第287話―短い夏休み期間つづき6―
昨日はドタバタとした。真奈が宿泊する事を家主の俺に伝えずに決まってからの翌日。
「お兄ちゃんおはよう」
「ああ、おはよう冬雅…そうか俺はソファーに眠ていたのか」
「そうだよ。わたし的には一緒に寝るのだって
「さすがに無理だよ、それは」
ただでさえ未成年の女の子が同じ部屋で真奈の寝台を確保しないといけないとなれば俺が部屋を出ないといけない。という口実で出たのだが本音は添い寝を敢行されるのではないかのか不安が大きいからだ。
(あれ?掛け布団を冬雅が掛けてくれたのかな)
掛け布団など寝具など持ってこず重たくなる瞼とインドア派で遊び疲れた心身に襲う脱力感で、そのままソファー眠りについた。
「お兄さんおはよう。いい天気ですねぇ。フフッ」
ダイニングテーブルにノートや参考書を広げて勉強していた真奈は俺が目覚めると明るい笑みで挨拶をする。冬雅と会話を途切れるまで忖度してくれたか、勉強に集中して音を遮断していたかはともかくとして二度寝の
「ああ、おはよう真奈。上機嫌だね」
「うん、まるで修学旅行みたいで楽しくて――」
「お兄ちゃんが出ていってから女子トークで面白い話を聞けました。
やはりと言うべきでしょうか?お兄さんと隣で寝られるって期待したのにって落ち込んでいたことが――」
「わあぁーー!?冬雅それは言わないって暗黙のルールがあるの。
お、お兄さんそんないかがわしい事なんて考えていませんでしたよ。うん、断じて・・・・・」
「そ、そうなのか。分かっていたよ」
そうは返事したものの暗黙のルール口という言葉をしなければ疑心暗鬼になっていただろう。
つまり作り話ならそもそも暗黙のルールが言葉が出るわけがなく
事実で疑いないだろう。
顔を赤らめ必死になる真奈を見て不謹慎ながらも眼福と心の中で呟く。
朝から騒がしい話をしたため比翼と移山も目覚める。まぁ弟の方は比翼が目覚めて40分後だが。
まだこの程度で我が家のちょっとした騒動は終わることは無い。
午前10時24分、リビングにそれぞれすることをする。
「お兄ちゃん執筆中に申し訳ありません。そのイラストを見てほしいのですけど、構いませんか?」
「んっ?ああ、いいよ。
けど
「はい。お兄ちゃんになら信頼は出来ますので・・・それでイラストの方なんですけど・・・・・・・・いえ、なんでもありません」
「?そうか。それでは拝見するとしよう。少し楽しみだな」
ソファーの前にあるローテーブル上に筆記道具など置いて真奈と比翼が勉強中でダイニングテーブルは俺と移山がPCで黙々とキーボードの打鍵音を静謐な空間を響かせ、そして冬雅は一人タブレットでペンを今まで走らせていたのだ。
完成したイラストは、どこにもある情景の桜が舞う表参道、ポツンと立つのは黒髪ロングヘアーの美少女。
どこか見覚えとか起きず、すぐにモデルが冬雅であることを悟る。
・・・間があったのはモデルであるのは自分と告げようとしたかったのだろうか?ともかくイラストとしては上達していた。
「びっくりしたよ冬雅。ここまで上達していたなんて・・・本当にスゴイよ」
「えへへ、ありがとうお兄ちゃん。その真ん中に立っている女の子はどうでしょうか?」
「そうだな・・・落ち着くというか癒やされるかな」
可愛いと応えるのが恥ずかしく言葉に出来なかった。我ながら恋愛経験が無かったから仕方ないのかもしれないが大人としては動じない姿でありたい。そう
「い、癒やされるだねぇ。お兄ちゃん具体的に聞かせてくれませんか」
「具体的にか」
「はい。後学のために学ぶ必要性はありますので。イラストだと振り返った女の子がよかったとか、
かわいくて目が離せないとか」
冬雅は感情が高ぶりいつもの暴走へと饒舌に質問してきた。
言った反面アドバイスしないといけないだろうと心中で溜め息をしてから素直に答えることにした。
時刻は少しは涼しくなった夜。
晩御飯を食べと終え食器を最後に食べ終えた真奈が運んだタイミングでいつもの言葉を発する。
「真奈そろそろ家に帰ろうか」
「えっ!?お、お兄さんはワタシが家にいると迷惑だった」
「い、いやそんなことは」
涙目で見上げる。まるで子犬のようで見捨てられないでほしいと訴える純粋の眼差しが眩しすぎる。
家に送るはずがどうしてこんなことに・・・・・あっ!
「ご、ごめん真奈。いつものように家まで送っていくものだって勘違いを」
「そ、そうなんだ。はぁー、安心した。もしお兄さんに嫌われたって怖かった」
真奈はそんな風に思っていたようで安心して愁眉を開く顔をする。
俺が真奈を嫌うか、そんなの想像しても絶対に無いのに。
「真奈これだけは言うけど俺が真奈をを怒りと罵声と嫌悪感をどれだけ向けられても俺は真奈を嫌いにならないって誓う」
「お、お兄さん」
驚愕した真奈は顔を徐々に赤く染まると目を逸らした。
「お兄さん嬉しいけど、ワタシだって同じだから。それだけは無い」
「そうか」
「そう。そんなマイナスな言葉じゃなくてですねぇ。ワタシはお兄さんが気遣ってくれるところ、
面白いところも好きで愛おしいくてたまらないんです」
「真奈・・・」
面と向かって言われどう答えるべきか逡巡して決められなく言葉が紡げずにテレビの漫才師のネタが耳に入る。
「台所の前で何をしているのかな二人とも」
「きゃー!?あれ比翼」
さすがに台所でそんなやり取りしていれば目にするし嫌でも耳に入る。比翼は腕を組んで怒っていた。
「お兄ちゃん!わたしもお兄ちゃんが大好きだよ」
いい雰囲気に刺激されたのか冬雅は俺の方へ近づいて告白を敢行。
JKの二人からのアプローチに俺は首を縦に振るわけにはいかず次第に言葉を濁す事で返すしかなかった。
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