第364話―2020クリスマス・イブ―
クリスマス・イブ当日。
執事である俺はクリスマスパーティーに忙しくなると必ず参加してくださいとと丁寧な文面で送られた。
それを確認して支度を整えている途中でピンポーン、ピンポーンと連打音。
そんなに押しても早くなるわけがないのにと思いながらも玄関に降りてドアを開けると花恋だった。
「ど、どど、どうしよう東洋お兄ちゃん…サファイア令嬢にクリスマスパーティーを開催しますので待っていますって
気軽に書いてはあるけど普通じゃないよ。私が知っているのはお店でイェーイとか騒いでジュースやお小遣いで支払えるたり、家の場合は手料理で立食パーティーもどきをする小規模。
そ、それがパーティーを開催しているって……ど、どうしよう!?ど、どうしようぅぅぅ!!」
いの一番に出た言葉はクリスマスパーティーの規模の大きさに戦慄と萎縮した言葉の数々だった。
それが花恋という人の挨拶みたいなものだし、とりあえず挨拶。
「今日もいい天気だね花恋。おはよう、朝食はすでに用意しているよ」
「おぉー、もう出来ていたのか…
いや、いやそうじゃなくて。
私が届くなら東洋お兄ちゃんも届いているはずだよね」
まさか花恋に突っ込まれる日が来るとは。こういうときは大人の余裕で。
「大人になるとよくある事柄だから」
ちなみに嘘です。完全に初めてなのだけど遊び相手担当の執事として務めている内にサファイア家に
以前よりも居心地が良いと思っているだけだった。
「えっ、そうなの…まぁ東洋お兄ちゃんならプリンセスの一人や二人を手篭めにしても普通だよね」
完璧な笑顔を浮かべる。何かが違和感があった。一体なにが引っかかるのかは、その
「……も、もしかして怒っている」
「ううん。怒ってないよ。
何もただの勘だけど、女の子に免疫が強すぎるなぁ思って。一体どれだけ付き合っていたのか考え出してイライラし始めたとか違うよ。
それで、まだ私に知らない女の子だげど付き合ってい――」
「とりあえず外は寒いよ。中にどうぞ」
強引に話を遮らせて家に上がらせることにした。
呪詛を唱えるみたいでマシンガン口撃は普通に怖いのだけど…。
やっと
朝日の光に照らされる駅のホームは人が
とても今日が聖夜とは思えないほどの風景。
「あれ真奈さんと向かわなくて良かったのですか?」
「ああ。いつも俺に時間を合わせようと張り切るから先に向かっていくよと誘わずにしたんだ」
天然だけど俺が今まで会ってきた人をすべて比較的に賢明だと私情で決めつけるなら真奈だろう。
以外としっかり者なので迷わずにサファイア家に到達するだろう。
花恋は友達が多いけど誘って来てくれる人は真奈を除けば恐らくいないだろうし、一人で向かって迷子になるのは、性格的にそう起きるのではないかと感じたのだ。
それに時期も時期で、コロナウィルスは冬が最も危険なので
少人数で動いた方がいいだろう。
…加えて花恋は真奈以外の女の子には苦い顔をする。
「もしかして、兄と花恋ちゃん?」
「私達をそう呼ぶのは…うわぁーマジか。猫塚も呼ばれていたのか」
振り返るとオシャレ用のメガネをした猫塚さん。やはり変装はするのは目なんですね。それで身バレしないのだから以外にも効果が
あるのかもしれない。
「そんな露骨に嫌な顔をされても悲しいんだけど」
「はは、ジョークだよ。もう猫塚ジョークだって気づいてよ」
「う、うん。…ねぇ、兄これって怒っていないかな?針に刺されたみたいな辛辣な言葉だったよ先のは」
「…俺もそう思ったよ。
きっと緊張しているんだよ。うん」
「そ、そうかな?」
「あれー?二人してコソコソ何をしているのかな。イチャイチャしていると迷惑になるんだよ」
耳元で話をしていたら花恋は彫像のように完璧な笑顔をして至近距離に迫る。ちょ、近い近いって。
3人で敷地を考えるのが怖くなる広大なサファイア家の豪邸に着いた。
最新式のインターホンを押す。
花恋と猫塚さんの二人は目を見開いて「「思ったよりも普通!?」」っと叫んでいた。
いや、さすがに富裕層でも使うのではないかなと内心ツッコミを入れる。
年下の上司になるグレイスの声が電子音で『ロリコンは招いていません』と、いきなりの歓迎でした。
うん、嫌われているようだ……。
俺の背後に二人がいるので否定も出来ずに肯定と否定とも取れない実に曖昧な返事をして中になんとか入る事が出来た。
すでに俺のライフは1しか残っていない。
ジークヴルムノヴァやロードドラゴンセイバーを使ってライフを5に回復しないといけない事態。
そうやって現実を逃避か混同をしながらエントランスホールには
グレイスさんと複数のメイドさんや執事が頭を下げられた。
「ようこそ、おいでなさいました」
花恋と猫塚さんは緊張が達して身を固くして拙く挨拶をする。
案内されて歩いていると二人は右手と右足を同時に前を出す現象に
(恐縮すると本当にやるんだ)と思った。
大広場スペースほどある食事の部屋にサファイア姉妹。…妹さんは何故か猫のぬいぐるみを抱いている。
「わぁー。ようこそ、おいでになりました皆様」
「ようこそー」
青いドレスを身を包む姉妹、日本文化を心から愛するペネとファンタジーを愛するエマリアさん。
いつもと違う衣装に異世界に迷い込んだかなと錯覚してしまう。
後ろの二人を一瞥すれば口を開けて啞然としていた。先に立ち直るのはアイドル猫塚さん。
「ご、ご機嫌、麗しゅう。今宵は…いえ招き呼ばれて感激して…えーと、していますわ」
貴族の言葉を試みたと思われる猫塚さんは途切れ途切れと違和感のある言葉。けど、頑張っている
のを嘲笑をするような心の品位は低くないのが姉妹。
「いつもの口調で構いませんわ。コホン、せっしゃ友人達と
「しましたわー」
屈託のない笑みを浮かべるペネ。そしてエマリアさんは…微笑んでいる。本人は口を開いて喋らずぬいぐるみの猫を使って腹話術を用いてぬいぐるみが話しているような
技術だった。
「そ、そう。呼んでくれてありがとうペネロペちゃんと妹ちゃんも。
…うぅ、友達とクリスマスパーティーなんて初めてで感謝感激ですよ。
ううぅっ」
「そ、それは良かったですわ」
「な、泣かないでよ〜」
初めてのクリスマスパーティーに猫塚さんは感動して透明の水滴を頬を伝って流れでいく。
ペネは困ったような笑みで、エマリアさんは心配そうに見つめる。
「ねぇねぇ、サファイアこれって
緊張は一体どこに置いたのか、花恋は目を輝かせて手を広げて一回転してからペネに質問する。
「ちょ、ちょっと違いますわね」
「……」(こくっ、こくっ)
意味を夕食会と知らずと発した言葉にペネは困惑な気味に応えて、エマリアさんも対応を分からず、とりあえず頷いて肯定していた。
「山脇東洋それでは談笑はこの辺にして、準備に取り掛かってください」
いつの間にか隣に立っていたグレイスの言葉に俺は悲鳴を上がりそうになるほど驚いた。
「は、はい。分かりました」
部屋を出て廊下を歩いていると、迷子になりそうになりながらも執事服が置かれている専用の部屋に
入って着替え始める。
姿見の自分をあまり見るのは気持ちの良いものではないが身だしなみを整えるため我慢する。
そして晩餐会――もといクリスマスパーティー会場となる大部屋に戻る。
「わぁっ!わわ、わわ。東洋お兄ちゃん何それ!?
なんで執事の格好をしているの。嘘、なんだか可愛いんだけど。
ねえ写真を撮ってもいいかな?」
花恋は俺の返事するよりも早くスマホで撮り始めた。ほぼ無断で撮っているのと変わらないんだけど。
「えっ…スゴイ本物の執事服だ。
あの、もし迷惑じゃなかったら兄を撮っていいですか?」
猫塚さんは余所々々しい態度で確認をされてしまった。
「ほどほどにお願いする」
「はい!」
ショルダーバッグからスマホを出すとバシャバシャと音を出しながら撮り始める。では花恋には少し忠告しておこう。
「花恋あまり指摘しないけど無断撮影は法的措置される可能性があるから気をつけた方がいいよ。
肖像権侵害になるから」
「ええぇぇぇーー!?そうなの…ごめんなさい。お詫びに恥ずかしいを後で送り届けます」
顔を赤らめて身体をモジモジと揺らしながら言うと冗談に聞こえないのですが…ほら二人が驚いているよ。
エマリアさんは首を傾げていて良かったけど、こういう場で変なジョークはやめてほしいですな。
…冗談だよね恐らく。
「…お姉さまと同じ事を」
そんな現状にエマリアさんのぬいぐるみが呟くのだった。
ゆっくりといかず楽しんでいると続々と集まっていく。やはりと言うべきか普段はいつもの格好が多い俺に、執事服という格好に驚いていた。
真奈と三好さんの反応では――
「…お兄さんそれ」
「ああ。使用人として勧誘されて執事服をしているんだ」
「そうなんだ。いつもと趣が違うというのか素敵で似合っています」
「自分ではそう思っていないけどね。けど褒めてくれてありがとう」
著しくテンション高めの真奈。今にも飛びつきそうな勢いがあった。
「うーん、私からの感じたものは
通常フィルターの目からは、そう評価が妥当なのだろう。
次に訪れたのは比翼と香音と不死川さんの3人だった。
「おぉー、おにいちゃん何なのその格好は。超絶に合っているよ、それと、やっほぉぉーー!」
比翼は一切の迷いもなく飛びついてきた。なかなか離れそうにならない。
「…ふ、ふーん。少しだけ似合っている。真奈様ほどじゃないけど」
さすがに比較するには月とスッポンだと思う。馬子にも衣装と評価されるぐらいだし。
「ここってコスプレ大会?メイドや執事とかいるのだけど…
けど場所が」
それどころじゃないと混乱しているのは不死川さん。人は
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