第22話 華の別荘に行こう その4

〜華の別荘・リビング〜

茉莉と華の料理を食べた俺達は、毎食毎食飽きもせず、「うぅぅぅぅぅんまぁぁぁぁぁぁぁぁぁい」と、その料理がいかに美味かを知らない他人ひとからすると大袈裟すぎるように見えてしまうリアクションを反射的にとり、幸せな時も、困難な時も(以下略)、その胃袋を料理と満足感と幸福が満たすまで味わい続けた。

〜午後9時〜

その後、再びテレビを観たり本を読んだりと、まったりとした時間を過ごして胃を休めた後、皆で敷地内にある無料の露天風呂へと入る事にした。もちろん、温泉郷のすぐ近くに位置する山の斜面に沿って造られている別荘地なだけあって、家の浴槽に溜まる湯も、もちろん温泉水だが(昨日のお風呂シーンはカットしましたが、皆、温泉を満喫しました)・・・ここでの最後の夜は、それに相応しい場所での入浴が良いのではないかという事で、急遽、皆で歩いて数百メートルの山を登った先にある露天風呂、「満月の湯」へと行く事になったのである。

〜午後9時15分 満月の湯・男子更衣室(ここからしばらく、ナレーションが少し減ります。)〜

「なあ、桃矢。」

「何だい?」

「ここってさ・・・」

「うん・・・」

〜同時刻・女子更衣室〜

「「・・・」」

猫菜と咲が黙り込む。

「ね、ねえ、秦ちゃん、ここって・・・!(照)」

「何じゃ?皆の衆。昔の風呂はこういうのがほとんどじゃったぞ?」

顔を赤らめて驚くアナベルと、その顔を「ハァ?当たり前だろーが」とでも言いたげな表情で見上げる秦。

「に、兄さんの・・・ハァハァ」

「落ち着けっス、茉莉。はぁ。でも、割とこの別荘持ってからしばらく経ったんスけど・・・1人だと虚しいからって、ここには来た事無かったんスよね。まさかここが・・・」

〜一同〜

だったとはッ!!」

〜男子更衣室〜

「いや、さすがに俺でもこれは刺激が強すぎないか?」

「茉莉たんの・・・ハァハァ」

「オメー、間違っても茉莉に手ェ出そうだなんて思うんじゃねーぞ。」

お前にまだ直触りは早い。関係的にも、免疫鼻血的にも。

「大丈夫☆僕は『イエス茉莉たん、ノータッチ』派のれっきとした紳士だから☆本人の意思を尊重するYO☆」

「何の派閥だよ。それに何となく最後の『☆』が異様にムカつくけど、分かってくれてるみたいだからオーケーとしよう。」

「よっしゃああああああ!!目に焼き付けて一生のオカz」

WRYYYYYYYウリィィィィィィィ!」

「ブゲァ!」

「テメーの粗末なイチモツのソレに使われる茉莉が可哀想すぎるだろ。別に俺、シスコンってじゃ無いけど(大嘘)・・・さすがにどうかと思うぞ。もっと木々をなぎ倒す程までに成長させて、どうぞ。」

・・・誰だ、「(大嘘)」って書いた奴。

「大〜きな〜イチモツを〜く〜だ〜さ〜い〜♪」

「無駄無駄無駄無駄ァー!!」

「めきゃべつ!!」

葛飾 桃矢 再起不能リタイア

〜女子更衣室〜

「ハァハァ・・・兄さんの・・・兄さんのナニを・・・合法的に・・・!」

「いやいや、さすがにタオルくらいは巻いてくるっスよ。来兎センパイの事っスし、変態妹さんにナニを凝視されることの危険性くらい、分かってるんじゃないスか?・・・まー、桃矢センパイは・・・もしかしたらガチ全裸かもしれないっスけど。」

「お主ら、女子更衣室の中とはいえ、何て会話しとるんじゃ・・・」

「みんなー!遅いよ!早く入ろ!」

「はい!アナベルさん!(早く兄さんのナニを・・・ぐへへ)」

「ヤバいっス、茉莉の目がヤバいっス」

「やれやれじゃ。」

「咲。私達も早く行きましょう。」

「ん。でも・・・猫は湿気、苦手。私、行っても大丈夫?」

「私は人間形態になってれば平気だから問題無いわ。多分、咲もそうよ。」

「・・・そうかな。」

「ええ。だから、早くいらっしゃい。」

「ん。りょーかい、猫菜さま。」

〜満月の湯・露天風呂(桃矢、復活)〜

「fooooooooooaaaaaaaaaa!!」

「蘇生数秒後だがブッ飛ばしてくれるわぁぁぁッ!!」

「ゴペァ!」

桃矢は三度みたび、俺のラッシュを受けて湯の中にブッ飛ばされた。

「ふふっ。桃矢さん、鼻血出てますよ?」

「ぶぱぁぁぁぁぁぁ(2つの原因により鼻血ブー)」

「温泉に血が混じってしまうじゃあないっスか!早く血を止めるっス!」

「無駄無駄ァァーッ!」

「ブボァ!」

俺は更衣室に置いてあるズボンの中にしまっておいたティッシュを桃矢の両鼻にブチ込んだ。

「ふぅ、助かったよ、来兎クン・・・。」

「「「「「「「以後、気をつけるように。」」」」」」」

「ハイ。」

「秦ちゃん!おねーちゃんが頭と身体、洗ってあげるね!」

アナベルは、岩を削り取って造った浴槽から出て涼んでいる秦の頭に、シャワーヘッドから出した水をぶっかける。

「ええい!やめんか!其方が姉ぶっていろいろしでかすとロクな事が起きぬではないか!」

秦の身体を石鹸まみれの手でベタベタと触るアナベル。そして秦は抵抗むなしく、

「まーまーそんな事言わずにー!」

「やっ、ダメじゃ!そこは違っ」

「それっ!」

「ふぁぁぁぁぁぁぁぁ!!【ピー音】!!」

〜ただいま映像が乱れております〜

「はぁ・・・はぁ・・・何て危険な隣人なのじゃ・・・妾、まだ10歳なのに・・・」

「?どーしたんだろ?秦ちゃん、突然震えて倒れちゃったけど・・・。」

「「思春期真っ只中の男子高校生には刺激が強すぎる光景でした」」

「!?何で!?ってゆーか、あたし、そんなにヒドい事しちゃった(自分のした事をただのスキンシップだと思っている)!?」

「「ええ、とても。」」

「・・・?」

「アナベル。」

「アナベルさん。」

「?」

「「天誅ッ!!」」

「きゅう・・・。」

俺と桃矢が頬を赤く染めたまま「やれやれ」と言いながら湯船に浸かっていると、猫菜と咲が、自覚せずに過ぎた悪戯をしているアナベルの首元にダブルチョップを打ち込んでいた。・・・コイツらもコイツらで何をしているんだか。

「ハァ・・・ハァ・・・。」

「茉莉?のぼせたのか?」

「へ?いえ、別に・・・ハァハァ」

「じゃあ何で、息が荒いんだよ・・・お前、別に喘息持ちとかじゃねーだろーが。」

「い、いえ、特に何も理由なんてハァハァ」

「・・・?何だ?俺のタオルに何かついてるか?」

一応、男性陣は腰に、女性陣は胸から腰にかけて、タオルを巻いているわけだが・・・なぜか、茉莉は俺のタオルばかりを見ている。

「ハァハァ・・・HEYYYYYYYYY」

「どうした本当に」

「いいえ、何でも・・・っ!」

「ぜってー何かあるだろ!」

明らかに茉莉の目の中でピンク色のハートが輝いているし、茉莉の周りにもピンクっぽい煙みたいなモヤモヤしたオーラが見える・・・。

「ええい!ままよ!兄さん!おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「何だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「この場で見せてください!いや、魅せてください!兄さんのナニをッ!!」

「ハァ!?」

「保健の授業で習って、前々から興味があったんdeath☆(大嘘)」

「ハァァァァァァァ!?」

「ま、茉莉たん、僕ので良けれb」

「あ、桃矢さんのは別に良いです・・・タオル越しの輪郭からして、桃矢さんのは貧しそうですし・・・。」

「おうふ(撃沈。チンだけに)」

「このド変態がァーッ!」

俺は全力で湯船から立ち上がり、茉莉を叱りつけた。茉莉・・・まさかお前がここまで男の子の身体に興味があったとは。人って、やっぱり成長するんだな。心も、身体も。俺は妹の成長を実感したよ。・・・悪い意味で。

「妹よ、もっと自分を大切にしなさい。」

「は、はぁ〜い♡」

何だ、今の「♡」。

「(ウッヒョオオオオオオオオオイ!!見えたっ!見えましたよっ!!兄さんが思いっきり湯船から上がって、某クサレ脳ミソの修正前セリフリスペクトの変態指摘セリフを言った、その瞬間!タオルがめくれ上がったところからッ!ベネ良しディモールト・ベネすごく良し!未来は明るいでっせぇぇぇぇぇぇぇ!!)」

・・・。何か今、茉莉があらぬ事を考えていたような気が。まあいいや。

〜午後11時 華の別荘・リビング〜

俺達は満月の湯でしばらく寛いだ後、華の別荘へと戻り、全員、リビングに置いてある大きなテーブルを囲むように椅子へと腰を下ろした。緊迫した雰囲気がリビングの空気を凍てつかせる。

「さぁ・・・始めるっスよ。」

「そうですね!市原先輩!」

「「いざ!ババ抜きッ!!!」」

何で突然ババ抜きを・・・。

「いやー、動画見てたら、やりまくなっちゃったんスよ〜。」

「というわけで、やりましょう!」

そんな事だろうと思った。、まあ、面白そうだからやるけど。

〜ゲーム開始ッ!〜

「なあ、1番負けたチームに居た回数が多かった奴に罰ゲームとかあるのか?」

「ああ、もちろんあるっスよ。人狼ゲームの敗北者には・・・」

「「「「「「敗北者には・・・?」」」」」」

「あたしの料理修行の過程で作れちゃった料理を食べてもらうよっ!」

そう言って、アナベルがキッチンから、文字通りの暗黒物質ダークマターを持ってきた。

「・・・出たな。飯テロならぬ『テロ飯』。」

「お、来兎クン、今のウマいね。」

「それほどでもあるかな」

「あるんかい!」

「「どわっはっはっはっは」」

俺と桃矢は、脳裏をよぎるトラウマに怯えていた。

「華。もうすでに2人が錯乱状態なんじゃが・・・。」

「はぁ・・・これはいくら私でも食べたらタダじゃ済まないわね・・・。(『鎮静術』。神力により詠唱を省略・・・。付与対象は来兎君と桃矢君。)」

・・・心が落ち着いてきた。恐らく、猫菜の術か何かのおかげだろう(黄金の理解)。グラッツェありがとう

・・・。とにかく、このテロ飯だけは絶対に食べるわけにはいかない!!俺は強い決意を胸に、戦いの火蓋を切り落とした。

〜7月21日・午前0時〜

俺達は4人ずつに分かれては勝負し、またランダムで4人ずつに分かれては勝負してを繰り返した。そして1時間の死闘の末、結果は・・・。

俺の全敗により、テロ飯は俺の元へとやってきてしまった。・・・OH、MY、GOD・・・。

いや、フツーにだ。フツーに考えて・・・。


① ハンサムの来兎は突如勝利のアイデアがひらめく

② 茉莉か猫菜あたりの誰かが助けてくれる

③ 全敗。現実は非情である。


という3択があったとしたら、俺が辿る道は①か②だろ。フツーに考えて。だって俺、仮にも主人公だし・・・。何でよりによって③なんだよ・・・。トホホ・・・。ネタ小説の世界って怖いな・・・。

〜テロ飯タイム〜

俺はダークマターが盛られた皿を前に、なるべく短時間で、それでいて限りなく少ない口数で食べ切ってしまおうと、箸を持ちながら、最初の一口として食べる部分をどこにするか悩んでいた。目の前のダークマターは、成功していれば川魚と鶏肉の唐揚げになるはずだったものらしいが、今ではもう見る影も無い。

そして数分後。

「いっただっきまーーーすゥ!!」

俺はやっと覚悟を決めて、箸に挟んだ大きな黒い物体を口に運んだ。

「もぐmおrrrrrrrrrrrr」

〜ただいま映像が乱れておりますACT2〜

「ハァ・・・ハァ・・・ぐはぁ」

俺は何とか、ダークマターを飲み込む前に全て吐き出した事により、一命をとり留めた。大袈裟かもしれないが、マジで死ぬかと思ったのだ。しかし、そのダークマターとの戦いに疲れた俺は、そのままテーブルに顔を突っ伏して眠ってしまった。皆が俺の後ろで騒いでいる声が聞こえていたが・・・。そんな状態の俺に、皆の声など届くはずが無かった。

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