第160話カオス・パニック3
日が沈み闇に包まれる外を真奈達を無事に送った後、俺と冬雅、比翼は家に帰るまで同じ道を歩く。
「お兄ちゃん・・・わたしもっとお兄ちゃんとは距離を近づきたいんです。お、お互い大好きですし
・・・近々デートしたいかな」
冬雅は例の告白とデートの誘いが来た。宣言どおり積極的に来ている。
「えーと、そのうち」
「わぁー、はい!」
何度も告白されると、告白の定義が分からなくなる。
心の内に秘めていた想いを伝えるのは一般的な定義は知っているけど。
(恋すると色々と見えなかった物が見えてくる。告白も一般定義じゃなく個々による特別な定義かもしれない)
我ながら少しロマンチックな考えをしてしまった。けど、真実に近いと思う。告白の意味なんて文面や簡単に説明できるものじゃなく状況や想いが
「ずるい!わたしも、おにいちゃんとデートしたい」
なかなか離してくれない比翼は腕に抱きついたまま不満を冬雅にぶつける。
「もちろん、その時は比翼も一緒にデートだよ」
「やった!なんて言わないよ。いつも思ったんだけどそれってデートなのかな?」
「えっ・・・大好きな人と出掛けるからデートだと思うけど?」
「冬雅おねえちゃんはそうでも、わたしには面倒を見られている感があるのだけど」
「そ、そんな事ないと思うよ」
俺を挟んだ形で比翼は冬雅をジト目を向けて冬雅はそっぽを向く。
冬雅の気持ちはなんとなく分かる。比翼には
「まぁ、いいけど。冬休みおねえちゃんとおにいちゃんのデートを邪魔とかしたくないですから」
「ううん。邪魔なんてまったく思っていないよ。比翼がいると和めて楽しいのと、お兄ちゃんも笑ってくれるから。そんなわけで比翼は必須!」
「・・・冬雅おねえちゃんは時々その笑顔スゴイと思う」
「え?う、うん。ありがとう」
意外な言葉に何を褒められたか理解していない表情をする冬雅。あの眩しい笑顔はなかなか出来ないと比翼は思ったかもしれない。
約束を果たすなら今しかない。
「冬雅、もし寂しいなら・・・お、俺の手を握ても構わないけど」
「うん。・・・えっ、あっ!
えーと、はい!少し、寂しいです」
言った言葉を冬雅は、しどろもどろになりながらも手を繋がこうと手をゆっくりと伸ばす。手の甲が触れると、すぐに引いて寄ろうとしてなんども挑戦していく冬雅。
「・・・・・うぅ」
久方ぶりで恥ずかしく先月の好きと告白した事が冬雅をそうさせているだろう。勇気を振り絞りながらも触れると堪えれないようだ。
何度も繰り返され俺も感染して羞恥になっていく。
「
「はぁい?・・・きゃっ!?」
俺は、とつおいつ繰り返す冬雅の手を握る。いずれ何もせずに帰宅し約束を果たせない
「ごめん突然こんなことを」
「い、いえ。嬉しかった・・・です」
見上げる冬雅は涙目ながらも明るく笑っていた。鼓動が急激的に上がっていること知らないんだろうなぁ。
「分かった。それじゃあ、このまま握っている」
「お、お願いします!」
お願いされた。冬雅の手は雪のように冷たいながら温かい。
そういえばお互い手袋していないことに気づく。そのせいか
「あっ、もう家だよ。おにいちゃん冬雅おねえちゃん」
「ああ、見えてきたなぁ」
「えへへ、そうですね」
手を繋いでから冬雅を向いて話せず比翼を介して話をしていた。
ともかく、冬雅が言っていた頭を
「それじゃあ冬雅また明日」
「う、うん。お兄ちゃん今日もドキドキして大好きです。また朝も告白をしていきます!」
「あ、ああ」
決意表明のような告白にたじろぎながらも言葉を返す。冬雅はそのまま玄関に入ろうと
「比翼、比翼!わたしの家に来ないのですか?」
「うん。やっぱり泊まるならおにいちゃんの家がいい!
そういうわけでバイバイ冬雅おねえちゃん」
「う、うん。バイバイ・・・」
拒否されるとは思わなかった冬雅はショックを受けて手を振る。
「残念だが比翼。私の家は無理だよ」
「いやだ!おにいちゃんが否定しようがおにいちゃんがいい!」
「いや、冬雅の方が色んな物が揃ってあるからそこに――」
「ブラシとか持って行けばいいです」
「・・・えーと、俺がいるから色々と遠慮するんじゃあ」
「おにいちゃんなら気を使わないよ」
そこまで信用と甘えられたら、いいぜぇ!なんて答えたくなる。
「じゃあ、お兄ちゃん。比翼を泊まらせるのは交代、交代にしませんか」
「交代、交代?」
俺の疑問の呟きに冬雅は説明する。一週間以内ほど泊まらせ交代していくことらしい。
「なるほど冬雅の案で決定してもいいかな。比翼それでいいか」
「うん。楽しそうだからOK!」
「とっさに出たアイデアだったけど、よかった。それじゃあ今日はお兄ちゃんの部屋ことで」
「うん。わかった冬雅おねえちゃん。今度こそバイバイ」
「うん。バイバイ比翼・・・・・
お、お兄ちゃんも」
「ああ、冬雅。それじゃあ」
冬雅がドアを閉めて見えなくなるまで見送る。帰りの送りに行く人数が増えて疲労と時間が過ぎたことに僅かな恐怖した。
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