と同様に妖怪にも雄弁を語る。

「百目です。」

「付喪神です。」

「ろくろ首です。」

「お岩さんです。」

「河童です。」

「天狗です。」

「虚無僧です。」

「大入道です。」

「火車です。」

「猫娘です。」

「こなきジジイです。」

「砂かけババアです。」

「一反木綿です。」

「ぬりかべです。」

 妖怪たちは、名前を用紙に書いて、アルバイト代を夢見て帰っていった。

「戦争の無い世界を目指そう。」

 カロヤカさんは、侍忍者なのに、戦闘シーンを無くして大丈夫なのだろうか。


「鬼と妖怪も十分ね。これだけいれば、カードとゲーム用の雑魚キャラには困らないでしょう。」

 カロヤカさんたちは、ただ、お団子を食べ、お茶を飲んでいるだけの、お茶会休憩をしているだけである。

「カロヤカさん! 大変よ!」

「どうしたの?」

「鬼神が現れようとしているの!」

「鬼神ですって!?」

 鬼と妖怪の次は、鬼神である。

「鬼神って、何にでも「鬼神、人食い花」とか人食いを付ければいいだけでしょ。」

「まあ、鬼も語尾に○○鬼って付けるだけなんだけどね。」

「あと過去の英霊の戦国大名の名前の前に「鬼神、織田信長」みたいにするタイプでしょ。」

 鬼神も形さえ作ってしまえば、大量生産は簡単である。

「鬼神のみなさん! 一列に並んでください! 名前を書いてエキストラ登録してください。それで今日のお仕事は終わりです。アルバイト代は銀行口座に振り込まれます。」

 3度目にもなると、カロヤカさんの舌は饒舌だった。

「鬼神、人食い蜘蛛です。」

「鬼神、人食いキャンディーです。」

「鬼神、人食いあめんぼです。」

「鬼神、人食い雲です。」

「鬼神、柴田勝家です。」

「鬼神、滝川一益です。」

「鬼神、前田利家です。」

「鬼神、丹羽長秀です。」

 鬼神たちは、名前を書いて帰って行った。

「これで集まった雑魚キャラは全員、帰ったわね。」

「無事に戦はないで紛争を収めましたね。」

「やればできるのよ!」

 カロヤカさんたちは、戦闘して疲れなくて良かったと心より思った。

「鬼神で、雲とか、雨とか、台風とか、自然現象も鬼神にするアイデアは良いわね。」

「武将もメインではないので、雑魚キャラでやられ役で登場するには惜しい逸材ばかり。」

 新しいアイデアの創作は続いている。

「ところで、カロヤカさん。」

「なに?」

「雑魚キャラたちは、銀行口座なんか持っているのかしら?」

「知らない。」

「えー!?」

「だって、それがオチだもの。アハハ。」

 それでもカロヤカさんは、今日も前に進んでいく。

「ルンルルン~。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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