第315話―刻々と迫る終幕の序章―

比翼の過去を知り、比翼連理を込められた相手になってほしいと

告白を断った。

きっと俺が断るのを分かっていたんだと後になってから気づく。

そうではなかったら好きな相手なんか意味深な言葉はしない。


「お兄ちゃん、すみません掃除の手伝いをしてくれて」


「構わないよ冬雅。日頃の恩義を返しているだけだからね」


とある土曜の昼前。冬雅の家にほとんど強引に入り掃除をしていた。

両親は旅行に行き、受験生である冬雅は一人でゆっくり掃除をして

受験勉強とイラストの上達に励む予定だとライントークで連絡があった。

今日は俺の家に向かわないのは一人で集中したいからだろう。

けど、掃除や料理しているか冬雅に何も伝えずに向かう。

冬雅は驚き帰らせようとして

いたが家事だけ手伝って俺も早々と帰る旨を伝えると上がらせてもらった。


「そんな事ないよ。お兄ちゃんには支えてもらったから余裕を

持てたんだよ。

それに、ゆとりの心や愛とかも」


冬雅は器用にも窓拭きをしながらストレートな感謝にむず痒さを覚える。無心になれと念じて

俺は本棚の本を取り出し、ぞうきんで移動され寂しくなった棚に乾拭き。


「そんな立派な存在じゃないよ…俺は。それよりも掃除を早く終わらせて冬雅のイラストを見せてほしい」


「えぇー、お兄ちゃんに見せられるイラストじゃないけど後でお願いしようかな?えへへ」


平穏な一日。冬雅が浮かべる太陽な笑顔に頑張るぞい!っと気力を高める。本棚の掃除が

終わってもやる事は多い。

心で決意をしていると…玄関ドアが開く音がリビングでも理解する。


「も、もしかして…お兄ちゃんどこかに隠れてください。見つかると大変ですよ!!」


「ああ。迷惑をかける…けど、どこに?」


もしかして両親が帰ってきたのか。俺は身を隠せる場所を探すがタイミングは逃されリビングドアを開けるのは冬雅と似た20代ほど

女性。


「冬雅…この人は誰なのか説明してくれるかしら?」


いつかこうなるのではないかと頭の隅にあったが実際に起きると

俺は動揺して何を言えばいいのか分からなくなる。

…未来地図はヒビが入っていき少しずつ確実に崩壊してのが幻聴が聞こえるようだった。


「ママ…これは違うの!えーと、わたしがこの人を招いて…教えて もらっているの」


「……」


冬雅に、この人と呼称されるとは。まだ好意的な想いを溢れているのは抜けていないが。


「貴方…確か隣の人ですよね。

娘に何をしたのか分かりませんが

今すぐに出て行ってもらいませんか?」


蔑視と敵意を剥き出しにされ、相応の対応をされ俺は静かに頷き家を出る。

その家に戻り何をすればいいか分からずテレビを頭が留守に

なって見ていると数分後に警察がやって来て青少年健全育成条例の容疑で逮捕となった。

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