第391話―その日はいつの間にか訪れる。大学入学共通テストが3―

どこからか溢れてくる不明瞭で不安を甘味さが少しだけ忘れる事が出来た。しかし平らげてからは不安がまたも過ぎられ何もしてあげられない不甲斐なさで浮足立つ。…さて、何をしようか。


(どうして受験生じゃない第三者側がここまで悩まないといけないんだ!?)


いつもと変わらないはずの1月30日の時間は何故か長く感じられる。

第三者と表現はしたが冬雅達とは赤の他人だと尋ねられたらそうであると応えるし個人的にはノーと応える関係性だからだろう。恋人であるのか問い掛けがあったら気分次第で返答がイエスかノーと切り替わるほど不安定な関係性で心地よさだけを述べれば安定とも呼べる。

俺は窓越しから陽光に照らされる雑踏の往来をぼんやりと眺めながら頭も疑問を浮かんでは時間的な束縛がなく考える。いい加減、他の人であっても伝わるような明確的で現せる関係性をそろそろ見つけないといけない。俺と彼女達はどういう繋がりでいるのか?


(原点回帰するなら…俺からは恋愛感情を失望させるためであって発展とは真逆だ。それに引き替え冬雅は絶対的な意思を持って惚れさせようと無茶…じゃなく挑んでいる。真奈は大人と付き合うなんて問題視として引き離そうしていた。そこからは普通に説明は出来るけど…)


そう、ここまでならよくあると思う。回想を流れるように脳裏によみがれば解決方法を見出すと確実に変化が起きてそれが積み重なり日々という時間を過ごしていけば知らない面を知っていった。だからこそ、紆余曲折を経てから恋慕も含み様々な感情を抱くのは必然性だ。だからこそ俺は冬雅と真奈の両方が好きになり、現在は冬雅が世界で1番に大好きであると言葉や気持ちには偽りもない。

告白を毎日と貰ってはいて相思相愛だと知っていてもなお、恋人であるのか俺も分からない。


(心の中で軽く対話して見出した結論が出ると思ったんだけどなぁ…やっぱり対話は自分よりも自分以外が必要不可欠。

自分との対話型なソクラテス問答法はやめるとしますか)


とりあえず記憶の片隅に保留案として残しておこう。これが国会議員なら失念してしまうだろう。

こんな長々と深く考えてしまうのは、それだけ冬雅と真奈を強く想っているが所以ゆえんだろう。さて、頭まで糖分大量摂取してしまったためウェイトレスさんに苦いコーヒーでも注文しよう。


「すみません、ブラックコーヒーをお願いしていいですか?」


数分後に運んでくれたブラックコーヒーを口に入れると苦味が口の中に広がる。だけど甘さが広がったような気分を上書きや薄めたりはしなかった。

――行き交う人と車、そして風景を見ながらコーヒーを飲んでいると学校の制服に目にして大学入学共通テストは終わったのかと他人事のように思っていたが、すぐにその考えを訂正をする。いや、それは冬雅と真奈も終わったに違いないのだ。俺は急いでコーヒーを飲み終えてから会計を済ませて店を後にした。


(ここにいるかな?いや、もう帰路に就いて何分ほど経っているんだ…くっ、仕方ないが連絡しておくしかない!)


スマホを取り出して俺は外で買い物をしているので、なるべく急いで帰宅すると返信を押す。さてこれを送られて二人は間違いなく突然の内容で迷惑をかけるだろう。

迷惑をかけているなら、もう既に掛けていて現在進行系だ。とくに恋人になった云々とか関係性とかが。ただ待っている側からすれば時間の流れが遅くと体感としてあった。きっと、何かを夢中になったり追われたりとして時間を気にしなくなったり同じ生活リズムが流れて早く過ぎるのとは、どれも対義的であるからだろう。

勢いでこう返事をしたので何か買い物を迅速に済ませてから帰宅しよう。受験参加した記念とかを…もしそんな記念を実行した、あかつきには黒歴史は確定だな。


「その後ろ姿は、お兄ちゃん?」


最高のシンフォニーを奏でるような美声に釣られるように振り返れば冬雅と真奈それに三好さん3人。


「やっぱり、お兄ちゃんです!えへへ、もしかしてお出迎えですか?ありがとうございます」


「まぁ、そんなところかな。

ところで今日の夕食は何かリクエストはあるかい?」


「そうですねぇ…お兄ちゃんの愛情が込められた料理なら何でもいいですよ!」


そんな恥ずかしいセリフを頬を赤くしも屈託のない笑みで言える冬雅に、ある種の尊敬を抱いてしまう。さて、そんなことよりも真奈が俺の隣に近づいて手を握ろうとするので手を引っ込めた。


「お兄さん…」


「真奈そういう嫌悪的なことじゃなくて、消毒用エタノールをしていない手で繋ぐのは危険だよ。今は新型コロナの感染数から正常性バイアスにならないよう気をつけるべきで、今から手袋するから…

よし、手を繋ごうか」


真奈と手を繋ぐために持参した手袋を着用して手を差し伸べると力いっぱいにと握ってきた。まず柔らかさ、次に小さな手は元気が溢れているなぁと感じた。さて我ながら真奈のために手を握るのは冬雅よりも優先していいのかなと思い窺うと、いつもと変わらぬ笑顔。

それこそ今更かと俺は納得する。


「私は余程の事が無ければ驚かないと自負していましたが考えを改めないといけないかもしれない。真奈さんをここまで懐いているのを見ると軽い嫉妬を焼いてしまいますね。…冬雅のお兄さん凄く女の子たらしになっていると自覚していますか?」


裏がなさそうであり爽やかな笑顔を浮かべ俺に淡々とした言葉を告げる三好さん。おかしいなー、香音と対峙したような全身が震えみたいなのが襲っているのですが…気のせいかな?うん、おそらく俺の誤解なんだろう。

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