幕間 金髪少女は猫が好き

〜7月8日・午前8時 皆光学園・1年D組〜

今日は火曜日。珍しく特にこれといったハプニングも無く登校した俺は、早速、教室内の風景に違和感を覚える。

「アナベルがいねぇ!!」

「さっき先生に聞いてみたら、どうやら連絡も入ってないらしいのよ。・・・家を出てはいるらしいのだけれど。どこかで寄り道でもしてるのかしらね?」

「まー、アイツの事だからなー。」

確かにあの性格ならやりかねない。悲しいことに、登校中に小鳥の群れと戯れているビジョンが見えてきてしまうのだ。

「・・・でも一応、何かあったら困るから・・・咲と一部の猫達には捜索をテレパシーで頼んであるわ。」

「そっか。なら安心だな。」

・・・と思ったのも束の間。

〜午前9時〜

「来ねーじゃねーか!(テレパシー)」

「・・・何をやっているのかしら・・・。(テレパシー)」

「?(テレパシー)」

「いや。咲から、アナベルとコンタクトを取れたとの連絡が入ったのだけれど・・・。アナベルが一向に動く気がないみたいなの。リュックに触ったり、生徒手帳をポケットから出したりして、何とか学校に行かなければならないということを気づかせようとはしているらしいのだけれど・・・。(テレパシー)」

「けれど?(テレパシー)」

「咲を含む猫を愛で始めたら止まらなくなったみたいで・・・登校(すでに大遅刻)そっちのけで猫を撫で回しているらしくて・・・。」

「何やってんだマジで」

・・・面倒だが、仕方ない。次のトイレ休憩にでも電話をかけて喝を入れてやるとしよう。

〜同時刻 猫間神社・境内(咲視点)〜

・・・どうしよう。

アナベルさんが学校に行こうとする素振りを全く見せない。・・・アナベルさんが猫好きだったという事を知らずに探したのが盲点だったかな・・・。ボク達をモフり始めてからもう1時間弱経つ。みんな必死にアナベルさんが学校に行くように促してるけど、アナベルさんはボク達がじゃれてきてるとしか思ってないみたい。来兎さんとの一件で感覚が麻痺してたけど・・・言葉が通じないって、こんなに大変だったっけ・・・。とりあえず、何とかしなくちゃ。

「良お~~~~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!!可愛いねぇ!!もふもふもふもふもふもふもふもふ〜!!」

・・・と思ったけど、ボク達が猫である以上、アナベルさんを止める手段は無い気がする。

「もふもふもふもふもふもふ〜!」

・・・ダメだこりゃ。

〜午前9時30分 皆光学園・1年D組(来兎視点)〜

「起立!礼!」

俺は授業が終わったと同時にスマホを取り出してアナベルに電話をかけた。

「・・・。」

「とぅるるるるるるるるるるる・・・とぅるるるるるるるるるるる・・・タダイマ電話ニ出ル事ガ出キマセン。ピートイウ音ニ続ケテ、オ名前トゴヨーケンヲ・・・」

「出ねーじゃねーか!!」

・・・どうせこんな事だろうと思ってはいたが。アイツ、マジで何やってんだ・・・。

「着信に気付けないほど、猫を愛でる事しか頭に無いって事かしら・・・?」

「とりあえず、次の休憩時間にまたかけてみるとするか・・・。」

〜午後0時30分〜

「とぅるるるるるるるるるる・・・とぅるるるるるるるるるるる・・・タダイマ、電話ニd」」

「ナズェデナインディス!!?」

「本当に何してるのかしら・・・。」

〜午後4時30分 猫間神社・境内〜

「「何してんのホントに・・・。」」

「?あーっ!来兎!猫菜ちゃん!ねえ、早くこっち来て!猫ちゃん達がこんなに・・・。」

コイツ、マジか・・・。

「お前なぁ・・・。」

「アナベル。今、背中に背負ってるものを確認してみなさい・・・。」

「?・・・・・・・・・あっ(察し)」

気づいてなかったのか!?へ!?え、ちょっと待て。え、え・・・え〜・・・(悲嘆)。マジかコイツ。

「「(怒)」」

「あ・・・あははははははははは・・・」

何ワロとんねん。

「「ちゃんと学校に行きなさいッ!!」」

「ずびばぜぇぇぇぇぇぇん!!」

はぁ・・・。コイツは料理以外でもたまーにこういう事をやらかすから不安なんだ。・・・仕方ない。今後こういう事があったら、状況によっては猫菜に手伝ってもらってでも、俺が何とかして連れて行ってやるとしよう。

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