第220話―GW視点は冬雅―

5月1日にママとパパが帰宅してくると急に連絡してきた。

娯楽小説などあるご都合主義に則ったほど家には滅多に帰ってこない。わたしか中学に上がってからはとくに。


もはや海外出張しているじゃないのかツッコミたくなる。二人は

日本の貿易会社に勤めているけどよくあるパターンの人手不足。

そして優秀で勤勉で泊まるのはビジネスホテル。


(帰ってくれるのは嬉しいけど、

お兄ちゃんとは一応は年の差という世間で言うなら禁断の恋。

けど、わたしの感覚で従うなら夢のようで結ぶしかない断言をしてもいい純愛なのに)


さらに交際・・・遺憾ながら恋人未満を超える段階の関係にあり淫行

にあたる。この法がなければ、もっと悲惨な末路に辿る人がいるのは重々に承知なんだけど・・・

長期的に付き合っていて、わたしから告白したから免除してもいいのでは考えている。


「ハァー、憂鬱ゆううつだよ」


朝早々と目覚めて、わたしはコーヒーをリビングのダイニングテーブルに座り一人で孤独を味わいながら珈琲コーヒーを味わう。


(やっぱり、お兄ちゃんとベランダで挨拶するべきだったぁぁーー!

今朝が唯一のチャンスだったのに

勿体ないにもほどがあるよーー)


わたしの人生でこんなにゴールデンウィークを悪かったのってなかったよ。いえ、ママとパパと会えるのが・・・けどぉぉぉ。

わたしの頭の中はその明暗スパイラルで絶叫したくなる。

マグカップを置いて自粛要請のCMを横目にビスケットを口に運ぶ。

甘さが口の中で広まり心に豊かに癒やされていく。この完成度なら、お兄ちゃんも喜んでくれるかな。


「えへへ・・・・・ハァー」


次に会うのはいつになるのか。

ため息が零れると、ピンポーンと

お兄ちゃんの家と違うチャイムが家に響く。

どうやら帰ってきたようなので玄関に進みドアをゆっくり開けると

ママとパパでした。


「ただいま冬雅」


若くしてキャリアウーマン然とした出来る大人の女性を体現したような人は顔を20代のように笑みを浮かべて言う。


「おぉー!相変わらずカワイイなぁ冬雅よ。疲れた心身ともに力がみなぎっていくようだ。ただいまぁぁぁーー!」


渋い声で俳優さんような整った容姿を持つパパは、わたしを見て

破顔してそう叫ぶ。もう、いい年なのに落ち着いてほしい。


「おかえりなさい。ママとパパ」


十時に回る時間に二人は帰ってきた久しぶりの再開に、わたしも

嬉しく笑顔で二人を迎えた。

入念に手洗いと除菌スプレーをかける。

わたしは居間まで連れていくと二人はきょろきょろし始める。訝しみ

足がつかない様子に怪訝に思い

訊ねる。


「どうしたの?まるで知らない家にいるような反応だけど」


すると、ママは比翼と一緒に選んで購入した置き型タイプの芳香剤ほうこうざいを指をさす。


「前はこんなに女の子みたいな

家具というか、いい匂いなんて気にしていなかったのに。どんな

心境の変化かなって?」


どうやら情報量が多すぎてママは、訊きたい事は山ほどがあり

論理的な説明が出来ていなかった。


「そう遠くないうちに一人暮らしを想定して家事や掃除を出来るようにしたいなぁ思って試行錯誤しながらしているかな。

勉強も忙しくなって出来なくなる前に慣れておこうと考えていまして」


昨夜からママとパパが帰ってきたとき質問をされるのは前の帰宅に経験した。まぁ、本当の理由は

もっと単純で未来を見据えたものです。それはお兄ちゃんと

新婚生活が一歩と近づいていくのと理想な女の子には部屋がキレイにしないといけない。料理は、

お兄ちゃんが美味しいって笑顔を

言われてから、わたしの中で何か全身に電撃が走った感覚を起きた。


「へぇー、なるほどね・・・将来性を見出すなんて、成長したようね冬雅」


「俺は・・・認めんぞ!一人暮らしなんてツライだけだぞ。あやだって反対だろ」


綾というのはママの名前でパパは

わたしが生まれてからも使っている。ともかくパパは、わたしを

一人暮らしを認めそうにない。

実際は大学生になっても家にいる予定またはお兄ちゃんと同棲を

許可をもらおうと野望もあるのです。


「あなたねぇ・・・冬雅がここまで急成長しているのに子供みたいに駄々をこねないでよ」


「そんな事は無い。俺は成長しているぞ。記憶力を衰えを感じながらも冬雅のためなら記憶をつかさど海馬かいばを最大出力で容量が許す限り

脳内写真を連射を続けているのだ」


いつもよりも可笑しい発言をするパパに愛情を向けてくれるのは

嬉しいけど、狂人そのものようで怖い。


「あ、あはは。そうなんだね」


「ごめんね冬雅。なかなかテレワークが出来ない職場だからストレスを溜まっていたのよ。頭痛するけどスルーしてくれていいわよ」


「お疲れママ。2人のお茶を持って来るねぇ」


謎の熱弁するパパに、こめかみを抑え呆れるママ。わたしは、キッチンに行き少し高めの緑茶を

入れて持っていく。ダイニングテーブルに座る二人の前に熱いお茶を置く。マスクを捨てた二人は、

隣で座っていて仲がいいなぁと

思う。


(わたしも、お兄ちゃんと子供が成長してもここまで仲良くありたいなぁ・・・って、わたし今スゴイ事を考えていなかった!?

・・・・・うわぁー、どうしよう。

お兄ちゃんと結婚生活とか子供まで考えるなんて・・・わぁぁぁ恥ずかしい!!)


「ふ、冬雅どうしたの?

赤い顔でバタバタして」


「なな、なんでもないよママ」


平静を保とうと心中で何度も何度もと呟くが、まだ早い領域に至ってしまった結果として、わたしの頭はかつてないほど狼狽して

落ち着くのにかなりの時間が要した。

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