第23話 華の別荘に行こう その5

〜午前1時 華の別荘・リビング(ナレーション無し)〜

「さて、兄さんは気絶しちゃいましたし(後ろを支えてもらいながらベッドまでおぶって行きました)、桃矢さんも寝ちゃいましたけど・・・。」

「これからどうしよー?さっきのドタバタのせいで全然眠くないよ?」

「そうね。何か話題があれば良いのだけれど。」

「ん。」

「では、茉莉と来兎の話を・・・そしてその後、ついでに、アナベルの話もしようではないか。」

「そうっスね。・・・色々と聞きたい事もあることっスし。」

「え、えーと・・・取り乱してすみませんでした・・・。」

「ふぅ・・・茉莉ちゃん?貴方、来兎君の事が好きなの?」

「大好きですっ!兄さんはカッコよくて、頼りになって・・・真面目ではないですけど、おもしろくて・・・。」

「おお、熱いのぅ。」

「ん。熱い愛の語らい。」

「それに、兄さんは・・・命の恩人でもあるんです。市原先輩は知ってると思いますけど・・・。」

〜事情説明中(第17話参照)〜

「・・・兄さんには、記憶を失う前から密かな想いを寄せていました。でも、自分では気付いていなかったんです。兄さんの事をあくまで妹として『好き』なだけだと思っていたんだと思います。でも、あの日・・・ようやく、自分の想いを再確認して、その想いに確信を持てたんです。『妹』としてではなく、『1人の女性』として、『坂下 来兎』の事を好いているんだって。」

「へぇ。・・・やっぱり、来兎君は記憶を失っても失っていなくても『来兎君』ね。話を聞いただけでも分かるわ。それにしても、すごい変化球・・・。」

「ん。」

「来兎のヤツ、中々やるのぅ。」

「その話、あたしも聞いたことあるよ!後で現場に張り込んでた颯月組の構成員さんに聞いてみたら、華ちゃんと来兎の『2人のコンビネーションにスゴ味を感じた』って言ってたよ!」

「いやー、テレるっスねぇ。」

「華ちゃんも来兎の事が好きだから?(アナベルの電☆波☆思☆考 照れる→来兎とのコンビネーションが凄かった事に照れる→来兎のことが好き?)」

「ファッ!?」

「へ?違うの?」

「べ、別にっ!そんなわけじゃないっスけどっ!・・・う、うーん。えーと、『年上の友人』としては大好きっス。でも多分、それは茉莉とは違う『好き』だと思うっス・・・多分。」

「・・・まあ、『好き』には種類も方向も色々あると思うけれど・・・。茉莉ちゃん。今後は程々にね?」

「以後、気をつけます・・・。」

「ん。分かればよろしー。次、アナベルさんの番。」

「え、あたしも!?」

「当たり前じゃ!妾が露天風呂で【ピー音】を女性陣のみならず男性陣にも晒したあの屈辱を忘れるわけが無かろう!」

「・・・やっぱり怒ってる・・・?」

「怒っていないわけがなかろうがぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

「ごめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえん!!」

「アナベルさん、悪気が無くても、無垢な女の子を穢すのは、良くない。」

「咲の言う通りね。よしよし(ナデナデ)。」

「えへへ・・・。猫菜さまぁ・・・大しゅきぃ・・・(照)。」

「そっちはそっちで何を百合百合してるんスか・・・。」

「さぁて・・・お仕置きの時間じゃ。」

「は、秦ちゃん・・・?何する気・・・!?」

「其方はこの『片倉 秦』が直々にブチのめす!」

「以後気をつけまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!」

「逃さんわ!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!(超スピードくすぐり)」

「きゃはははははははははははっ!ひひっ!や、やめっ、秦ちゃん、やめっ!ははははははははははは!!」

「まだまだじゃ!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!(超スピード全身突き」

「きゃはははははははっ!はっはぁ・・・。はうっ!?ダメだよ秦ちゃん、そこは・・・」

「あっ(察し)。ちょ、すまぬ!妾もやりすぎた!早まるなアナベル!」

「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

〜Nice Boat.〜

「・・・やってしもうた・・・妾、決してそっち路線ではないのに・・・。」

「あ、あたしもちゃんと男の子が好きだよ・・・?きゅう・・・。」

長月 アナベル 再起不能リタイア

〜午前8時 華の別荘・寝室A(ナレーション復活)〜

・・・下の部屋から物音がする。昨晩行われたババ抜き勝負で全敗した事により食す事になってしまった、アナベル製の「テロ飯ダークマター」により、極度の疲労に見舞われてそのまま気絶してしまった俺は、夜更かししていたらしい皆とほぼ同じ時間に目を覚ました。

「ふぁぁ・・・。おはよ、兄さん・・・。」

「おはよう、茉莉。」

隣では寝起きの茉莉が目を擦っている。髪の毛はボサボサたが、それがまたあどけなさを演出していて、これはこれで可愛いかもしれない。

「兄さ〜ん・・・。ぎゅ〜。」

「!?」

そんな事を思っていた矢先に、茉莉が突然、俺を自身の胸に抱き寄せてきた。

「えへへ〜・・・兄さ〜ん・・・。zzz・・・。」

「あ、あのー、茉莉さん?我が妹よ?」

「むにゃむにゃ・・・?んうう?」

「胸に顔がメリこんでますがな」

「いーの!にーさんならいーの・・・。むにゃ・・・」

・・・寝ぼけているのだろうか?というか、それなりにある胸(C)を俺の顔面に押し付けている事に抵抗は無いのだろうか?うーん。2年前に記憶を失ったとはいえ、俺は時々、実の妹であるにもかかわらず、茉莉の事がわからない時がある。

「・・・よしよし。」

俺は何とか右手を伸ばし、俺を抱きしめる茉莉の頭を撫でた。

「・・・えへへ〜。」

そして俺は、茉莉の甘えた声と胸の柔らかな感触、ほんのりとただようシャンプーの香りに眠気を誘われ、再び意識を夢の世界へと落としてしまった。

〜午前10時〜

「・・・?ふぁぁ・・・」

寝てしまっていたのか・・・。後遺症による眠気と茉莉の温もりが相まって、寝落ちせざるを得ない状況だったが・・・。さすがに背徳感があるな。さ、早く起きて、リビングで帰る準備を整えないとな。

と思い、身体をベッドから起こして目を開けると、そこには、

「「「「「「・・・」」」」」」

「・・・(照)」

色々な表情をしながらこちらを見つめる皆と、横で頬を赤らめている茉莉の姿があった。

「来兎君、茉莉ちゃん。・・・昨晩はお楽しみだったのかしら?」

「ファッ!?何言ってんだ、猫菜!?」

「何もこうも、其方・・・茉莉がこんな反応をしているのに、『何も無かった』とは言わせぬぞ?」

「いや、本当に何も無かったぞ?」

「ダメだ、来兎クンはそういう事の区別がついてないから、聞くだけ無駄だよ。茉莉たん。・・・キミを苦しめたくは無いけど、聞かせてくれ。昨日、来兎クンと何があった?いや、ナニがあったんだい!?(迫真)」

「その聞き方はやめたほーが良いと思うよ?」

「ごめんよ、アナベル。で、どうなんだい?」

「・・・今日の朝、寝ぼけて・・・」

「「「「「「寝ぼけて・・・?」」」」」」

「兄さんの顔を胸に埋めさせたまま寝かせてしまいました」

「「「「「「ナニやってんだ2人共ォォォォォォ!」」」」」」

茉莉以外の一同がブチ切れる。・・・まあ確かに、俺もまさに今、そのせいで落ちた意識を取り戻したところだが。

「何って・・・添い寝?」

「来兎さん。おっぱいの中で寝るのは、添い寝じゃない。」

咲が表情を変えずに指摘する。

「え・・・確かに恋人とかだったらそういう事なんだろうけど、茉莉こいつ、妹だぞ?」

「でも、茉莉さんも女の子。ダメなものはダメ。」

「ちょっと何言ってるかわかんない。」

俺は、本当に咲の言いたい事が分からなかった。

「別にやましい気持ちなんて無いぞ?」

「「「「「「よく言うよ」」」」」」

「そう・・・ですか・・・そうですよね・・・妹ですし。」

「「「「「「茉莉さーん!?」」」」」」

茉莉が何故か残念そうな顔をする。そして一同は、茉莉をガン見して戸惑った。

「兄さん!」

「?」

茉莉は目の奥に闘志を滾らせて言った。

「いつか、兄さんに『妹』としてだけじゃなくて、1人の『女の子』として好きになってもらえるようになるまで、精進し続けるね!」

「「「「「「ゑ」」」」」」

「はい?」

「そして、いつか絶対に、兄さんを私に欲情させてみせます!」

「「「「「「言いおったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」」」」

「・・・お、おう・・・?」

皆が慌てふためき、戸惑う。しかし俺はその台詞を聞いても尚、慌てる事は無かった。この時の俺はまだ、「俺を欲情させてみせる→『兄妹』という壁がある相手を悩殺できれば、壁の無いオトコなんてイチコロよ☆→俺は世のイケメンワンパン悩殺ダメージ計測基準の目安」としか考えていなかったからだ。

「茉莉たぁぁぁぁぁぁぁん!!?ソレ、いろいろとアウトだよ!?」

「来兎君も、それが何を・・・いいえ、ナニを意味するか分かっているの!?(スゴ味)」

「猫菜さま、言い切った。」

「まだ10歳なのに何の話をしているのか分かってしまう自分が情けないのぅ・・・。」

「うーん?さっきはノリでキレてみたけど・・・これ、何の話?」

「アナベル先輩はまだ知らなくて良い事っスよ。・・・ホント、ピュアに育ったっスね。」

「?そーなのかな?」

こうして、大荒れの朝はあっという間に過ぎていき、いつの間にか、颯月組の構成員が運転する迎えの車が、別荘の目の前へと到着していた。

「えーと・・・来兎君。とりあえずあなたには、帰りの車内でミッチリとお説教する必要があるみたいね。」

「ファッ!?」

遺憾!誠に遺憾です!

「ん。来兎、もっと女の子との関わり方、勉強した方が良い。」

「咲まで!?」

「そうじゃな。茉莉。いくら相手が兄だからって、やって良い事と悪い事はある。それに、相手が妹だからって、許して良い事とダメな事だってあるのじゃ。その事を来兎にも、よーく教えておかんとなぁ。やれやれ。この話、本当に10歳の少女がするべき話なのかのぅ?」

おかしい。10歳の女児が、中高生である俺と茉莉よりも大人っぽい・・・だと・・・?(まあ、単純な実年齢だけて数えれば、秦はいわゆる『ロリババア』だから無理もないかもしれないが)

「とりあえず・・・」

「「「帰り道、覚悟しておいてね・・・?」」」

「・・・なあ、茉莉。」

「うん、兄さん。」

「「色々とスンマセンでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!許してくださぁぁぁぁぁぁいッ!(モハメド☆平謝り)」」

「「「だが断る」」」

「「ぐはぁ(吐血)」」

その後、俺と茉莉は「車内で兄妹のスキンシップと年頃の男女の付き合い方」について、猫菜、咲、秦の3人から、みっちりと「教育」という名のお説教を喰らった。

では最後に、車で自宅へと送ってもらい、ようやくお説教から解放された俺と茉莉の第一声をどうぞ。

「「オー!ノーッ・・・」」


夏休み編、まだまだ続きます。

次は水着回だヨ・・・多分・・・。

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