第495話―深緑の上ファイヤーワークスその2―

グレイス曰くによれば使用人のほとんどが高いスキルを持っている。

富裕層向けな家政婦ではなくサファイア家が直々に選別して選びぬかれた者だけが勧誘から入る。

目がくらみそうになる現実的ではない高額な給料と夢や能力向上などのサファイア家が斡旋して協力する姿勢。

ここまで聞くだけで空いた口が塞がらないほどの待遇だ。


「いわばエリートの中から更に、えり優れた真のエリートのみスカウトされるのです。

なので貴方のような平凡な人がここにいるのも奇跡に近いこと理解してください。よろしいてすね」


グレイスさんはそう言うとコーヒーをゆっくりと飲んで喉を潤す。

さりげなく真実という辛辣な言葉にマイナス感情を抱くよりも俺は平凡なんて他人から言われたの何年前だろうかと振り返っていた。

すっかり平凡という評価は無縁な言葉になっていた。

周りが個性が強すぎる美少女といるのが時間がおおくて影響を過分に受けてから変人と個性のあふれる一人に

なった身としては驚きが強かった。

きっとグレイスさんが言う性格などではなく能力面によるものだが、それでも彼女からすれば平凡なのだろう。

勉強が得意と言っても知識はあっても上手く扱うための知恵は足りないし。


「自分のことですので嫌というほど理解はしています。

…誰かが言わないと当たり前な環境に置かれていると勘違いしそうだった」


「もう居てもらわないと困る事態にもあったので卑下するほどでもないのではないですか?」


「えっ、」


「鈍くないくせに若き乙女をたぶらかすことには自然とこなせる貴方が落ち込むのはキャラが違うと言ったの

です」


「あ、あれ?どうしてだろう…攻撃力が高すぎる」


「さぁ、無駄話は終わりにして掃除に戻りましょう。

使用人の多くが諸事情により戦力が減っているのですから倍以上をこなさないといけません」


グレイスさん以外にはそれほど親しくないので推測するしかないが彼女よりも若い人や年配の方おられている。

きっと大学の講義とか他の用事(おそらく仕事や家族など)へ優先しないといけなかった事情があったかもしれない。

詳しくは把握はしていないがグレイスさんは大変そうなので、この後も平時なら戦力外である俺がグレイスさんよりもタスクをせねば。

張り切って廊下にあるつぼを落とさないように慎重に慎重に布で磨いていた。どうしてこんな廊下に壺なんて置くのだろうと疑問を持つのは

俺だけだろうか。


「エマリア様が帰宅された。

ただちに定置の場所に移動せよ!」


どこからか大きな声を出しているのか廊下にまで鳴り響いて俺は磨いていた壺を元の場所に戻して配置につくため動き出した。

もはや軍かなにかてある。

エントラスホールに集まり出すと外から繋がる出入り口を出迎える。

道の妨げにならぬよう左右に立つ。

俺は右の配置となる。そして大きなドアが楽器が奏でるような音を立てて開いた。


「「「おかえりなさいませ、エマリアお嬢様」」」


スーパーホワイトな職場だけど、この出迎えのために訓練して頭を下げている自分としては一瞬ブラックでは

ないかと思ってしまうのだ。サファイア家は迷宮しているのかもしれない。

こち亀のような異世界版の迷宮ブラックカンパニーみたい。


「皆さん、お疲れ様。…そこにいるの

お兄様?やっぱりお兄様。

早く上に上がってプリキュアの話をしましょうよ」


エマリアお嬢様は目をキラキラ光らせて近づく。

金髪ポニーテールが今日も神話のような非現実的なつややかがある。

小学生らしく年相応な反応なのはよろしいのですが同僚から怪しい行動しないかを目を光らせている。

つまりロリコンがなにをするか分からない。もしそのときは…と気配から告げられているように感じたのだった。

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