第252話―まだ小説家志望者と家出少女の恋が必ず成就する物語―
おにいちゃんの家を安住の地にしてから半年ほど、わたしは家出した後やその前の生活よりも遥かに確実に良くなっていました。
優しいおねえちゃんもいるし勉強も教えてもらった。知識が増えて
見えなかった世界が広がるのを
感じました。世界や偉人なども勉強が大事なのだと言って書物に記録されているが、多く学び狭き視野は翼を広げ
おにいちゃんとおねえちゃんには感謝しても尽きません・・・尽きませんけど。
「放課後にはママと合う約束しているから、お兄さんの家には・・・違う訂正。東洋の家に帰るのは、いつもよりも遅くなるから」
「ああ、分かった。・・・それだと俺の家に泊まることには決定事項なんだね」
「う、うん・・・幼い時はずっといたじゃない。だから、今でも一緒にいてもおかしくないでしょう!」
「あ、ああ。訊いていいのか分からないけど、やっぱり幼馴染として俺も返事した方がいいかな?」
「あっ、はい!そうですねぇ。
違和感とか参考にするならバカバカしく思っても返事は必要だと思う」
「善処するよ。えーと、それじゃあ・・・いいか真奈。6月だから熱中症にはいつもよりも気をつけないといけない。マスクを着用すると
体温の上昇はする上に加湿で渇きを感じにくなるから、周囲に人がいないなら外すことも迷わずにしてほしい」
「うん、心得ました。そ、そのワタシを元気づけることで頭を
「えっ!?頭を」
「ダメ・・・なの?」
「うっ、分かった。喜んで頭を撫でさせてもらいます」
テーブルの前で、イチャつき始める家主おにいちゃんとスゴイ天然の真奈おねえちゃん。二人は良識はあって普段なら冬雅ような口走ることはしない。
けど幼馴染での設定だからか、いつもより積極的な感じがする。
頭を撫でられた真奈おねえちゃんは幸せを噛みしめるに目を閉じて嬉しいそうだし、おにいちゃんは
わたしを撫でるよりも緊張している。
・・・端的にいって不愉快。
「うわぁー、トウヨ〜スゴイ女たらしだ!」
おねえちゃん達が好きな相手は同じで付き合うことに応援はするけど邪魔をしないのは無理。
「ちょっと待ってほしい。
そんな不名誉な称号をいただくようなしていない」
「お兄さんは自覚した方がいいと思う」
「真奈まで!?ここ最近で女の子と話をしたのは真奈と比翼と冬雅だけだから」
「お兄さんそれって面と向かって話した相手だよねぇ。例えばラインやビデオ通話もカウントしたら」
「・・・け、けど本当に多くは無いのは本当だよ」
なんだか、おにいちゃんが追い詰められている。このまま真奈おねえちゃんが嫉妬で静かな微笑を以って怒るか激しく怒るか・・・。
真奈おねえちゃんは親しげで何か求めるような目で見上げる。
「お兄さん・・・ううん、東洋を誰よりも大好きなのはワタシなんだから・・・・・あうあう」
んっ!?真奈おねえちゃん何を言っているのですか!?
「真奈おねえちゃん何を言っているのですか!?」
つい思った事を口走り突っ込んでしまった。一体どんな心境の変化があったの真奈おねえちゃんは!?
冬雅おねえちゃん無いんですから
告白しないといけない宿命とかあるんですか!いえ、冬雅おねえちゃんには宿命は無かったですねぇ。ええ、それよりも
おにいちゃんの反応が悲しいです。
頬にはわずかに赤くなっていて、これじゃあ少なくとも好意的じゃないですか。
「・・・あ、ありがとう真奈」
「う、ううん。そんなこと・・・」
(こうしてはいられない。真奈おねえちゃんや冬雅おねえちゃんに赤くなるなんて・・・)
照れる二人の姿に、わたしはモヤモヤ感を振り払うように決めました。
わたしも本気でいかないといけないと。
真奈おねえちゃんはカバンを持って桜柄のマスクを着用してローファーを履き終えて振り返る。
「それじゃあ、ここで定番のセリフ。東洋!比翼に手は出さないでねぇ!!」
「なら俺も・・・誰がするか」
玄関で優しい声で二人はイチャ始める。二人とも、わたしがいるの
忘れていないかな?いえ、そんな薄情な人じゃないのは知って
いるけど、そんな事を思ってしまう。
「わたし的には、おにいちゃんをいつでも襲われてもいい覚悟はしていますけどねぇ。例えば押し倒されて――」
「ひ、比翼!いくらなんでも中学生なんだから言葉はしたないよ」
顔を赤くして声高に否定したのは真奈おねえちゃん。こういう耐性がないのは年上に対してかわいいと思った・・・手強い!
「そんな事はないから安心してくれ真奈。それよりも、お弁当が必要だろうから作っておいたよ。はい」
おにいちゃんは一人で作っていたお弁当箱を前に差し出す。
真奈おねえちゃんとわたしも知っていたから驚く反応はない。
「・・・・・お、お兄さんが作ってくれた愛を込められた、お弁当。
フフフフ、お兄さんの
あ、あいふ弁当!?お弁当箱を完成から箱を持つところまで目撃しているのに驚き過ぎじゃない!
それに
「いや、愛夫弁当じゃなくて普通のお弁当だよ真奈」
「ようやく、お兄さんのお弁当をいただく日が訪れるなんて・・・想像したよりも早く叶っちゃた」
「真奈おねえちゃんーーー!
本音が駄々漏れですよぉぉーー!!」
真奈おねえちゃんかトリップみたいな顔が、やっと覚めると慌てて「行ってきます!」っと出ていきました。あの、愛夫弁当?を
わたしも来年には用意されるのかな。
よし、ここからが作戦実行!
邪魔にならない。今は二人だけです。わたしは、おにいちゃんの腕を抱きつきながらリビングに入り
ソファーで寛ぎます。わたしが
幼馴染として振る舞うことは忘れずに。設定は恋人になったばかりの幼馴染で。
アニメを密着して見ます。お、思ったよりも恥ずかしいけど同時に多幸感がいっぱいです。
二人だけの空間が壊れる音が耳に入ります。
「おぉー、兄者と比翼の距離が近い・・・んぃやあ、いつもどおりか」
「いつも通りじゃないですよ移山のバカアァ!!」
おにいちゃんとわたし以外もう一人いました!
おにいちゃんの弟である移山が、わたし達を見ていつも通りなんて寝言を言った。アニメ一本を見終わり開放して上げました。
おにいちゃんには小説家を目指しているので、そこには配慮しておかないといけない。
「おにいちゃんがいないので、お願いあります」
「んっ、なんだ?俺にか比翼」
わたしはリモートで
おにいちゃんが二階で執筆している間に。
「・・・ははっ、なるほどなぁ。
兄者が好きな女の子のしぐさや正午は部屋を出ないで邪魔をするなかぁ。分かったぜぇ」
「ず、随分と協力的ですねぇ何か企んでいるんですか」
「いや、アニメや漫画の見すぎだから。現実に企んでいたら、そういう分かりやすい動きはあるもんだよ。うわぁー、信じていない顔だなあ」
「甘く見ないでほしいですねぇ。冬雅おねえちゃんや真奈おねえちゃんみたいに良い生活なんて、小学生のある日に終わったんです。その後は利用されて鋭くならないと生きていけなかった、わたしの観察眼があります。それでも
移山の考えが分からないから、余計に思うんです」
家出をしてから
している。大人の悪意には感知できるようになったし、温かい生活している今で善意にも察知できるようになった。
その真逆な2つでも見えない。
「
「・・・・・」
やっぱりか。言っても語ってくれない。話を軽く掛けてスムーズに
進めるつもりが怪しいままで
出てしまった言葉は、もう引っ込めない。
「睨まなくても悪い意味じゃないよ。兄者をどう思っているのか、善意を利用して盗人みたいな事をしないか
「おにいちゃんを大好きですよ!・・・それに初恋だから」
力強く言い放つのが途中から恥ずかしくなっていきます。そして利用しているかなんてしていない。
「おにいちゃんを利用なんて、もう無いです!最初は確かにあったけど今は恩返ししたい」
「ふーん、そうか。なら少しだけ手伝ってやるか」
面倒くさそうに頭を乱暴に掻いて
そう言った。
「どうして・・・急に?」
「そんな顔をされたら信じない方が難しいだろうからなぁ」
真意が伝わったと思った。そして短いアドバイスを受けて正午には部屋を出ない事を協力してくれた。
後で、わたしが涙を流していたことを気づきました。
もしかして感情的になって泣いたの、わたし。
12時になると、おにいちゃんが降りてリビングに入ってきました。
わたしは勉強で苦戦して、もうこんな時間かと軽く驚いて次に疲れがきました。
「おにいちゃん、わたしも手伝う!!」
「ああ、いつも助かるけど今日はしなくてもいいんだよ」
「無理です!お願いされても断りるから!!」
おにいちゃんと昼食を作り始めます。レンジで作れるヘルシーなパスタ料理を。正直、調理するのも少なく楽だった。わたしは向かいに座りフォークでくるくるした
パスタをおにいちゃんの口に運ぼうと腰を上げます。
「お、おにいちゃん・・・あーんしてください」
「い、いや一人で大丈夫だから」
「・・・・・」
「わ、分かった。・・・・・」
「てっへへ、どうかな?」
「美味しいのと食べる量が増えてお得感があるかな」
「そ、それならもう一回」
「えぇーー!?」
えへへ、これはドキドキします。
どうして急に、あーんをしてくれたか謎だけど・・・いえ、悟って理解した。わたしの目にはウルウルしているのが感じました。それを、おにいちゃんは泣かれると
思ったのだろう・・・喜ぶべきか複雑だけど。
「よし、皿洗い終わったから俺は二階に戻って執筆するよ」
食事を終えて共同の皿洗いも仲良く終わってから、おにいちゃんは出ていこうとします。
「ま、待って、おにいちゃん。
ここに座って」
「座った椅子に?」
「う、うん」
怪訝に思っていた、おにいちゃんだったけど明るく返事して座ります。
その隣にわたしは座ります。そして勇気を振り絞り手を強く握ります。
「んっ?あれ、これは」
「こ、このままぬくもりを感じていたいです」
「・・・ああ。いいよ」
手を握ったまま何も言わずリビングの中を眺めるだけ。それだけなのに幸せを感じてしまいます。
時間がどれほど経ったか、イチャイチャタイムは終わりおにいちゃんは今度こそ出ていこうとします。
「ま、待って!おにいちゃん最後に・・・」
「んっ?何かな比翼」
おにいちゃんから、するば
「だ、大好き!!おにいちゃんを誰よりも愛している。
ず、ずっとこれからずっと、ずっと大好きだよ」
「・・・・・あ、ありがとう。嬉しいけど急にどうしたんだい?
いつに増して勢いあるけど」
「そ、そんなこと無いよ。ほら、おにいちゃん戻って。もう戻っていいよ」
「あ、ああ」
顔を少しだけだけど赤くなっていた。やったー!無理やりリビングを出て行かせて、わたしは疲労のため息をこぼします。
「ハァー・・・・・つかれた」
今日は、おにいちゃんが大好きな相手を参考にして実行した。
真奈おねえちゃんように手を握って、冬雅おねえちゃんみたいに
あーんさせて告白もした。
移山のアドバイスはドキッとさせた相手を同じくすれば効果は現れると。確かに成果はあった。あったけど、すごく恥ずかしかった。
(夢中で忘れていたけど幼馴染の設定やる余裕がなかったなぁ)
恋のライバルである、おねえちゃん達は手強い。手強すぎるぐらいに。
戦果は、おにいちゃんが少しドキッとさせ頬を薄く赤くさせただけ。道のりが長いが絶対に振り向かせてみせると、わたしは拳を作り上げて心の中で恋人になるぞ!と燃えたぎる。
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