第221話―GW視点はマナ真奈―

ワタシが帰宅すると家事や料理して待つ家庭教師がいる。放置して長く伸びた黒髪と外出を嫌うのか男性では珍しく不健康で白い肌の

大人。山脇東洋お兄さんとは休校する事が決まりワタシの家で泊まる流れになった。そして5月2日。


「お、お兄さん・・・慕っています。大好き!」


「あ、ああ。急にどうしたんだい真奈・・・まるで冬雅みたいだけど」


リビングに入りワタシの第一声はお仕掛け告白。お仕掛けと言うには自宅なのだけど。朝が早くまだママもパパは起きていない。

なので今は二人で出来ない話も出来る。


「だ、だって一度は実行したかったから・・・大好き、大好き、大好きぃぃぃーー!!」


「分かった。分かったから叫ぶと起きてしまうよ」


「あっ、ごめん」


「いや謝らなくてもいいよ。

とりあえず隣に座ってイチャイチャでもしないか」


「イ、イチャイチャ・・・」


魅惑な言葉につい喜んでと即答しそうになるのを羞恥心がそうさせない。大好きな人からそう

言われればイチャイチャしたい。

けどお兄さんがそんな事を言うのだろうか。


(ですが隣に座らないのはあまりに失礼ですから座らないと・・・うん!)


向かいではなく隣という事は手を繋いぎたい意味でもあるワタシとお兄さんの中では。フフ、仕方ない。

いい大人なのにJKのワタシと手を繋ぎたいであるなら、しょうがない。


「そ、そこまで言うのでしたら座るしかないですね」


言葉で伝えて手を繋ぐのは思ったよりも恥ずかしさが込上がってきて無言よりも大きいことに気づく。

ダイニングテーブルの椅子に座るだけでこんなにドキドキさせられるなんて。


(うわぁー、お兄さんの手が大きいし温かいし落ち着く・・・)


映っていたテレビを一緒に観る。

ずっと、このまま感触を味わいたいけど勉強もしないと。


「お兄さんこれが、終わったら勉強を見てくれませんか?」


「ああ、もちろんだよ。それが俺の今の仕事だからね」


「ふふ、そうでした。家庭教師でしたよねぇ・・・ワタシだけの」


大好きな人の職場がワタシの家なのが舞い上がるほど嬉しいし、

毎日と手を繋げれるのは単純に嬉しい。

冬雅に会えなく落ち込んでいたから一日一回の告白をしようと決めたが予想したよりも恥ずかしい。

反応が嬉しいから頑張った甲斐はあった。


「真奈、そろそろ」


握る手を離しワタシの肩を両手で離さないよう置く。それはまるで――


「えっ?お、お兄さん待ってそれはまだ早いよ」


「・・・」


口が近づいて、これから何をされるのか容易に想像が出来てワタシは目を閉じる。徹底的に口臭ケア

すればよかった・・・いえ、それもあるけど関係はどうなるのだろうか。待った、なかなか口を重ねる

触感がなくおもむろに目を開く。


「・・・・・あー、分かっていた。

ワタシの願望があったことによく考えれば理解したのに」


夢落ちだった。さすがに何度も起きたら羞恥心のままに絶叫することは無いけど恥ずかしいのは

変わらない。それに最後は残念だったような・・・夢の中とはいえ

しなくてよかった。このまま続けていたら、お兄さんの顔を見れなかったと思う。


「ナーちゃん何かあった?」


数時間後、勉強でもして頭を冷やそうとしたが効果はあまり無く

朝食を食べに居間に向かって降りた。テーブルに座るワタシに料理を作っていたママは違和感を感じて言う。


「な、何でもない。ポケモン勝負で強い人と対戦して負けてしまって悔しかっただけだから!」


「そうなのねぇ。ゲームもほどほどにして運動をしないといけないよ」


「うっ、今は自粛ムードだから運動なんか出来ないよママ。

だから運動がしたいのは山々なんだけど仕方なくしていないの」


「家で出来る運動をすればいいじゃないかしら。ほら、ニュースで見たけど動画で色々とあるじゃない」


「そ、そうだけど。・・・あっ!頭脳労働でカロリーを多く消費しているから運動するエネルギーが

枯渇の寸前で動かす力が残っていないのよね。残念だけど、

無理をして身体を壊したくないから」


「ナーちゃん。頑張ってやり続けてくれたら山脇さんを家に泊まらせるのも検討をしていたんだけど」


「運動不足は良くないよね。

よーし、食べ終えたら腹ごしらえに運動もするのも一興!」


釣られたわけではなく、たまたまワタシは身体を動かしたい気分に

なりワタシでも出来るのを探すことになった。

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