第5話 お泊まり会

〜午後5時40分 自宅・リビング(茉莉視点)〜

・・・ん?兄さんからメールだ・・・。なになに?「ちょっと寝る。晩飯になったら起こして」・・・。たくさん遊んだ後に桃矢さんの鼻血ブー事件があったんだし、無理もないよね・・・料理が終わるまでだけど、ゆっくり休んでね、兄さん。よしっ!じゃあ早速、料理を始めちゃいましょう!今日は兄さんの疲れを癒す、スタミナ料理を作っちゃいましょう!!そうだ!サラダにもニンニク入りのドレッシングを使っちゃおうかな・・・?

〜そして〜

「できましたーーっ!!」

「どうっスかっ!!アタシらの腕前っ!」

「確かにこれは・・・食欲をそそられるわね。ジュルリ・・・。」

これは・・・最高級の出来かもしれません!!私と市原先輩が力を合わせれば、美味しさを最大級まで引き出せない料理なんてありませんねっ!!

「ニャ・・・ゲフンゲフン!!じゃあ、ささっと来兎君を呼んでくるわね。(危ない危ない。危うく猫語で喋るところだったわ。)」

!?な、何か今、猫菜先輩の口からすごく可愛い声が聞こえた気がするんですが・・・気のせいでしょうか?

とりあえず、食器の用意は猫菜さんがやってくれていたので、猫菜さんが兄さんを呼びに行っている間に、私達は早く料理やらご飯やらをよそってしまいましょう!兄さん、きっと喜んでくれますよね!!

〜午後6時30分 自宅・自室(来兎視点)〜

「起きて、来兎君。晩ご飯出来たわよ。」

「ふぁぁ・・・。むにゃむにゃ・・・んぐぁ」

俺は、恐らく猫菜がつけてくれたであろう照明のスイッチを押して消し、二度寝の体勢へと入った。ちなみに、この一連の行動は全て無意識で行われていたようだ。

「にゃーーっ!!にゃにゃにゃっ!にゃーーっ!!にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!(せっかく料理ができてるのに寝ちゃうような子にはお仕置きが必要ね。たまには暴れるわよっ!起きなさいっ!)」

すると、目の前で猫菜の姿が一瞬で人から猫に変わり、その爪で俺の顔面(主に頬)を引っ掻きまくってきた。ちなみにカッコ内に書いてある事は、猫菜本人がテレパシーで翻訳してくれた言葉である。決して、俺に動物の言葉を翻訳できる力があるわけでは無い。

「いででででででででで!!わかった!わかったって!!ふぁぁ・・・おはよう・・・。」

「はい。おはよう、来兎君。ふふっ。」

「ハヨザース(適当)。つーか、そんな事はどうでも良くてだなぁ。・・・顔が傷だらけなんだけど。どうやって誤魔化すんだ、これ。」

「大丈夫よ。私の力で治せるから。」

猫菜が右手で俺の傷だらけになった顔に触れた瞬間、淡い緑色の光が猫菜の手から溢れ出し、傷がみるみる治っていった。・・・ここまでのチートパワーを持っておきながら、なぜガキどもにいじめられていたのか・・・。恐らく、マインドコントロールやらのタメ時間が間に合わないくらいのペースで攻撃を受けていたからなんだろうが・・・。なぜか腑に落ちない。

「はぁ・・・まったく人騒がせな。」

「ふふっ。ごめんね。さ、リビングに行きましょう。」

「ああ。」

かなり説明が遅くなってしまったが、ここは平家だから階段が無いのだ。故に、「寝ぼけて階段から落ちる」などという事故が起こる心配は無いが・・・。

「ぐべっ!」

「・・・どうして何も無いところで転んでるのかしら・・・?」

「眠いからだよ・・・。ふああ・・・。」

俺の寝起きが悪すぎるという問題がそれを上回った。・・・自分で言うのもどうかと思うが、無理もない。あれだけ疲れたのに、50分で起こされたのだから・・・。

〜自宅・リビング〜

「兄さん!今日は疲れたかと思って、スタミナ焼きにしました!」

「見てくださいよ。美味しそうじゃないスか?ホレホレ〜。」

「っ!!!これはっ・・・!!見たら分かる!美味いやつやん!」

「・・・そのネタは聞かなかった事にするとして、早速食べちゃいましょうか。私も、何気にさっきから楽しみにしてるのよ。」

「だな。俺も早く食べたい。・・・ありがとう、茉莉、華。」

「えへへ・・・。」

「感謝されるような事じゃないっス。アタシはただ料理を作るのも食べるのも好きなだけっスよ。ま、それで喜んでくれる人がいてくれるのはありがてー事っスけどね。」

「よし!じゃあいただきまーっす!!」

この後、俺達がどんな表情をしたかは言うまでもない。一人前を軽く超える量を食べてもどんどん湧いてくる食欲に逆らう事など到底できるわけもなく、俺達は胃袋が許す限り、ご飯とサラダ、そしてスタミナ焼きを食べ続けた。この食事で、改めて茉莉と華の料理は最高だと実感した。

〜午後8時〜

その後、俺と茉莉で後片付け食器洗いを済ませた後、俺達は4人で3人がけソファーに座りながら、テレビを見ていた。

「・・・暇っスね。」

「暇ね。」

「どうしましょう・・・?」

「寝よう」

「「「それはどうかと思う よ/っス/わね 。せっかくのお泊まり会なのに。」」」

「いいじゃん!寝かせてくれよっ!!」

暇って言ってたじゃん・・・ふぁぁ。

「じゃあ兄さんには仮眠をとってもらって、その間に私達は、1人ずつお風呂に入りませんか?」

ここで茉莉から名案が。これで俺はまた、少しだけど仮眠がとれる・・・。さすがは俺の妹(?)。

「おお!それは良い案っス!来兎センパイに覗かれる心配も無く、のんびりお風呂に入れるわけっスね!」

覗き!?冗談じゃないっ!さすがにその辺のマナーは守るぞ。・・・つーか俺、そんな事する奴だと思われてるの・・・?ちょっとショックなんだが。

「なるほど・・・華ちゃんも言ってたけど、確かに名案ね。」

だからそれ、どういう意味だっての。・・・まあいいや。俺はこれでまた少し寝れるんだからな。

「よし!じゃあそれでいこう!お休みっ!!・・・ぐがー。」

俺は右手でオーケーサインを出し、この時点で有無を言わせる前にそのままソファーの側面にもたれかかってソッコー眠った。その時間、僅か3秒。

〜その直後の会話をしばらくノーカットでどうぞ〜

「あ、それを聞くや否やすぐ寝ちゃいましたね・・・。」

「やっぱ疲れてるんスね〜。」

「無理させちゃったかしら?」

「いや、大半は桃矢センパイのせいっスから。アタシ達は気にする事ないっスよ。」

「桃矢・・・?ああ、来兎君の友達の(ネコ形態の時に見た事がある)。・・・あえて何があったかは聞かないでおくけど・・・お疲れ様。来兎君。2人も。」

「ふふっ。・・・じゃあ、私達のお風呂が終わったら起こしますから、その時まで、ゆっくりしててね、兄さん。・・・ちゅっ。」

「あーーーっ!!茉莉!今、来兎センパイの右ほっぺにキスしたっスよねぇ!?」

「ふふっ。前々から思っていたけど、隅に置けない妹さんね。」

「・・・こ、このくらいは兄妹のスキンシップですっ。」

「スキンシップにしては大胆すぎる気がするけれど。」

「別にアタシは来兎センパイに気があるわけじゃないっスけど、その大胆さ・・・何か、女として負けた感があるっス・・・。」

「あーもう!この話は終わりですっ!お風呂に入る順番を早く決めましょう!」

「あ、話を逸らしたわね。」

「露骨なまでに逸らしたっスねー。」

「ーーーーっ!!じゃ、じゃんけんで勝った人から何番目に入るか決められるって事にしますっ!出ーさなーきゃ負ーけよ!最初はグー!ジャーンケーン!」

「うおお。そして有無を言わせずのジャンケンっスかあ。ジャーンケーン。」

「ふぅ。そういうとこ、やっぱり兄妹ね。ジャーンケーン。」

「「「ポンッ!!!」」」


ジャンケンの結果

1番目・・・茉莉

2番目・・・華

3番目・・・猫菜


〜午後8時30分 自宅・浴室(茉莉視点)〜

はわわわわわわわわわわわっ!?や、やってしまいました・・・ね、寝てる間にキスを・・・。寝込みを襲ったような背徳感です・・・。

私は照れ隠しのために、軽く身体を洗った後、ジャンケンの直後に湯を張っておいた浴槽に潜りました。

「ブクブクブクブクブクブク・・・」

別に、誰がこの浴室にいるわけではないですけど、やっぱり恥ずかしいです・・・。

「兄さん・・・。」

兄さんは私の事、どう思っているんでしょう・・・。

私の料理を満面の笑みで食べてくれる兄さん、私にいつも「ありがとう」と言ってくれる兄さん、私のボケにツッコミを入れてくれる兄さん・・・。

「私は・・・」

いや、独り言にすらしないべきかもしれませんね。私は、兄さんの・・・「坂下 来兎」の妹なんですから・・・。

兄さんは覚えてないだろうなぁ。私がまだ小一で、兄さんも小三だった頃・・・クラスの女子達に虐められていた私のところに颯爽と現れて助けてくれた兄さんが言った言葉・・・。

「茉莉。大切なお前の事は、兄ちゃんが先生に怒られても、虐めっ子達に仕返しされても・・・命に代えてでも守ってみせるからな。」

小さな子供がよく言うような、キザなセリフでした。小学校低学年の頃の記憶なんて、もうほとんど残っていません。でも・・・その頼もしい兄さんの言葉だけは、今でも覚えています。

記憶を失った今でも、兄さんがまだ私の事を大切に想ってくれていたらいいなぁ・・・と、私は湯船の中で1人願うのでした。

〜午後9時 自宅・浴室(華視点)〜

あー。やっぱシャワーは気持ちいいっスねぇ〜。そういえば浴槽のお湯、張ったまんまっスね・・・うーん、茉莉ちゃんの残り湯なら別に抵抗無いし、そのまま入っちゃお〜っと。

浴槽に入り、数分後、身体が少しあったまってきたと思ったらすぐに、アタシはすぐにシャワーを浴び始めた。

そういえばアタシ、何気にのんびりと風呂に入った事なんて無かったんスよね・・・久々に30分くらいかけて入っても、バチ当たんないっスよね?茉莉ちゃんもそんくらい入ってたし。

いやー・・・それにしても・・・

「ちょっとくらい覗きに来てくれても良かったんスけどね〜。(そんくらいしないと男がすたるっスよ〜?)」

〜午後9時30分 自宅・浴室(猫菜視点)〜

・・・ジャンケンで見事に2連負けを果たした私は、結局、3番目になってしまった。私のチートパワーに未来予知があったら楽勝だったのだけれど・・・。残念ながら、私はそういう能力を持っていないのよ。

・・・早くシャワーを浴びて風呂から上がってしまいたいわ。猫は湿っぽいのが苦手なの。そして、それは神である私も例外では無い・・・。ふにゃぁぁ・・・。自分の身体を自分で洗うのも、人間形態になる事を覚えてから慣れてきちゃったわね・・・。うちの神社は参拝者が多いからお賽銭も多いし・・・毎日銭湯に行くだけのお金にも困らないから尚更ね。でも・・・

「たまには、猫形態で来兎君に身体を洗ってもらうのも良いかもしれないわね。にゃぁぁ・・・」

〜午後9時45分 自宅・リビング(来兎視点)〜

「兄さん!起きて!」

「みんなお風呂入ったわよ。」

「早く起きないと口ン中に「ストーンアイス」(デカい氷の商品名)ブチ込むっスよ〜?」

「それはキツい」

ソファーにもたれかかって寝ていた俺は、3人に身体を揺すられて再び起きた。実に本日3度目の起床だ。寝起きはあまり良くない方なのだが・・・風呂に入らなければいけないし、何より3人がこの後、やりたい事があるがあるとか何とか言っているために、結局、起こされる事になっているのだ。ふぁぁ・・・眠い。

とりあえず俺は風呂に入る事にした。そういえば俺が浴室に向かう前に、3人がパーティーとか何とか言っていた気がするが・・・。まあいいや。聞いてないものは分からないしな。俺はそれについて考える事をやめ、畳んであったバスタオルを持って浴室へと向かった。

〜午後9時50分 自宅・浴室〜

「ふぅ・・・。」

俺はサッとシャワーを浴び、浴槽に身を沈めた。

「ブクブクブクブク・・・ぷはっ!!んぐあっ!ゲホッゲホッ!ゲホァッ!!おrrrrrrrrr」

いけないいけない。水面に顔を出す際に口を開けてしまい、湯が喉に入って咽せてしまった。ちょっとだけ湯を飲んでしまったか・・・?ん?そういえばこの浴槽のお湯って・・・。

あっ・・・(察し)

どうしよう。妹と後輩と同級生(猫)が入った残り湯を・・・飲んでしまった。ま、いいか。こういうのは深く考えたら負けだ。意図的では無かったからセーフなのだ。・・・一体何が負けでセーフなのか自分でも分からないが、そう自分に言い聞かせて誤魔化すしかない。

俺はこのどうしようもない感情を隠すため、とっととシャワーを浴び、全身を洗って浴室を出た。

〜午後10時 自宅・リビング〜

その後、俺は身体を拭いてパジャマに着替え、リビングに向かった。そしてリビングの扉を開けると、そこには、布団が寄り添うように4つ敷いてあった。この時点で、さっき言っていたパーティーが何かは察しがついたが・・・。あえて今は何も言わないでおこう。

「兄さん。せっかくのお泊まり会なんだし・・・」

「アレ、やるしかないじゃないっスか。そう、その名も・・・」

「「パジャマパーティー!!」」

だろうな。「パーティー」と「お泊まり」、そして「夜」という単語が脳内で結びついた瞬間に真っ先に予想できた。

「そういうわけで、ここに4つ・・・来兎君の入浴中に全員分の布団を用意させてもらったわ。」

「えへへ・・・今日はみんな、ここで寝ましょう。」

「ちなみに来兎センパイ。拒否権は無いっスから。」

「だろうと思った。」

男の俺が思うのもなんだが、一体、女性陣にとって、男が混ざっているパジャマパーティーの何が楽しいのだろう・・・?こういうのって、年頃の女子同士がキャッキャウフフと駄弁り尽くすから楽しいんじゃないのか・・・?

「じゃ、スタートっスね!とりあえず、来兎センパイの好みってどんな娘っスか?」

「「「ブハッ」」」

華・・・まさか初っ端からこの質問を飛ばしてくるとは。さすがにこれは予想できなかった。・・・というか、何で茉莉と猫菜まで吹いてるんだか。

「ゲホッゲホッ!それ、女のお前が聞くか!?フツー!」

「いやー、そういうのを聞くのって、聞かれる側の性別に関係なく女の子じゃないスか?」

「・・・。」

「あ、もしかしてアタシに気があっちゃうとかそういうヤツだったり?」

「「!!?」」

オイオイ、だから何で茉莉と猫菜まで反応してんだ。

「いやそれは無いけど」

「即否定っスか!それはそれで傷つくんスけど!!」

まあ確かに、華は「黙っていれば」ロリ系美少女だ。しかし・・・デリカシーに欠ける発言や、ムードを全くもって無視した爆弾発言ラッシュは、さすがにいただけないものがある。

「「ふぅ・・・ビックリし ました/たわ 。」」

だから何で2人ともいちいちビクつくかなぁ。

「お?お?どうして2人がビックリする必要があるんスかね〜?」

華が茉莉と猫菜をからかった。・・・いや、「ない」だろ。片方は妹だし、片方は人間ですら無いし。

「わ、私は妹として、兄さんに彼女さんができたなら、その彼女さんが本当に兄さんを愛しているか見極める必要がありますからっ!!」

茉莉・・・。そこまで言われたら、いつか、茉莉にも負けないほど可愛いくて俺にゾッコンな彼女を捕まえるしか無いな!・・・果たして、そこまで運命的な出会いがこの世界にあるかどうかは望み薄だが。

「私は・・・」

「ん〜?猫菜さんは親戚じゃないっスよね〜?なんでそこまで気にするんですか、うん?うん?」

「・・・来兎君に恩があるの。だから、もし協力できることがあったらいいなって思っているからよ。」

猫菜・・・。一応、人間としては同学年で通っているが・・・やっぱり神様なだけあって、さすがのお姉さんぶりだ。そんな事を考えてくれていたとは。

「へぇ〜。はぁ〜。ふぅ〜ん。」

華も相変わらず、人をからかっているような態度である。

・・・残念ながら俺はここで寝落ちしてしまい、この後の会話を全く聞けていない。さすがにパジャマパーティーでベラベラ話すというのはハードルが高すぎた・・・。ぐがー。

〜午後10時30分 自宅・リビング(猫菜の記憶)〜

「そういう華ちゃんは、好きな人とかいるのかしら?」

「あ!確かに気になります。市原先輩の好きな人・・・。」

「あー、アタシっスか?いないっスよ?来兎センパイは一緒にいると、からかい甲斐があって楽しいっスけど、そういう感情は無いっスね。ふぁぁ〜・・・。」

「そ、そうですか。兄さん、モテませんね・・・(笑)。結構カッコいいのに。」

「ふふっ。茉莉ちゃんは来兎君の事が大好きなのね。」

「はい。小さい頃からずっと憧れの兄さんで・・・。逆に、何であの兄さんがモテないのか不思議なくらいです。」

「いやー。茉莉のブラコンはいつまで経っても治らないっスね〜。」

「確かに重度ね。来兎君以外で茉莉ちゃんの好きな人ってどんなタイプなのかしら?全然想像がつかないのだけれど・・・。」

「おお!ナイスな質問っスね!」

「私のタイプですか?私のタイプは・・・。うーん・・・分かりません・・・。」

「「へ?」」

「ぶっちゃけてしまうと・・・あんまり、タイプとか、そういう概念が無いんです。ただ・・・兄さんよりも魅力的な人じゃなきゃ惚れないと思います。」

「「わあすごいブラコン」」

「まさか華先輩と猫菜さんがハモるなんて・・・。」

「だってぇ〜。」

「顔を赤らめてそんな事言ってる時点で圧倒的ブラコンよ。」

「あ、赤くなってました!?ぅぅ・・・は、恥ずかしいです・・・。」

「・・・ふふっ。じゃあ、赤くなっててより一段と可愛くなった茉莉ちゃんの顔も見れた事だし・・・」

「『そろそろ寝ない?』とは言わせないっスよ〜?」

「まだ猫菜さんのタイプを聞いてませんから。1人だけ言わないのはズルですよ?」

「逃げ損ねたわね・・・。まあ、隠すような事でも無いし、ここらで白状しようかしら。私のタイプは・・・」

「「タイプは・・・?」」

「猫系男子よ。それも、ある程度ツッコミができる。」

「「猫系!?ツッコミ!?(混乱)」」

「何かああいうのって、母性本能がくすぐられるの。来兎君と一緒に見たアニメに出てきたキャラみたいな・・・。ああいう人、現実にもいないかしら・・・。」

「「へ、へえ・・・。(驚愕)」」

「・・・とりあえず、そういう事よ。さ、これで全員のタイプは聞き出せた事だし・・・。そろそろ寝ましょう。」

「そうっスね・・・ふぁぁ。」

「おやすみなさい!!」

〜4月13日・午前9時 自宅・リビング(来兎視点)〜

翌朝、俺が目を覚ますと、良い匂いが鼻に飛び込んできた。茉莉と華が朝食を作っているのだろうか。

「ふぁぁ・・・」

「おはよう。兄さん。今、市原先輩と一緒に朝ご飯作ってるから、朝ご飯はもうちょっと待ってて。」

「相変わらずお寝坊さんっスね〜、来兎センパイ。今日の朝メシはオムライスっスよ〜。」

「おはよう、来兎君。一緒に朝風呂どうかしら?(水と湿気は嫌だけど、不衛生はもっと嫌なのよ・・・。)」

「朝風呂はあんま入んないんだよなー。つーか、一緒て。子供じゃあるまいし。」

「そう?釣れないわね。(久しぶりに猫形態で身体を洗ってもらおうと思ったのだけれど・・・。)」

今日の朝(飯)はオムライスか。今日も楽しみだ。ふぅ。しかし猫菜は朝っぱらからとんでもない事を言うな・・・。あの姿人間形態で「一緒にお風呂入ろう」とか、誘惑しているみたいなものじゃんか。さすがの俺でもドキっとしたぞ。

そして、猫菜が風呂から上がってくるとほぼ同時に、茉莉と華が朝食を作り終えていた。

「オムライス、できました!」

「さっき味見したっスけど、かなり美味かったっスよ〜。」

その後、俺達は2人が作ってくれたオムライスを食べ、各々解散する事にした。本当はこの後、みんなで遊びに行きたかったが・・・。華が組長の元へ帰って抗争の状況確認をしなくちゃならないとの事で、幹部の人が迎えにきているから・・・そういう訳にはいかないようなのだ。

猫菜も珍しく神様としての仕事があるらしく、神社に帰らなければならないらしい。アナベルもまだ帰ってきていないみたいだし・・・。今日は久々に1日中寝ようかな・・・。

というわけで、何かフラグが立つ事もなく、今日は1日中寝続けた。たまに行く時は・・・ご飯を食べたり、トイレに行ったりする時だった。久々にここまでダラけきった生活をした気がする。俺的にすごく充実した日だったが、茉莉は少し心配そうな顔をしていた。

別にいいじゃん、寝てても・・・。

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