第47話 証明不能の行為

 心配していた状況が発生した。してしまった。


「…考えが甘かったわ。あとで、謝らないと」

「くそっ…。くそっ…」

 負傷『事故』が起きた直後の、山崎と山田キャプテンの言葉。


 弘前高校野球部員に、負傷者が出た。

 一時は小康状態とでもいうべき状態になっていたが、ここから『本気』という事なのか?だとすれば、本当に手段を選ばないという事なのか?あと3人の負傷退場を狙ってくるとでもいうのだろうか?それとも本当に、ただの偶然?


【 1塁送球ミスに起因する、1塁コーチャーと1塁手の接触事故により、大槻 京子 選手が事実上の負傷退場 】


 現在、大槻センパイは医務室で治療中だ。

 処置が終われば歩くくらいはできるかもしれない。弘前ベンチすぐ前の、3塁のコーチングボックスに入るくらいの仕事はできるかもしれない。しかし、今はもう走る事ができる状態にはない。守備は無理だし、打者になるのも無理だ。走れない選手は起用できない。

 コーチングボックスに入っている選手と、野手との接触事故。けして無い話ではない。だが、負傷退場するレベルでの接触事故など前代未聞だ。


「投球ミスからして疑惑は濃厚じゃないスかね?監督。入善東の監督の様子はどうでした?」

「…内容は不明だが、事前にサインらしきものがあった」

 俺の言葉に、『疑惑はある』と応える平塚監督。


 入善東のプレーへの疑いに染まった俺たちの心からすれば、それは『真っ黒。有罪』としか聞こえない内容。状況が特殊すぎるため、故意だとすれば事前の打ち合わせがあったのだろう。そしてこちらの警戒はバッターにしかなかった。ランナーとしても接触事故には警戒していた。しかし、コーチングボックスのコーチャーまでは警戒していなかった。ついでに言えば、反射神経はともかく、運動能力においては最低辺クラスの大槻センパイがターゲットだ。雛鳥を棒で叩くような、簡単な作業だったかもしれない。

 もちろん、故意だと仮定すれば、だが。仮にそうだとして、これが弘前のベンチ側、3塁側のコーチングボックスでも同じように狙われただろうか?こちらのベンチ近くであれば、睨みがきいたのではなかろうか?そう考えると用心が足りなかった、配置ミスだった、という思いも生まれる。避けられる事故を避けそこなったのではないか、と。


「…切り替えましょう。故意であれば、誰がボックスに入っていても狙われた事には変わりがないはず。これからはランナーコーチも用心が必要っス」

 自分を落ち着かせるべく、そう言ってみる。無言でネクストサークルに立つ山崎からは、相変わらずの暗黒オーラが漂う。


「…証拠はない。試合に勝って、意趣返しをしてやる」

 怒りの気を放射する山田キャプテン。彼女を医務室送りにされて、かなり頭に来ている。できる事ならば怒鳴り込んでやりたい、そう思えるような表情だ。


 キャプテンにこう言われては、冷静になろう、そして気合いを入れよう。そう思うしかない。現在、ワンアウト2塁。一打あれば得点できる。2塁ランナーとしてはリードをそこそこ取りたいところだが、ピックオフプレー、ならびにクロスプレーの『事故』を警戒する以上、塁からは距離を取れない。

 特にショートの動きには要注意だ。気が抜けない。そして入善東の監督の動きに視線をやる。と、また何やらサインを出していた。フェイクか、それとも。


『――ぐっ!!』

『デッドボール!』

 9番の岡田(先輩)がボールを避けそこなって、死球を食らった。


 インコース真ん中の、おそらくは全力の速球。背中側からの胴体狙いじゃねぇか!!肘は避けたが、アバラの下あたりに当たった。痛みにうずくまる岡田(先輩)。


「ピンチランナーを申請!」

 監督が叫ぶ。申請が認められ、さっき戻ったばかりの西神(先輩)が1塁に走った。これでワンアウト1塁2塁。次の打者は山崎。


「……………」

 山崎、無言でバッターボックスへと歩いて行く。


「岡田。痛みは?」

「…だいじょうぶです。冷やしてもらえば。いちばん下のアバラに当たったんで、ちょっと効いただけですよ…いつつつ…」


 ベンチ内では簡易治療を進める。上着をめくり上げると、ボールの当たったところに黒ずんだアザができていた。こん畜生、と思いながら入善東のベンチを見ると。

 入善東の監督が、いつもの定位置で、繰り返しサインを出しているのが見えた。


 ―――ここで山崎を塁に出せば満塁だが、満塁策でフォースアウト狙いならダブルプレーも簡単に取れる。ウチの2番3番なら、勝負するのは困難ではない。

 そしてどうせ塁に出すのなら、デッドボールもフォアボールも同じ。…そう考えるか?しかし2者連続死球では、さすがに警告は受けるはず。そして万が一にも頭部への死球ならば、投手が退場を勧告されてもおかしくはない。


 だが、いちばん厄介なエースピッチャーを一時的にでも退場に追い込めば、相当に有利。その魅力に、あの監督が抗えるだろうか。そしてここまで指示に従ってきた選手が、監督の指示に従わない、などという事があり得るだろうか?もちろん、さっきのが故意死球としてだが。


 山崎、前傾して、背中をピッチャーに見せるような、全力スイングの準備動作のようなバッティング姿勢で、バッターボックス内側ぎりぎりに身体を寄せる。頭はほぼストライクゾーンに入ろうとしている。


【 やれるものなら、やってみろ 】


 そう言わんばかりの挑発的な態度と姿勢。頭も下げ気味。よほど運動能力がなければ、全力投球のビーンボールは避けられないような姿勢だ。後頭部を狙いやすい姿勢。

 もっとも、背中とヘルメットの最硬部分を前面に向けるのは、デッドボールの防御姿勢でもある。こいつ……まさか、わざと当たるつもりか?!

 確かに狙ったようなビーンボールを食らえば、相手の責任は追及できるが、頭部へ直撃を受ければ、無事だとしても担架で運ばれかねないぞ?!アピール力と引き換えに、勝利の可能性が低くなる。それでもやるのか?!


「あいつ…まさか、ビーンボールを誘って、わざと当たるつもりじゃ…」

 山田キャプテンも同じことを考えたようだ。

 いや、弘前野球部員は全員がその可能性を考えただろう。


 安全第一を繰り返し唱える山崎。しかし、フェアプレー精神に唾を吐きかけられるような行為に、いちばん頭に来ているのも山崎だろう。負傷退場者が1名、故意死球と思われる死球を受けたのが1名。こいつら絶対に許せん、例えどんな手段を使ってでも吊るし上げてやる…と、山崎が考えたとしても、おかしくはない。

 山崎が、視線で入善東の監督を確認した気がした。監督はいつもの定位置(スポットクーラーの風がよく当たる場所のようだ)にて、サインを出していた、ような気がする。


 あのおっさん、本当にムカつく。


 弘前野球部の全員の心が一つになっていただろう。そして、山崎と、ピッチャーの動向に注視する。打者が山崎である以上、打撃があるにしろ事実上の敬遠にしろ、ランナーが大きくリードを取る必要もない。1塁2塁のランナーも投球の行方に注視する。

 一種異様な雰囲気に包まれる中、ピッチャーが振りかぶって、投げる。その投球を覚醒状態で見ていた俺は、ボールがリリースされた直後、ボールの行方を確信した。


 ――このままいけば、頭部に直撃する。

 後頭部からヘルメット中央部にかけての直撃コース。

 あの投手、いや、監督か。ついに、やりやがった。


 どうする。

 山崎ならば、あの体勢からでも避けられる。

 山崎ならば、直撃を避けてヘルメットの外周部で弾く事もできる。

 山崎ならば――直撃を受けたように見せかけて、衝撃を受け流すような事すら、できるだろう。しかし、ボールの打撃エネルギーは大きい。絶対安全は無い。避けるべきだ。受けるべきではない。頭部への死球は本当に危険だ。チームの勝利のためにも、山崎自身の安全のためにも、わざと死球を受けるようなマネはしてはいけない!!


 ほんのわずかな、投球直後の時間。

 全力で投げられたボールは狙い違わず、山崎の頭部へと向かった。


 ――そして。


 そのコースを読み切った山崎の人間離れした動きによって、ボールはバットで叩き切られるようにして打たれた。

 しゃがみ込むように沈んだ体勢。いわゆる『大根切り』と呼ばれるような、剣道の面打ちのようなスイングとも言えないバットスイングがボールを捉え、打ち返した。

 キィン!!と、金属バットの芯に近い部分で捉えた良い音を響かせ、ボールは一直線に飛んでいく。無理矢理なスイングではあるものの、おそらくは山崎の全力の打撃。ここに来たら打ってやるぞと狙い澄ましたであろう、迷いのない一撃だった。

 一直線に飛んだボールは、まっすぐに。おそろしい勢いで。


『ぐわぁっ!!』

『うわぁーっ!!』『うおおおお!!!』


 1塁側。に飛びこんでいた。

 応援の楽曲も止み、歓声も止まり、ほとんどの音が止まった静けさの中。


「…………あー」

 と、山田キャプテン。


「「「…………あー」」」

 と、仲間の部員たち。


「………あー。そっち、いっちゃったかー」

 俺もそう口にしてしまった。


 ざまあみろ、などという感想も浮かばず、呆気に取られる俺たち弘前ナイン。ベンチの選手も、ランナーも、ランナーコーチも、呆けた様子で入善東の1塁ベンチを見ていた。未だに騒ぎが収まらぬ入善東ベンチ。どうやら、誰かがボールの直撃を受けて倒れているようで、ベンチの選手達が一カ所に集まっている。

 もっとも、誰にボールが直撃したのか、確認を取るまでもなく分かっているけど。


 球審がボールデッド(競技一時中断)を宣言し、その後、入善東の監督が担架で運び出されていった。


 ………誰も、これを狙ってやったとは思うまい。

 というか、狙ってできる行為ではない。不可能だ。

 山崎以外には。


 もちろん山崎であっても、これが外角低めとかだったら、やろうとしても、できない。これが頭部を狙ったド高めのビーンボールだったからこそ。インハイの高速直球だったからこそ、狙って叩いて低い弾道で1塁ベンチの隅っこの監督を狙うなどという真似ができたのだ。つまりこれは入善東の監督の指示で(おそらくは)投げられたボールだったからこそできた曲芸で、けして山崎が自分の力だけでなし得た結果ではないのだ。

 悪意あるコメントをするとすれば、ナイス入善東の監督!という事である。


「これが自業自得というものか…」

「因果応報という言い方もあるな」

「身から出た錆」「自縄自縛」「悪因悪果」

「悪意のヒヨコはいずれ巣に帰る」

「人を呪えば穴二つ」「ざまあ」


 落ち付きを取り戻した弘前ベンチからは、担架で運び出される怪我人に、ボロクソな言葉が投げかけられていた。苦悶の表情で運び出される入善東の監督。片手で肩のあたりを押さえている。鎖骨のあたりにでも当たったかな。あの打球の勢いでは、鎖骨が折れているかもしれないな。そこそこの御年のようだし、跳ね返ったボールが頭にも当たったなら、痛みと検査で、試合終了まで、もう医務室から戻ってはこれまい。


「大槻がびっくりするだろうなぁ」

「治療を終えて、はやくベンチに戻って欲しいっスね」

 できれば医務室で鉢合わせにならない事を祈る。


『――いやぁ、偶然の事故って、怖いですねぇ!!』


 山崎がバッターボックスの外で大声を出していた。まだボールデッド状態のため、プレイ続行できない場所で待機しているようだった。それはそうと、何を言い出すのか。未だに応援は止んでおり、山崎の声が辺りによく聞こえる。


『いずれにせよ!グラウンドでプレイするのは、選手!準選手扱いだろうと、監督なんか関係ない!!この舞台での主役は、私たち選手!!』


 どう考えても非常識な声量と語り。球審も制止や注意、警告を発するよりも、呆気に取られて見てしまう。


『この舞台での、楽しさも、辛さも、達成感も、高揚感も、そして絶望でさえも!すべては我々の責任による、我々だけのもの!!誰の責任にもさせない!!誰にも渡さない!!我々だけの権利!!この夏の甲子園は、人生でただ1度きりの、最初で最後の舞台!!!――さぁ、もう監督はベンチにいない。プレイ開始といこうじゃない!!!』

 山崎がこれまでのイライラをすべて放つかのように吠えた。


 ――こいつ、さっきのをわざとやったのか?


 山崎の声を聞いた人間の多くは、そう思ったかも、しれない。もっとも、現実に可能かどうか、と考えれば、「いやいやまさか」と思うのだろうけど。


『…あー、弘前7番。私語は慎むように。次にプレイ中、同じ事をしたら退場もありうると思うように。気をつけて』

『しつれいしました』


 山崎が球審に注意されて頭を下げていた。どうやら注意だけで済んだようだった。厳しく注意されたようだが、いきなり退場勧告とかじゃなくて良かった。あと山崎、審判でもないのにプレイ再開みたいな事を言うな。選手にそんな権限はないよ。

 プレイ再開、との審判のコールで、中断していた試合が再開される。バッターボックスに山崎が入り、バットを構える。今度は普通の…ニュートラルに構えた、いつもの山崎の構えだ。気配もいつものものに戻っている。


 対する入善東のピッチャー。ランナーを気にせず、大きく振りかぶって。投げた。


 カキィ―――ン!!


 消音バットとは思えないような鋭い打撃音が、久々に響き渡った。


 外角低めへ切り込むようなスライダー。滑るように変化したボールを、山崎のバットが捉え、ボールは一直線に、ライトスタンドへと。弘前応援団が沸き立つ。

 球威の乗った、変化の鋭い、切れ味鋭いスライダー。山崎でなければ、ここまで飛ばすのは困難だったに違いない。バックスクリーンに表示された速度は。


【 148 km/h 】


「…いいボール、投げるじゃん」

 思わずそう口に出していた。今日のあのピッチャーのボールの中で、最高速度のスライダー。文句なしの全国レベル。


 これでいいんだよ、などという感想も、あくまで俺たちの正義によっての見方。見る人によって評価は違うだろう。しかし、作戦も技術も、自分の力を十全に引き出すために行使するものであるべき、と思う。それが俺たちの信じる正義だ。


「プレイ開始、か」

 山田キャプテンが、ぼそりと言う。さっきの山崎の言葉か。


「ここより入善東の、選手の本当のプレイが開始されるというのなら。俺たちも下らない気苦労せずに、全力で勝負できるというものだ」

 まったく同感だ。もちろん、この終盤では入善東が充分にプレイできるとは限らない。が、相手チームの指揮官はいない。どんなプレイをしたとしても、もう監督が口を出す事はないし、どんなプレイであろうと、もう個人のプレイヤーとしての責任だ。

 1人の野球プレイヤーとしての、信念と実力の時間だ。もう言い訳はできない。さあ、地区代表としての力を、ぶつけ合おうぜ。


 楽しい野球の、始まりだ。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【スコアボード状況】

入善   000101200|4

弘前   20010310X|7

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 試合結果 4対7で、弘前高校の勝利。

 7回表まではアンダースローを使っていた山崎だったが、8回9回はオーバースローからの剛速球押し。ジャイロも織り交ぜて、三者三振に切って落とした。

 7回表の入善の攻撃、そして7回8回の裏の守備、投球。今までのような抗議ネタになる行動は一切なく、ごく普通の、クリーンなプレイだった。

 俺としては7回の俺の打順で入善東の投手が投げた、高速スライダーが最も印象に残った。コースも変化も申し分なく、打ったもののギリギリの2塁打。いい球を放る。


 やりゃできるんだから、最初っからやれよな!


 などと言いたい気分でもあったが。

 ともかく試合は終わった。ベンチに戻ってきていた大槻センパイもベンチの2人の補助を受けて歩いてきて整列、お互いに礼をする。

 …ここで、普通は握手をするものだが…。控えめに手を出す入善東の選手と、その手を取るべきか迷う弘前野球部員の動きが、ぎこちなく、動きが止まる。


 その瞬間。


 パァ―――ン!!

 と、威勢のいい音を響かせて、山崎の手が正面選手の手を掴んだ。そのまま上下にブンブンと振りまくる。


「ノーサイド!!!」

「そりゃラグビーだよ!!」

 山崎の言葉に瞬間的にツッコミを入れる俺。


「いいのよ!野球だって大昔は、試合が終わったら相手チームとディナーを食べてたんだから!ほれ、ノーサイド!!次はもっともっと楽しくやりましょー!!」

 そう言いながら、掴んだ手をブンブン振る山崎。


 …オーケー。これは戦争じゃなくて、野球。スポーツ。「ゲーム」だもんな。


「ノーサイド!!」

 俺も正面選手の手を掴んで振る。


「「「ノーサイド!!」」」「「また今度よろしく!!」」

 半ばヤケクソ気味に、あちこちで握手。ばんばんと相手を交代し、握手しまくる。そして握手が終わり、お互いのベンチに戻る時、入善東の選手の1人が声をかけてきた。


「…すみませんでした」

「…あ、いえ…」

 ファーストの選手が、大槻センパイに頭を下げていた。

 思うところはあるが。…もう試合は終わったのだ。


 チームとしては数々の問題行動に関して、断固として抗議する。しかし、選手個人を責めても仕方ないという部分はある。兎にも角にも、高校野球では監督の権限が強力なのだ。普段どう教育されているか、それは分からないが。監督が居なくなっただけでプレイが変わるくらいには、こいつらも「普通」なのだろう。

 まぁ、山崎みたいな正体不明の選手の相手をする事もある、という事実もあったのだろうが。いつもいつも、相手だけが馬鹿正直にフェアプレーを守って、自分達だけが上手に得をする事ばかりではない、という事実も示せた。そして、フェアプレー精神を蔑ろにしたその先に、何が待っているのかも。


 もっとも、あの監督は完全に有罪だけどな。管理者としても許せん。なにせ「監督」だしな。「監督責任」という言葉もあるくらいだ。始末はあの監督につけてもらおう。引責辞任、待ったなしだぞ。

 なお、入善東の監督は負傷の度合が酷いのか、試合終了までベンチに戻る事はなかった。入れ替わるようにして医務室から戻ってきた大槻センパイの話によれば。


「すごいウンウン唸ってた。あと顔も腫れ上がってたし」


 との事。観客席でもベンチでも、グラブは必須かもしれない。あとでウチの監督にも渡しておこうかしらん、などと思った。


 この第2回戦、ほんとうに疲れた…。第1試合とは別の意味で。

 スポーツは平和に楽しむべきだ。可能であれば、背後に何も背負わず。本来は試合は選手のためのものだ。名誉も称賛も、達成感も絶望も、試合で得られる、すべてのものが。とにかく今は、昼飯を食べて、ゆっくりと休みたい。


 なお。入善東の監督だが。


 後になって聞いたところによれば、左の鎖骨を粉砕骨折、左頬骨にヒビが入る負傷だった、らしい。硬球は硬い。デッドボールは危険だな。

 その後。平塚先生には新品のグラブが贈られることとなった。

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