第13話 華麗なるフラグラッシュ

〜午前7時30分 自宅・自室〜

なんという事だろう。あれだけスゴ味を効かせて「メンタル削られなけりゃ体調なんて崩しません」発言をしたというのに・・・まさか、それがフラグになってしまうとは。

そう。画面の前のあなたはもうお察しかもしれないが、俺は今・・・。

「ゲホッゲホッ!ウェッホッホ!」

風邪により、絶賛ダウン中であった。

「兄さん、大丈夫?」

「大丈夫なわけが・・・ある・・・か・・・。ゲホッゲホッ!!」

「ねえ兄さん。私も学校休んで、今日は兄さんの看病してようか?」

「いや、ただの風邪だろうし、そこまでではないだろ・・・。ゲホオッ!」

「・・・不安だな〜。でも、兄さんがそう言うなら行ってくるね。鍋にお粥を作っておいたから、お腹が空いたらキッチンから持ってって食べて。」

「ああ。ありがとう。」

茉莉は相も変わらず気の利いた事を・・・。時々、一家に1人茉莉がいたら世界はどれだけ平和だろうかと考えてしまう程だ。本当に俺が、ここまでハイスペックな妹の兄で良いのだろうか・・・。マジで助かってます。ありがとう、茉莉。

「あと、さっき玄関先から音が聞こえたから、ドアを開けてみたら・・・」

そんな事を思いながら、ベッドで再び眠りかけていた時だった。

「『来兎君へ』って書いてある手紙を首輪にぶら下げてる猫さんが家の前で座ってたから、連れて来ちゃった。兄さん。この猫の飼い主さんの事知ってるの?」

見覚えのある猫・・・だが「神じゃない方」が、茉莉に抱えられて俺の部屋へとやってきた。

「ん?・・・ああ。最近、猫間神社でよく見かけるんだ。多分、神社でエサを貰ってる猫なんだと思う(本当は神の使いだけど)。それにしても・・・何故家まで来た・・・。」

・・・さすがに猫菜のことをバラす訳にもいくまいと、俺はテキトーな言い訳で誤魔化した。それにしても、どうして咲が伝書鳩代わりに・・・。

「へー。名前とか、あるの?」

「一応、猫菜が『咲』って呼んでたから、俺もそう呼んでる。」

「猫菜さんが・・・。人間みたいな名前だね。」

「ハハハ・・・だな。ゲホッゲホッゲホッ!」

「あっ!いけない!そろそろ時間が・・・。行ってくるね、兄さん!あと・・・咲ちゃん、どうする?」

「えーと・・・後でテキトーに何とかする。とりあえず行ってらっしゃ・・・ゲホォ!」

「んん・・・。行ってきまーす!」

茉莉が「もう心配したら負けだ」と言わんばかりの表情で家を飛び出していく。ホント、心配かけてスンマセン。

〜午前8時〜

さて。家に咲がやってきたわけだが・・・どうしようか。

とりあえず俺は咲の首輪にぶら下げられていた手紙を首輪から外し、その手紙を読み始めた。

「何々・・・?『来兎君へ。体調、大丈夫かしら?咲が散歩中に具合悪そうにしている来兎君を見かけたというから、その咲に手紙を持たせてみたのだけれど。・・・どうせあなたの事だから、茉莉ちゃんにも看病を断って学校に行かせたのでしょう?だから、代わりに咲を向かわせたの。一応、首輪に巻いたお札のおかげで、自動翻訳はできるようになっているはずだから、コミュニケーションはそれでとってね。後で偶然を装って、茉莉ちゃんと一緒にお邪魔させてもらうわ。その時まで、何か困ったことがあったら咲を頼ってね。今日中だけの時間制限付きだけど、最低限の力は授けてあるから。それでは、お大事に。』・・・だからあんな朝早くにわざわざ俺ん家に来てたんだな・・・。お疲れ、咲。ゲホォ!!」

「無理して喋らないで。・・・今日は夕方までボクが来兎の面倒をみてって言われてる。何かやって欲しいことがあったら言って。あと、一通りの家事も教えてもらった。テキトーにやっとく。」

「ああ・・・スマン。じゃあ早速だけど、キッチンから、茉莉が作ってくれてたっていうお粥を取ってきて欲しい。頼めるか?」

「ん。任せて。」

咲がキッチンへと向かう。俺は経口補水液を口にし、再びベッドに横たわった。・・・学校が休みなのに、こんなにも嬉しくないのは久しぶりだ。やはり体調を崩していると、気分も沈んでいくものなのだろうか。

とりあえず、身体も心も早く治さないとな・・・。

〜お粥運搬中〜

「お待たせ。」

「ああ。ありがとう。」

俺は咲が持ってきてくれたお粥を口にする。・・・うん。やはり茉莉の料理は美味しい。

「じゃ、お洗濯してくる。来兎は大人しく寝てて。」

「じゃ、俺はお言葉に甘えてもう1回寝ようかな。いろいろありがとう、咲。」

「ん。おやすみ。」

それにしても、まさか昨日の今日で咲と再会することになるとは。しかも、人間の姿で。・・・

俺は、視界が塞がる程の洗濯物を持って脱衣所へと向かう咲を横目に、そんな事を考えながら再び眠りについた。

〜午後1時〜

「ふぁぁ・・・。」

俺は枕元のスマホを起動し、時間を確認する。「13:00」・・・。結構寝てしまっていたようだ。

そういえば、布団の中に俺以外の温もりを感じる。病人の身体を温めようと、咲が湯たんぽでも入れてくれたのだろうか。もう湯たんぽを使うような季節ではないが、体調のせいか、今はとてもありがたみを感じる。

ところで咲は何をしているのだろうか。俺の視界にはいないから・・・洗濯でもしているのだろうか。

「ふにゃぁぁ・・・。」

・・・否。ぜんっぜんそんな事ありませんでした。咲は今・・・。

「にゃ?」

俺の布団の中で縮こまってました。しかも人間形態で。・・・股間に顔をうずめながら。

「おまわりさんこのです」

「にゃ?」

「いや、どー考えてもアウトだろうよい」

俺は思わず口調が不死鳥(誰とは言わない)になってしまうほど焦りながら、足を引っ込めて布団に座った。バトル漫画で「ふかふかキン○マクラ」というものを聞いたことがあるが・・・まさか、現実で俺のモノがソレにされるとは。しかも、ロリっ娘に。

「・・・どうしてこうなった?」

「こういう事したら男の子は喜ぶって、猫菜さまが。」

「アイツ、幼気な少女にいらん事を・・・。」

「?」

「いや、なんでもない。」

「それで、どうだった?嬉しかった?」

「嬉しくないといえば嘘になる」

「やったー。」

「・・・でも、いろいろアウトだから今後はやめような。お兄さんとの約束だ。」

「・・・来兎の妹は茉莉ちゃんって人じゃないの?」

「マジな意味での『お兄さん』じゃないっつーの。つーか肝心なのはそこじゃないし。とにかく、そーゆー無防備な事は今後しないようにな。・・・もし誰かに見られたら社会的に死ぬから。俺が。」

「むぅ・・・わかった。」

やれやれ。相手が相手である以上、茉莉やよく家に来る友人(アナベル・猫菜・華・桃矢)・・・特に猫菜に見られていたらいろいろとマズかったが・・・家に俺と咲以外に誰もいなくて良かった。

・・・フラグじゃないよな!?このセリフ!!(フラグ確認)

いやー危ない危ない。・・・実のところ、最近、「このたぐいのセリフを言うとほとんどフラグになる」とかいう謎のジンクスが怖くて仕方がないのである。

「・・・ねえ来兎。お腹減ってない?」

「うーん。確かに言われてみれば小腹が空いたかもな。」

寝てるだけでも、病気のせいで消耗するのだろうか。

「妹さんが作ったお粥は切らしてる。だから、ボクが猫菜さまから教わった料理を作ってみた。」

「ああ、ありがとう・・・。でも、『お粥は切らしてる』って・・・鍋1つ分作ってくれてたってのに、あの量(茶碗1杯)で終わりだったのか?」

「残ったお粥は全部ボクが美味しくいただきました」

「『つまみ』ってレベルじゃねーほどのつまみ食いしてんじゃねーぞ」

「お腹減ってたし、すっごく美味しかったから仕方ない。」

「・・・まー、客相手に何も出さないっつーのもどうかと思うし、茉莉の料理を前にして食べずにはいられない気持ちは大いに分かるから別にいいけど。で、お前が作ってくれた料理ってのは何なんだ?」

「猫まんま。」

「デスヨネー。」

うん。そんな事だろうと思ったよ。簡単だし、「猫まんま」って言うくらいだし、病人相手に作る料理だし。某・笑顔になる動画サイトなら、大きな赤文字で「知 っ て た」と書かれる程に分かりきった答えだった。

「・・・どうする?食べる?猫まんま。」

「ああ。食べる。ありがとな、咲。」

〜猫まんま運搬中〜

「どう?美味しい?」

「うん!!めちゃくちゃ美味い!!」

こいつ・・・デキる!今のところ茉莉や華には及ばないが、凄く才能がある気がする(少しだけ茉莉に教えてもらった程度の料理素人である俺が語って良い事なのかどうかはこの際どうでも良い)。

「美味しいなら・・・良かった。」

「ああ!美味いよ!・・・美味い・・・な・・・。」

・・・それにしても、寝て起きて・・・それ以外に本日起きたイベントが、飯(激ウマ)を食べるだけとは。皆は学校に行って、授業を受けたり、友人とふざけ合っているといるというのに。何だろうか。この罪悪感と倦怠感・・・。もっと大雑把にいうと「ヒマ感」。変な事をいろいろと考えてしまいそうだ。主に悪い意味で。

「・・・来兎、昨日より元気ない。病気のせい?」

「それもあるだろうけど・・・それよりも、皆と一緒に学校でふざけたり愚痴ったりできないのが寂しいっつーか何つーか。ちょっとナーバスになるんだよな。」

「ん・・・?」

「いや、分からなくても良いんだ。そもそも俺とお前じゃ、生物としての分類すら違うわけだし。・・・ま、もっと簡単に言うと、『早くみんなに会いたい』って事だ。」

「ん。それなら分かる。」

「だろ?・・・皆の笑顔を見てると、自然と元気が湧いてくる気がするんだ。ふぁぁ・・・なんか、俺らしくないよな。お前はいつもの俺をあんまり知らないだろうから、こんな事言ってもわかんねーと思うけど。」

「ううん。何となく分かる。猫菜さまが、しょっちゅー来兎の話してるから。」

「一体アイツはどんな俺の恥部をくっちゃべってくれているんだろうな」

「恥部・・・?ああ、アレとかアレとかアレとか・・・。」

「その話詳しく聞かせてもらおうか」

「ダメ。ナイショ。猫菜さまとの約束だから。」

「チッ」

「でも、それだけじゃない。・・・猫菜さまは、いっつも楽しそうに来兎の話、してる。」

「へー。あの猫菜がねぇ。」

「ん。来兎の事を話してる時だけは、はしゃいだり、顔を真っ赤にしたり・・・『女の子』になってる。」

「・・・。」

そんな言い方をされると、少々勘違いをしてしまいそうだ。猫菜はあくまでも俺の事を「恩人」だと思ってくれている猫の神様であって、多くは語らないが「そういうアレ(指示語フェスティバル)」では無いと分かっているのだが・・・。

「ゲフンゲフン(咳払い)!と、とりあえず、いろいろと傷口が広がりそうだから、猫菜の話は一旦これまでにしよう。」

「傷口?来兎、ケガしてたっけ?」

「物理的な傷口じゃあねーんだよ」

「?」

この猫、「傷口」という言葉の意味を理解していないようだ。・・・とりあえず俺は、咲にこれ以上変な言い方をしないように念を押し、三度みたび眠りについた。

〜午後5時〜

「あっ!来兎がこっち向いたよ!」

「ん。可愛い寝顔。」

「2人とも。もう少し落ち着きなさい。来兎君が起きちゃうでしょう。・・・と言いたいところなのだけれど・・・かくいう私も、このレアな来兎君の油断しきった表情を目の前にして、浮つかずにはいられないの。許して、茉莉ちゃん。」

「お気遣いなく〜。私も同じなので!」

「ブラコンな茉莉たんも尊いねぇ。」

「そして相変わらず桃矢センパイはキモいっスね。そこさえ無ければ結構イケメンなのに。ま、アタシのタイプじゃないっスけど。」

所謂いわゆる、『残念イケメン』というやつね。」

「ん。」

「確かにその言葉、ピッタリかも!残念イケメン・・・ププッ」

「僕の扱いが雑すぎる」

何だか部屋が騒がしいな・・・。何の騒ぎだ?こりゃ。

「ふぁぁ・・・揃いも揃って何を騒いでんだお前ら。」

病人の部屋では静かにするのが常識ってもんじゃあないのか・・・。

「あっ、おはよう。それと・・・ただいま。兄さん。」

「おかえり、茉莉。お粥美味かったぞ。」

「そう?良かった!」

うん。今日も茉莉は可愛いな。こんな病床に伏している時でも、茉莉を見ていると目が癒されていく。さすが俺の妹。(←超絶シスコン発言)

「えへへ・・・来ちゃった♪」

「来るのはいいが騒ぐな。」

「お邪魔してるわよ。」

「お邪魔するのはいいが騒ぐな。」

「体調はどうっスか〜?」

「良いはず無いだろ。察せ。」

「みんな来た。」

「知っとるわ。」

「来兎〜。何でみんな僕を雑に扱うんだろう・・・?」

「知るかヴォケ。」

「「「「「荒んでるなー。」」」」」

「お前らが病人の部屋で騒ぐからだろーがッ!自分を知れ!」

・・・その後、いろいろと俺の体調や、学校で起きた出来事の話をし、いつの間にから話題はそれぞれ皆が持って来てくれたと言う見舞い品の事になっていた。

「見舞いの品?」

「うん!みんな持って来てくれたんだって!というわけで、まずはあたしから!」

・・・一体、どういうわけでまずはアナベルからなのか分からないが・・・せっかくだし、ありがたく頂いておこう。

「はい!風邪薬!」

「うわあ・・・まさかお前がまともなものを持ってくる日が来るとは。素直に嬉しい。ありがとな。」

「それ、どういう意味!?」

「そのまんまだよ。」

茉莉や親父から聞かされた話だが、アナベルの象徴とも言える料理もといダークマター生成技術から分かるように、幼い頃から『擦り傷をねり飴で塞げば痛くない』とかいう謎理論を提唱して、俺が転んだ時に食べかけのねり飴を渡してきたり、誕生日プレゼントとして持って来てくれたものが、箱を開けるとパンチが飛び出してくるビックリ箱だったりと、俺が記憶を失う前から、アナベルのプレゼントは色々とブッ飛んでいるらしいのだ。・・・そして去年の夏、『今度、海に行くんだけど・・・来兎も一緒に行こ!水着も用意してるし!』と言って、なぜか3枚の絆創膏を持って来た時は流石に笑ってしまった。・・・男のアレは絆創膏3枚では隠せません。つーか、女でもそれはただの露出狂だし。

・・・とまあ、色々と俺を振り回してきたアナベルのプレゼントが、ここにきて急にまともなものになるとは。それはそれで、身構えていただけに肩透かしを食らった気がするが、今はとりあえずその成長を幼馴染(であろう存在)として喜ぶとしよう。

「次は私ね。(本当は神の力で風邪くらいブッ飛ばしてあげたいところだけど、来兎君以外の皆が居る以上、そうもいかないから・・・。)・・・はい。」

「何だ、これ。」

俺は目を丸くして、手渡されたいくつもの瓶に入った飲料らしきものを見つめた。

「よく効くと噂の栄養ドリンクよ。来兎君にはあまり縁がないからわからないと思うけど・・・。」

「おお!ありがとう、猫菜!」

「ごめんね。皆がいる手前、神らしき事は出来ないの。若干、効き目を増強させる力は付与しておいたけど・・・。(テレパシー)」

「おお。十分嬉しいから大丈夫だ、問題ない。(テレパシー)」

猫菜から貰えるものも普通に人間仕様のものだった・・・おかしいぞ?物に関してクセが強い2人から渡されたプレゼントが良い意味でも悪い意味でもまとも・・・だと?

「次はアタシっスね!はい!『スタンロッド』っス!」

しまった!地雷はコッチだったか!どんなゲームだよ!お見舞い品にスタンロッドって!!

「見舞い品がまんじすぎる件について・・・。何でこれを俺に?」

「具合悪い時に泥棒が入ってきたらどうするんスか。護身用にっスよ。」

「ああ・・・ありがとう。」

嬉しくないわけではが、特別に嬉しくなるようなものでもないものを貰ってしまった。まあ、貰っておいて損は無いだろうから、ありがたく受け取っておくとしよう。

「じゃあ最後は僕だね。暇つぶしにでもやってみると良いよ。」

「何々・・・?『Locus of O』?ゲームか?」

「ああ。すごく面白いんだ。僕は限定版を3周ほどプレイ済みだから、布教のために通常盤はこの機会に譲るよ。確か『Players sky 5』・・・持ってたよねぇ?」

「持ってる持ってる!ありがとな!」

まさかこんなところでゲームを貰う事を貰うことになろうとは。そういえばこのゲーム、ちょっと前に神ゲーと言われているゲームをまとめたサイトに書いてあったような気がする。これは楽しみだ。もう少し元気になったらやってみようと思う。

〜午後6時30分〜

さあ、そろそろ日が沈んできたという事で・・・俺は皆にお礼を言って、各々帰宅させる事にした。病人の部屋に長々と居させるわけにもいかないしな。

「じゃあね、来兎君。」

「早く治すんスよ〜。」

そして俺は皆が帰った後、再び眠りにつこうとしたが・・・どうしても、プレゼントが気になって仕方がなくなってしまった。良い意味でも、悪い意味でも。

というわけで、俺はまず最初に、最も信頼度が高い猫菜の栄養ドリンクを口にしてみようと思う。

「どれどれ・・・んぐっ、んぐっ。うおっ!?」

俺が数本貰った内の1本を飲み干すと、身体中に力がみなぎってくる。さすがは神の加護を受けた栄養ドリンク。風邪が治ってきているかどうかは別として、活動するためのエネルギーはかなり湧いてきた気がする。これから寝ようとしている今、果たしてそのエネルギーを得る必要があったのかどうかはさておき・・・確かに、これは良いものだ。これからも大切に使わせてもらうとしよう。

「次は・・・アナベルからもらった風邪薬・・・か。」

一応、よく薬局で見かける市販薬みたいだが・・・。正直、不安である。

「んぐっ。うえぇ・・・安定のマズさだな・・・。」

うん。「袋に全部穴が開いていて箱に顆粒が散らばっている」などという予期せぬトラップは無いようだ。それに、「子供なら卒倒してしまいそうな程にクソマズい顆粒剤」という特徴もそのまんまである。・・・まさか、本当にアナベルがちゃんとした物を持ってくるなんて・・・。記憶を失う前から、度々、プレゼントを持ってきた本人すら意図しないドッキリを幾度となく仕掛けられている(らしい)身からすると、逆に不安になってしまうな・・・いや、正しくは安心半分、不安半分といったところだろうか。「どう転んでも不安なんじゃねーか」思ったかもしれないが、実際にそうなのだから仕方ない。

「さて、次はスタンロッドか・・・。」

俺は、スタンロッドとそれを腰からぶら下げるためのサックを箱から取り出し、スタンロッドの電源を入れてみた。

「あ、そういえば電池、入れ忘r・・・」

そういえば、箱に単四電池を2本入れろ的な事が書いてあった気がする。

「ヴヴヴヴヴヴヴヴン!バチバチィ!!」

・・・。まさか電池がデフォルトで入っているとは限らないが。それに、元々入っていたものと同じ種類の単四電池も箱の中に入っていた。それにしても、なんと凶悪な音だ・・・。リーチもパワーも、銃刀法をはじめとした法律のギリギリまで攻めて作られているあたり、「持つべき者が持つべき物感」がハンパない逸品であるということがド素人の俺にさえ分かる。・・・こういう時に余計な事を言うとまた変なフラグが立ちそうだし、これ以上変な事を言うのはやめておくとしよう。このスタンロッドは、何かあった時のためにテレビ台の奥にでも隠しておくとするか・・・。

そして俺は最後に、桃矢から貰ったゲームソフトである「Locus of O」のディスクを部屋のハードにセットし、早速、起動してみた。

「〜♪(オープニング)」

「・・・!!」

早速、テレビ画面にとんでもなくカッコ良いオープニングアニメが流れ出し、これまたとんでもなくカッコ良い主題歌のイントロと素早く刻むドラムの音が耳に飛び込んできた。

・・・神ゲーの予感しかしない。今までの経験上、面白いゲームの音楽が必ずしも良かったわけではないが、少なくとも音楽が良いゲームにクソゲーは無かったのだ。それに、オープニングと一緒に流れているアニメまでカッコ良いときた。今はまだ風邪だからロクにプレイできないが、これは元気になった時にプレイするのが楽しみだ。

〜午後8時〜

そして俺は茉莉が作ってくれたお粥(夕食)を食べ、歯磨きを済ませて布団に包まった。・・・やはり風邪のせいだろうか。そろそろ眠くなってきたな。

「ふぁぁ・・・。」

よし、寝よう。おやすみなさい。

俺は「これ以上変な発言をしたらまた変なフラグを立ててしまうかもしれない」と思い、すぐに掛け布団をかけて眠ろうとした。

・・・?「そこは後でオイシイ展開になるように、あえてフラグを立てるのがラブコメ主人公だろうが」・・・だと?知った事か。俺は病人なのだ。日常にバラエティを求めている場合では無い。たっぷり眠って、早く風邪を治さなくては。

しかし・・・まさかこんな事を思いながらベッドで横になった数秒後、何のフラグを立てていないにもかかわらず、頼んでもいないハプニングが待ち受けているとは思わなかった。


次回 (再び?)バトル回・・・?

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