第200話―混迷エイプリルフール―
執拗的な
眠気を
「・・・ふわぁー」
上半身を起こし窓を見上げる。
(今日は雨なのか)
空は濁ったような白の一色と霧のように細かい雨。
4月1日エイプリルフールは雨であった。
まぁ、コロナウィルスで外出を自粛を心掛けないといけない時期なので出られないが。俺はベッドから降りて窓に近づく。やはり
冬雅の部屋からベランダに立っても中にもいない。それは当然だ。
部屋は違うが俺の家に泊まっているのだから。
(ベランダで挨拶するの習慣化して体がすっかり覚えていて、なかなか止めれないなぁ。
目覚めたばかりで頭が回っていない。
心配なのは・・・・・エイプリルフールで冬雅が何もしないなんて無いんだよなぁ)
窓から見る外の景色は
俺は諦念のため息をこぼし、部屋を出る。一階に降りて顔を洗おうと洗面所を曲がって通ると、タックルされた。
「わぁ!?ああ。比翼社長でしたか。おはようございます」
「えへへ、そうだよ・・・・・んっ?
比翼社長って何!?」
タックル改めてハグした比翼は目を剥いているか分からないがら、ツッコミの声高からしてそう思う。胸を埋まっていた顔を上げる比翼は、やや驚いていた。
「ほら、今日はエイプリルフールだから何か嘘をつこうと思ってね」
「お、おぅ・・・おにいちゃんイベントに積極的なのはいいけど脱力感スゴイですよ!」
「起きたばかりだからね。ふわぁー」
比翼と寝るのは冬雅の番となって
俺は一人で夜遅く小説を書いていた。次の応募用と趣味で書いている年の差ラブコメを。
書いていて楽しくなってしまい、夜ふかししたのだ。
「もう九時だよ。おにいちゃんいくらなんでもニートだからって、だらしない生活はダメだよ」
批判的な眼差しを向けられ、反論もない注意を促された。
27歳は中学生に心配され怒られる。我ながら情けなくなってきた。
「気をつける・・・比翼は立派だなぁ。見間違いをしたよ改めて」
「い、いきなりなんですか!
改めて、おにいちゃんは優しいし中学生視点で教えてくれたりするから・・・ありがとう」
「ああ、いや、うん。それは考えすぎだろ」
くっついた状態で、こんなときにお礼や
「えへへ、かわいい。・・・わたし、おにいちゃん大好き。
もし結婚できる年齢だったら結婚とかしてくれますか?」
「えっ!?そ、それは・・・・・」
「嘘です。あっはは、騙されましたねぇ。今日はあらゆる嘘を許される日エイプリルフールですよ」
比翼は、ようやく回していた両手を離してくれた。それよりも
回答に困るのは止めてほしいものだ。耳が赤く染まっているのは
本当に嘘かどうかは、やめておこう。比翼には、そんな目で見てはいけないのだから。
「お腹すいた」
比翼は一足先にリビングに入った。顔を洗いタオルで拭いてから俺も遅れて入る。
「お兄ちゃん来ないでください。顔を見たくもないです」
「えっ?ふゆか」
待っていたと冬雅は満面な笑みで歓迎のスマイルで優しい声で
暴言を聞くことになった。
・・・だめだ。状況がつかめない。
「も、もちろん嘘ですよ。お兄ちゃん・・・一秒でも早く会いたいですし、嫌な気持ちにならないなら・・・・・そのずっと顔を見てみたいです。えっへへへ」
慌てて冬雅は先程の暴言を訂正した。そして、対義語の言葉で
愛情や恋慕を隠さずに言う。
や、やめておこう恥ずかしくて
絶えれないんだぞ俺も。
「冬雅おねえちゃん落ち着いてください。説明不足ですよ。
おにいちゃん、辛辣な言葉を唐突に口にしたのは今日がエイプリルフールで昨夜はおねえちゃんは悩んだ末にたどり着いた答えが
ギャップ萌えのようです」
年上の姉と慕う姿は、デレデレ状態と暴走していて、呆れて細い目で一瞥して俺に事情を説明した。
あの暴言と撤回と嘘を告げてからの想いをぶつけていく言葉の数々。ギャップ萌えというワードで俺は目的がなんとなく理解。
「と、ということは褒めたり肯定的な言葉が多いのを冬雅は知っていた。ギャップ萌えでするのは
否定的な言葉遣いと?」
「さすがは、お兄様です。
まぁ、そんなわけだから頑張って。冬雅おねえちゃんを相手ばかり出来ませんので、わたし勉強をしないと」
「あ、ああ」
本当にどちらが姉か妹か分からなくなってきた。比翼は勉強を始める。
「お、お兄ちゃんなんか大嫌いです!・・・・・」
「冬雅、俺は傷ついていないから元気を出して。ほらいつものように元気に笑ってほしい」
ギャップ萌えというアプローチに来た冬雅。なるほど嘘なら、
逆の言葉を使うわけか・・・頭痛してきた。
それに、大嫌い!なんて吐いてから苦痛で悲しそうにするなら、
止めていいのでは!
「お、お兄ちゃん・・・・・あっ!
なんでや。あんちゃんのために笑わんといけんねや!
しばくぞぉう!ワーレィ」
「どうして関西弁!?下手なのは東京生まれならあるあるだから
仕方ないとしても、最後はオシャレに聞こえる!!」
急な方言に俺は声を高くツッコミを本能的にした。朝から無気力だったのに、もう消えたよ。
「えへへ、そうですか」
「褒めていない。冬雅、俺は褒めていないからなぁ」
今にも悶える姿を見て俺は追撃するようなツッコミをした。
もうなんなのこれは。
「お兄ちゃん朝ごはんは用意しています。わたしと比翼は先に食べたけど、お兄ちゃんにあーんさせてあけまるね」
「ギャップ萌えは、どこに行ったのか思うけど。
わざわざ朝ごはん作ってくれて
ありがとう」
私服にエプロン姿の冬雅は、眩しくなるほど笑顔で頷いた。
「はい。あつ、いいえ!あんたのために作ったわけじゃないから」
典型的なツンデレセリフに俺は
面白くなって頬が緩んでしまった。席につき冬雅が作ってくれた
朝食を済ませて、いつもの
ように冬雅とアニメやゲームを
して遊ぶ。勉強の休憩に比翼も
途中で参加した。
楽しい時間が過ぎるのは早く午後5時。
「部屋が暗くなった。そこの
お兄ちゃん電気をつけてよ。
本当に気遣い出来ないポンコツなんだから!」
夕刻。冬雅は当初は暴言なんて言って苦痛そうに顔を歪めていたが今は顔を冷たくなれるように 上達した。・・・いや何の上達なんだいったい!?言われた通りに
明かりをつけて冬雅から少し距離を取ってソファー端に座る。
「お兄ちゃんはダメすぎます」
慈愛に満ちた表情で冬雅は俺の隣に近づいた。立ち上がる前の席は冬雅と比翼の間。
距離を縮んみ冬雅は幸せそうに
リモコンでアニメを再生ボタンを押す。冬雅は、また忘れているが
ギャップ萌えの言動を忘れているようだ。無粋だと分かりながら言わなかった事を言おう。
「冬雅、知っていた。エイプリルフールだけど午前までタイムリミットで正午までなんだよ」
「そ、そうなんですか!?
ふーん、知りませんでした。
じゃあ・・・終わったならいいですね」
「えっ?」
冬雅は視線を俺に下から見上げる。瞳は潤っていて動悸が早まる錯覚した。
「ドキドキしました。お兄ちゃんに暴言を吐いたら、少しは喜んでくれるかなって、かわいい声を意識して
お兄ちゃん愛しています」
エイプリルフールであっても冬雅
は強い想いをこめられた告白を
する。俺は顔を熱くなるのを意識しながら「ありがとう」っとお礼をした。
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