第430話―犬と幼なじみの黄金週間3―
帰路に就いてからの冬雅は不穏な様子に俺は言い知れぬ何か
何かが起きると予兆を感じながら翌日。
その懸念が現実となった。
「わん、わん。えへへ、どうですか。言葉が喋れる犬ですよ、お兄ちゃん」
家に入るとすぐ着替える冬雅は、居室に飛び込むと突然の一回転を舞い魅せたあとに尋ねてきた。
その行動よりも犬のコスプレが謎だ。
どうしてこうなったのか…
いつものようにベランダで逢瀬、
いつものように太陽のような笑顔、
いつものように…予告もなく突拍子も無いアプローチもいつものこと。
「…冬雅そもそも犬は喋れないよ」
「いえ、もしかすると異世界で居るかもしれませんよ。こことは違う別の世界が」
「ああ、そうだね。
それよりもコスプレ可愛いよ。やっぱり飛び切りの美少女だから似合っている。
頭を撫でたいぐらいに」
パチパチと手を叩いて俺は、とにかく冬雅を褒める。何かされる前に、気力を削がそうと思った俺は手を打つ。
「えへへ、ありがとう。
じゃなかった。わん、わん。頭をなでてほしいワン!」
喜色満面に騒いでいる冬雅、なんだろうか…この背徳感は?年下の女の子にコスプレして犬のようにしている彼女に俺がそれを望んで、無理にやらされているような罪悪感がある。
なにか頼んだかなと掘り返すが…思い当たる事がなかった。なら本当に冬雅がデータ分析して作戦を練った行動。
「お兄さんお風呂の掃除を……えっ?冬雅またコスプレしているの!」
風呂を掃除してくれた真奈がリビングに戻ってくると冬雅の格好に呆れを混じて驚いていた。俺だけではなく真奈も感じている日常茶飯事なことだと。
「理由は訊かないんですねぇ…どうしてだろう?呆れてため息が多いとサプライズした側としては物足りないです」
「やっぱり見慣れているからじゃない」
もう応えるのも愚問だと言わんばかりな様子で真奈は応えた。まぁ、
俺のアプローチ以外には考えられないからね。でも美脚が窺える短いスカートをよく見つけたなぁと関心と呆れがある。
「そ、そうなですか…マンネリしないよう気をつけないと。
さて、気を引き締めて。お兄ちゃん行きますねぇ。だい、だい、大好きワン!」
「うわぁ!?」
牙を向けて駆けて襲ってきた。その姿は殺気はないものの狩人の目と気配が十分にあった。
両手を広げて迷わずに飛びついてきた。
柔らかく小さな弾力が当たっているのと柑橘類のいい匂いが鼻腔をくすぐる。
いわゆるハグ。その露出が少ないコスプレでいつものように来ると困るのだけど。
「わ、わああぁ!?」
冷静に対応していた真奈は顔を赤らめさせ気が動転していた。
「大好き…ずっと、このまま」
冬雅は高かった守備力をすべて攻撃力に回して変換して攻める。そうなると破壊されないようトラップや魔法、効果で迎撃したいが主流とされる、すり抜けられる突破力がある。
どうしてこんなにも遊戯王で例えたんだろう?いや、これって現実逃避しようと防衛本能が働いの行動。
「このまま座して待つわけにはいかない!お、お兄さんワタシも犬になります」
「頼むから真奈だけは平常でいてくれ!!お願いします」
想像するだけでも恐ろしいことになる。二人の美少女からハグされるのは。いくら俺でも間違いをしない自信がない。そこを信用しているから二人は懸念がなく強いアプローチが出来るのだろう。
「衣装は貰い物なら、たくさんある。
お兄さん少し待っていて」
「あの、ボク求めていないんだけど」
なにも言っていないのに真奈は2階へと上がっていた。はて、これが俺たちの中では平穏でいつものことですよ…
こんな日常があってたまるか……ハァ、真奈が戻ってくるのが怖くなりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます