あし

作者 阿瀬みち

172

59人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

この作品のキモとなるのは、嫌見のない空気感だと思う。
女装が物語の仕掛けになっていると、性自認という分かりやすいテーマあるいは性欲という使いやすい道具を使ってしまいそうになるものだけど、
阿瀬みちさんはそれをサッと流して日常生活や人生で、誰しも陥りやすい苦しみを描く。成行き上の相方あるいはパートナーとの関係性も、下手に物語に落としこまずに絶妙にリアルだ。
ほっとするような良い塩梅とでも言うべき空気感で、それでいて本人達にとって深刻な事象が語られる。それが心を揺さぶられるのだと思う。

★★★ Excellent!!!

漫画家になることを諦め地方に引っ越すことを決めた主人公が、ふとした思いつきで女装をしはじめるお話。
自分のやりたいこと、なりたい者になれない限り何者にもなれない。そういう夢めいたものを抱く人間誰もが感じているであろう虚しさや寂しさが読み進めていくうちに体にじわじわ浸透してきます。
何者にもなれなかった主人公が、名前を変え性別も変え、誰でもなく、どこにもいない人間になろうとする心の動きがとても切なかったです。
新しい人間を作るというところが、創作する人間の業を感じられてとても好きです。
志を持つ人みんなに響くお話だと思います!

★★★ Excellent!!!

読み始めてすぐに『おやじ男優Z』が頭をよぎりました。ペーソスあふれる女装おっさん物語。不思議な友情(?)もみていてやきもきします。もうちょっとなんとかしろよ、お前ら、と言いたくなります。それくらいに妙にリアルな描写に引き込まれました。ふつうにテレビドラマで観たらはまりそう。
本物川小説大賞深い!

★★★ Excellent!!!

 なりたい自分になれなくても、その後も人生は続いていくし、どうでもいいと思っていたようなこと、「本当の自分」なんてものとまるで関係のないことで生計を立てられてしまったりすることもある。
 じゃあ主人公はすごい不幸かっていうと、そうでもないんですよね。
 なんだかんだ、状況を受け入れて、社会や生まれ育ちを恨むでもなく、ソコソコやってるんですよね。
 メインの2人がくっついちゃうとか、最終的に殺し合うとか、そういうドラマチックなオチじゃなく、淡々と終わるのが「こういう人生もありえるのだなぁ」という読後感になってて、よいと思いました。

★★★ Excellent!!!

またしても会話文がリアルですよ、阿瀬さん。

本当はそんなことで有名になりたかったのでも
オカネを得たかったのでもない、
でもそれが出来ているわけやし、
実際『上手くいっている』

忸怩たる、
という重油のような感情まみれの主人公に非常に共感しました

つうかね、わたし今日超忙しいんですが、今、全部読んでしまったのよ!

おそろしい吸引力!

素晴らしい