雨男

勝利だギューちゃん

第1話

「よく振るな」

部屋の窓から、外を見る。


雨が振っている。

何日続いているんだろう・・・


「君のせいでしょ」

えっ?

だれだ?

この家には、僕しかいないはず・・・


「ここよ、窓の外」

そこには、女の子がいた。

手を振っている。


「はーい、元気」

「元気に見えるか?」

女の子は、笑っている。


喧嘩売ってるのか?

この女。


「で、さっき雨が降り続いているのは、僕のせいといったな」

「うん、そうだよ」

「その心は?」

「君が、雨男だから」


固まってしまった・・・


「そういう、君は何者だ?」

「ごめん、紹介が遅れたわ。私は、ポロン」

「どこかで、聞いたような名前だな」

「うん、太陽神のアポロンの娘」

丁寧に挨拶されて、調子が狂う。


「でも、太陽の神の子なら、この雨なんとか出来ないのか?」

「言ったでしょ!君が雨男だから、雨が降り続けるの」

僕のせいかよ!


「何とかしてくれる?」

「人間の僕に力はないだろ!」

「責任転嫁じゃない」

「どっちが」


言い争いをする。


「ところで、ポロンさんとやら」

「何?雨男くん」

「その言い方はよせ、外で平気なのか?」


沈黙が流れる。


「あっ、忘れてた。いれて」

「ああ」

「いいの?雨男くん」

「構わん」

「ありがとう」


ポロンを室内に入れる。


「ほら、タオル」

「ありがとう。優しいね」

「着変えは、トレパンでいいか?」

「うん、ごめんね。ありがとう」


一応外へ出た。


「いいよ、雨男くん」

部屋に戻る。


「で、本題に戻るけど・・・雨男くん」

「だから・・・、もう、いいや・・・で、本題とは?」

「この雨、どうにかして」

「だから、何で僕が・・・神の子なら、何とかしろよ」

ポロンは、考える。


「でも、君の雨男の力が強大過ぎて、私じゃ、手に負えないの」

だらしのない神だ。


「で、具体的にどうしろと?」

「知らない」

「無責任な」

この女・・・


「あっ、いい事考えた」

「どうした?ポロンさん」

「君を連れていく」

「どこへ?」

「日照りで苦しんでいる所に」

「なぜ?」

一応訊いてみた。


「君の雨男ぶりは強大。なので、日照りの地区は解決。

ここも、晴れになる。めでたし、めでたし」

「勝手に決めるな」

「善は急げ。レッツゴー」


こうして、振り回された。

僕の雨男ぶりは、強大なのか・・・

日照りで苦しむ地区は、無くなった。


「ところで、ポロン」

「何?」

「君の、服だが・・・」

「いいよ。また君の家に行くから・・・」

「いつ?」

しばらく考えたポロン。


「そろそろ、君の住んでいる地区が、雨が恋しくなるから、戻るわよ」

「ようやく解放か・・・」

「ううん、私は君が気に入った。だから、永久に付き会ってもらうわ」

「わがままだな」

「プリンセスだもん」


こうして、付きまとわれることになったのだが、それはいい。

せめて、名前で呼んでくれ。


「じゃあ、君の名前は?」

「雨森幸男(あまもり さちお)」

「略して、雨男くんだね」


「略すな」

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雨男 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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