第285話―短い夏休み期間つづき4―

燦々と降り注ぐ陽光に一度、屋内に出るとその眩しさに目を閉じたくなる。


「次はパンダを見に行きませんか!」


先頭に立つ冬雅は振り返り手を後ろと前のめりになるアイドルような事をして言った。

11日の14時、俺達は上野動物園へと見に来ていた。数時間前の早朝で冬雅と比翼でどこへ行くかと意見を交えるが決められずにいると普段から行かない場所へとテーマを少し変えてみたところ、ディズニーランドや動物園、旅行など

浮かだのを言った。

この案の中を採用したのは動物園と決まり、そんなわけで今に至る。今回も二つのグループに分かれそれぞれ楽しむ方式と決めた。


「もちのろん。上野動物園に来たらパンダを目玉の見に行かない選択は普通に無いからね」


「冬雅おねえちゃんに激しく同意!」


俺と比翼は拒否などあるわけがなく肯定的な答えに冬雅は一段と明るい笑みを魅せる。

パンダがいるエリアに向かう道中で先頭に歩く冬雅が速度を落とし横に並行する。比翼もいるので3列、広い場所なので横に歩こうと考えたのだろう。


「お兄ちゃん、比翼の二人は知っていますか?

パンダを飼っている動物園って上野動物園、王子動物園、アドベンチャーワールドの三つだけなんですよ」


「ああ、もちろん知っているよ」


「冬雅おねえちゃん受験生に対してそんなことを言うなんて、まだまだだね」


「あ、あれ?お兄ちゃんはともかく比翼も知っていたんだ。あと、受験生に動物園の勉強まではしないと思うのだけどなぁ」


「それは俺も思った。まぁクイズでパンダを出題していたから覚えたんだと思う」


「うん。おにいちゃんと一緒に見ていたらあったから覚えた!」


そこまで頻度は高くはないが、少なくもない。パンダを飼うのは中国に多額なレンタル料として支払わないといけないため、どうしても人気だと分かっていても飼えないのだ。

丁度ちょうどいいタイミングでパンダがタイヤをダラッとしている。それだけで癒やされる。


「暑くて疲れているのかな?」


冬雅の呟きに確かにそう見えなくもなかった。比翼は指をさす。


「うわぁ!?スゴイ生で見るパンダかわいい!!おにいちゃん写真を撮って、撮って!」


「ああ、分かったよ」


比翼はピースする背景にパンダが暑さにか怠けているだけか分からない姿を一緒にカメラに収める。

十分と楽しみメンバー交代の時間となり冬雅と比翼はここからは弟の移山と行動することになる。


「真奈様に近いわよ。離れなさいよ!」


「そう言いますが手を繋いでいてら、どうしても近くになりますよ。一応、可能な範囲で距離間を保とうとしているけど」


「惹かれるように、ううん冬雅のお兄さんに惹かれて手を繋いでいるのですよね。普通にカップルだと感じます」


「そ、そんなんじゃないからねぇ。お兄さんが迷子にならないか手を繋いでいるだけ!」


いや28歳になって迷子は心配いらないと思うのだけど。

内心のみツッコミをしておくことにして俺達が次に向かうのはキリン。

ややこしい話になるが麒麟キリンと言っても平和の世にしか顕現する麒麟かよく知る首が長い黄色の動物であるジラフ。

説明は不要だと思うが霊獣または神獣の麒麟ではなくジラフの方である。

キリンの姿を見える距離になると真奈は「うわぁ、大きい!」と感嘆の声を漏らす。


「真奈様もしやキリンをあまりお目にしていないのでしょうか?」


「えっ!あっ、うん。恥ずかしい話そうなんだよねぇ。休みの日に出掛けること事態が少なかったから」


真奈を崇拝する勢いある香音の問いに自虐的な笑みをする真奈。


「真奈さんは、こういう所へ足を向けないですからね」


「茜なんだか言葉にトゲを感じるのだけど!?」


「真奈様それでは今日は存分にキリンを見てみましょう!

ほら行くわよ変態」


「どうしてそこで俺なのかよく分からないが了解。早歩きの意図で当たっているかい?」


「当たっている。真奈様さぁ行きましょう」


香音は真奈の空いた手をつかもうとするが躊躇ちゅうちょして結局は握らず前へと急いでと振り返り表情で促す。


「う、うん。時間はまだあるからゆっくりでいいよ」


白い手を離さずに真奈は香音の促しに応える。真奈は冬雅と違いあまり体力がないので無理させないよう俺が気をつけないと心掛けるが、そもそも早歩きと定期的にマスクを外していたのもあって杞憂きゆうとなった。

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