第43話 幽霊はいない

 僕には霊体験がある。

 が…信じているかと言われれば…Noである。


 幻覚を見た。

 たまたま奇妙な体験をした。

 だからどうした程度に思っている…ということにしている。


 霊体験には2種類ある。

「変な体験したな~」

 と…

「怖かった…」

 である。

 だから、思うことにしているのだ。

 だからどうした…と…。


 信じてないようにするためには理屈も必要なのだ。

 宇宙人を見たという人がいる。

 僕は見たことは無い。

 だが…宇宙人のビジュアルは想像できる。

 皆、同じ宇宙人を知っている。

 幽霊もそうだ。


 人は見たいものを見るのではないだろうか?

 夢のように…

 存在しない世界で歩く…いない人と喋る。


 それは夢だ。

 超常経験とは夢と同じなのだ。


 証拠もある。

 僕は産まれつきに五感に障害がある人の霊体験を知らない。

 どういうことなのか?


 霊体験をするには…情報が足りないからだ。

 視覚に問題があれば…人の形を知らなければ人の幽霊など見るわけはない。

 聴覚に問題があれば…音を聞いたことがなければ奇妙な音、声を聴くわけがない。


 つまり…超常現象は五感に左右されるのだ。


 逆に言えば、五感で感じたことのない超常現象は起こりえない。


 よく夢で刺されても痛くないということがある。

 そして目が覚める。

 それは、刺されたことがないからだ。

 そこで矛盾が脳を覚醒させる。

 痛くないわけがないのに…なぜ?


 そんなことを金縛りの最中に考えていたのだ。

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