第421話―到来の息吹その2―
呼び鈴を押した冬雅は、俺に手を貸してほしいとお願いをされた俺は迷わずに二つ返事で引き受ける。内容よりも冬雅が頼られたら力を貸すことには
喜色満面な笑みの反応を予想していたが違う表情をした。冬雅は複雑な笑みを浮かべていて説明をする。口にしたのは引っ越しの手伝いをして欲しい、そう告げると冬雅は待っていますと言って玄関を出て行った。驚いたのは、かいまつんだ説明じゃなく落ち込んでいたことだ。
「なんだか今日いつものヒマワリな明るさ無かったですねぇ…もしかしてワタシがお兄さんと一緒にいたから抜け駆けと思われてしまったのかな?」
後ろで見ていた真奈は、友達が明るくなかったことに不安げそうにしていた。自分のせいで責めている真奈に俺は右手を伸ばして彼女の頭を優しくなでる。
「いや、きっと違う理由じゃないかな?確信はないけど真奈がそう解釈して思うのは情報量は足りないと思うよ」
「…うん。でも、お兄さんの前では暗い表情をするなんて余程だから」
余程か。落ち込んで自分を責める真奈を励まして勘違いだと言ってから少し元気を取り戻してから冷静になったのだろう。いつもの穿った見方には、さすがは真奈と称賛を心につぶやいて。
出来れば掘り起こしてたくなかったけど、俺が冬雅に告白をしてから落ち込んでいるのは珍しい。一体何があったのだろうか。
着替えを済ませてから引っ越し場所へと向かった。と言ったものの一番近くの近所にあるので、すぐに到着。
「おはよう、山脇さんと…隣の方は?」
道路から門扉をくぐって徒歩3歩ほどに佇んでいるのは冬雅の母親さんだった。この位置に立っていることと向きからして来るのを待っていたのだろう。頭を下げて快活な笑みで挨拶をしてから隣にいる真奈に視線を向ける。
……あれ?どうしよう。本当のことを伝えればいいのか、ここは誤魔化す場面だろうか?
「初めまして。冬雅の友達で平野真奈と言います」
どうしようと逡巡していたら真奈は冬雅の母親に挨拶をするのだった。
「あなたが、平野真奈さん…いつも娘があなたの話を聞いているわ。尊敬の念を抱いているって、あの子いつも楽しそうに言っていたわ」
「冬雅が…ワタシに、そう思ってくれるなんて少し、以外です」
隣で聞いていて思ったのは、当たり前かなだった。なぜなのか疑問が愚問なほど真奈はハイスペックだ。多方面である学問を学んでおり俺が知る限りでは苦手な学問が存在しないではないかと思うほど博識でいる。しかし時間は有限で一つを極めようとせず多くを学ぼうとすれば知り尽くせないのが自明の理。なのだが真奈は、そんな
要約すると何かを1番を目指すなら他の分野は諦めるか学ぶ時間を減らさないといけない、一つに定めずに複数をこなそうとすれば中途半端になるか極めることできず型になるかのどっちか?もちろん想像を遥かに超える天才を超える鬼才という存在はいるが真奈は、その鬼才でさえも超えるほどあるのではないかと思うことがある。
(それに容姿もモデル以上ではないかと優れているし性格も天然で純粋なのが現代社会では稀有。真奈を知る人なら憧れない人はいないと俺は、そう思っているけど本人は自己評価は低いんだよね)
そこが美点であるが。それこそ古今東西と比較しても真奈ほどの完璧美少女がこれ以上に相応しい女の子は、いないと思う。
…そう疑わずに根付いているのって、かなり真奈に依存しているかもしれない。
「それに、あなたのことを娘は最大のライバルで越えられない壁であると一種の畏怖を感じていたわね」
「「えっ…」」
俺と真奈の声が重なる。越えられない壁…何かのクイズ番組かな?
「それにしても仲がいいのね。顔を合わせて以心伝心でもしているのか気になるわね」
「「っ――!?」」
「あっ!ごめんなさい。これは…そうね職業病と言うのかな。駆け引きとか揺すぶりをかけるとかして器とか弱味なんかを図っているのよ」
「「…………」」
冬雅の母親さんこれを職業病と嘯いてはいるが普通に怖い。し、しかし恋慕を持っていることは知らないはず。俺と真奈がそうだと知らば冬雅と別れる可能性は高い。きっと、俺がどんな人物像なのか知ろうと待っていたのだろう。ここへ向かうように娘を呼び出すことで。そうなら冬雅が暗い顔に説明がつく。
「そう
どうして持論を展開したのかは置いといて俺は相手を謀ることが出来ないと認識したのは分かる。そのお陰と思えばいいのか俺は誰かを
「け、
「よく周囲には、その言葉で称賛されるわ。でも夫の前では、気をつけた方がいいわよ。私よりも寛大じゃないし冬雅と離れたくないから幸せにする相手にも牙を剥くわよ」
「…前処します」
牙を剥くってそんな忠告をされたの生まれて初めてされたよ。おかしいなぁ、異世界に飛ばされたかな俺は?
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