第251話―まだ小説家志望者と数十歳も離れた幼馴染―

「ぐぅはあぁー・・・ここで寝るの抵抗感も無くなってきた」


ずっと収納したままで眠るはずだった布団の出番を増えていた。


「フフ、東洋とうようゆるキャラみたいに癒やされ感ある、かわいい欠伸」


「いや、いや、いや。28歳の欠伸なんて癒やされるどころか

不快な気持ちにさせる・・・のが・・・・・あ、あれ?真奈さん。どうして朝ごはんを??」


「何を言っているの・・・と、東洋。ほ、ほらワタシ幼馴染なわけじゃない。だから、こうして近くにいるじゃない」


「いや、いや、いや、いや!幼馴染はズッ友みたいな意味じゃなくて腐れ縁みたいなものだから。

仲が良かったら親友にランクアップしているだろうし」


どうしてそんな事をしたかなんて小説のキャラ萌え属性研究のため

真奈と比翼が協力することになったのだけど、明日も継続していたのね。


「お兄さん。それは些細な問題!触れてはいけない禁忌をむやみに足を踏み入れるような行為に相当する。

だからダメ絶対!」


「あ、ああ・・・それよりも話を戻すけど朝ごはん作ったのも幼馴染として?」


「コホン。べ、別にアンタのために作ったわけじゃないんだからねぇ」


夏用のネグリジェ上に水色のエプロン姿で振り返り、人差し指をビシッ!と向けて言った。


「おぉー!いにしえに伝わるツンデレ・・・なんだか懐かしい」


「フフ・・・あれ?懐かしいって、まだまだ廃れていないと思いますけど、確かに減少続きですけど」


かつて真奈がしていたのだけど告白をしてから、どんどん

表に出るようになってきているから感慨深くなってきている。

そんな感情になるほど付き合いが長くなってきている。


「それよりも今日は登校があるのかい?」


「そう!足で向かう登校日なわけ。

ワタシがいないからって他の女の子とイチャイチャしないでよ。

・・・・・・・・ライバルが増えてほしくないし」


「わ、分かっているよ」


最後の小声なんかも聞こえてしまったし触れないでおくけど。

リビングを出て顔を洗いなどを済ませ戻るとテーブルには二人分の

食事が置かれていた。

器量がいい真奈、略してキリマナ。


「おぉー、美味しそうに湯気が出ている」


「美味しくなくても出ているわよ。ほら早く座って食事するわよ」


「ああ」


向かいに座ろうとして真奈の表情が不満そうで瞳には非難的なものだったので隣に座り、手を握られた。

離さないよう、意識させられる強く握って。


「もう少しこのまま」


「了解」


下に向けていた真奈の耳には赤く染まっている。

訪れた静寂。そういえば目覚めた時に料理していたが大きな驚きは俺の中にはなかった。

それは寸歩不離すんぽふり、距離を置かずに隣にいる意味が現状に適している四字熟語。


「お兄さん」


いつもの呼称を鈴を転がす大小の変化がなく声調。凛々しい表情で顔を上げ、椅子と身体ごと俺に向ける。雰囲気で気圧されそうになる。


「頭が整理がつくまで待つよ」


「ううん。一言を伝えるだけ」


「なにを?」


「お兄さん・・・大好き!冬雅が大好きなのは分かっても諦めないから!!」


熱ぽい眼差しに潤い、頬には言った後よりも赤く鮮明に染まっていく。

予想外な一撃に俺は、言葉を失う。やっと返事をするようになるまで数分とそれ以上か、「ああ・・・・・ありがとう」曖昧で適切なんて程遠い返事をしたのだった。

食べ終えて俺は気づく。冬雅をしないと。


「お兄ちゃんと真奈、ハイサイ!」


ベランダで俺と真奈は手を繋ぎ入ると冬雅は待っていたと範囲まで溢れる笑顔で挨拶する。


「ハイサイ冬雅」


「ハイサイ・・・気になったけど、いつも挨拶しているわけ東洋?」


普通に挨拶した真奈が俺に鋭い目で尋ねる。名前呼びからして幼馴染を演じているのもあるのに怖い。演技で知っていても・・・心の奥に沸々と溜まっていたものかもしれない。


「な、名前!?しかも下の名前で。お兄ちゃん何があったんですか。も、もしかして・・・

大事な人になってしまったのですか」


冬雅は名前を呼ばれた光景が信じられず衝撃を受けて少しの間、呆然となる。ネガティブな方へ思考に至り今にも泣き出しそうになる。

隔てたと呼べないベランダのすぐ前に冬雅の部屋からベランダが

飛び越えるのは簡単だけど、そんな事するよりも言葉だ。


「ストップ。違うんだ冬雅。

これは小説を書くためにしているんだ」


「・・・よく、分かりませんけど?お兄ちゃんの事だから大体は予想がつきます。ヒロインの魅力を引き出そうと真奈が手伝っていると思います」


「賢明すぎるよ冬雅。軽く引くぐらいには」


「お、お兄ちゃんを長くいるから詳しいだけなのにひどい言われようだよ!!」


頬をリスのように膨らんで拳を作って上下に振る姿には癒やされる。いや、こうして話すだけでもエリクサー以上の効果はある。

もしやラストエリクサー!?


「はは、ごめん。元気そうで何よりだよ」


「うん。それは何度も聞いたよ、お兄ちゃん。わたしも行けたら

親密度を上げようと頑張ったんだけど」


「・・・お兄さん本当にイチャイチャ多くないですか」


真奈が演技なしで不満そうに口にする。これが嫉妬している事は

分かっているので控えないといけない。


「そうだな・・・けどイチャイチャじゃないよ。信じてもらえないけど」


「はい、無理ですねぇ。お兄さん自分を騙すこともしますから。

大きな音がするとビクッって驚くし、慌てるの速いし」


そんな事はないとは断言できない!

真奈が人差し指を立てて俺の知らなかった視点で感じた事を発する。


「そんなわけで、お兄さんは」


「く、詳しいんだねぇ真奈」


熱弁した真奈に冬雅は苦笑。真奈が述べた事をまとめると不満な点。積極的じゃないなど欠点は少しで多くはイチャイチャしたいのだと裏に込められた不満。


「ワタシといれば・・・きっと毎日が楽しいですし後悔はさせいよ」


「「・・・・・」」


真奈の言動にポカンとなる俺達は

目を合わせて、どちらか先に苦笑した。

話をした真奈は満足して冬雅と女子トークを始める。まずい、話が入れない流れ。二人は満足して

話題は静かになっていく。

ここで疑問を訊いてみるとしよう。


「冬雅、挨拶したハイサイってハイターイに似ているけど沖縄弁?」


「うん。主に女性が使っていますねぇ」


「へぇー。なるほど」


俺は納得していると後ろから音が聞こえる。冬雅は目を見開いて

微苦笑を浮かべていた。

気のせいか額には汗が見えた。


「あっはは、おはよう比翼」


「おはよう冬雅おねえちゃん。

3人で、いつまで立っているんですか!!」


どうやら警戒心が薄いと四人の中で年下の比翼に俺達は小言を

言われてしまうのであった。

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