第107話フィールド・トリップ其の陸

出ていた真奈は、もどかしそうにいた。頻繁に向けられる視線をたどるとドアで、わたし達と歓談中に変わらない笑みを浮かべていた。わたしでも違和感を覚えても深く考えなかったが、よく廊下に一人で出ることやあせりも言動が気になる。


「ねぇ、真奈」


「なに冬雅?」


果たして素直に答えてくれるか。真奈は一人で抱えるくせがある。


「えぇーと・・・・・どこか行かない?」


「どこかって、唐突にどうしたのよ?」


二人になれる所と抱えている何かを探ろうとあれこれと考え、伝えれる言葉を探した結果が、この言葉だった。わたしも自分の発言に拙いよっと後悔している。


「それは、もしかなくても真奈様のデートの誘いじゃなくて峰島さん?」


ゾッ、となる。底冷えさせる抑揚のない声音。狩人を彷彿させる気配としかいえない空気が肌に感じる奇妙なもの。羽柴さんは目を炯々けいけいとしてわたしを射る。


「香音。目が炯々としているから」


「けぃけぃ?」


真奈のツッコミに羽柴さんは可愛いく首を傾げる。これが、あざとい行為なんだ。


わたし、お兄ちゃんにドキッとさせる角度やタイミングなんて暗中模索しているけど、あえてあざといのもありかもしれない。・・・・・いや、いや!


わたし、またお兄ちゃんをドキドキさせることに考えていた。恋愛脳になるわたし。真奈は羽柴さんの質問に笑顔で答える。


炯々けいけいねぇ。目を鋭く光らせること」


「すごぃー、やはり真奈様は博識でカッコいいです!」


「そ、それほどでも」


真奈様は照れていた。羽柴さんは好きな人に様づけするけど、そこも気になる。うーん、怖いからやめよう。


「ふふ、香音さん。

真奈さん可愛いですよね」


「はい!もちろん。

かわいいを通り越して神!女神

ゴッデスですよね」


茜の言葉に女神発言をする羽柴さん。


「か、かわいいくないから!

茜も刺激するようなことを言わないでよ」


今日、何度目になるか真奈をかわいい熱論。


「いえ、可愛くないわけがないんです!真奈さんがモテることを自覚しても容姿を褒められると照れるのは、なかなかできません」


「名言いただきました。

そうですよ、真奈様の他にかわいい女の子がいますか?

否、いません。どこにも世界にも宇宙にも」


「わ、わかったから。落ち着なさいよ。ねぇ!」


スゴイことになっている。

聞きたいことがあって状況を少し伺っていたが助け舟を出さないと。


「ま、真奈。よかったら二人が落ち着くまで、しばらく避難しない?」


「そ、そうさせてもらう」


光明を得たと言わんばかりに頷く。真奈が腰を上げると同時に笑顔だった羽柴さんがわたしに炯々とした睨みを向ける。強引に略すればKK。


「また、真奈様とこっそりと 二人きりなると?」


「え?いや、そんな魂胆はないよ、わたし・・・・・あ、あはは」


わたしは、恐怖のあまり作り笑顔でその場をなんとかしようと試みる。


「魂胆?へぇー、こんたん」


「いえいえ、本当に魂胆ないよ」


「詰問していないのに、語るに落ちるとはこの事ですね」


虚無な表情で一歩と前へ進み、わたしは後ろへ下がる。最後に壁にぶつかり下がれなくなる。


「か、香音!」「香音さん!」


「さぁ!吐いてもらうわよ」


「い、いやあぁぁぁぁ!!」


二人の静止にどこ吹く風、わたしを襲う羽柴さん。


「あ、あっははは!」


わたしは、脇をくすぐり攻撃を受け笑い叫ぶ。


「ふふ、どうかしら?語りたくなったでしょう?」


およそ一分も続きようやく解放。


「はぁ、はぁ・・・・・お、思ったよりもツライ。はぁ」


「峰島さん。まだ、拷問は

必要のようですねぇ」


「ひっ!?」


手を怪しく動かし、狩りの構え。

しょ、正直この程度なら安堵したのは3秒で一分が無限のように

感じさせた。恐ろしいことに逃げようと避けようとしても追撃してくる。


(もう玄人レベル・・・・・あれ?

くすぐりの玄人ってなに?)


「さあ、ショータイム」


「い、いやあぁぁーーー!?」


数分後。わたしは、あらゆるくすぐりに精神は摩耗まもうして病んでいく。膝を抱え、わたしは顔をうずめる。


「あはは・・・神は死んだ」


「え、えーと冬雅。大丈夫?」


顔を上げると屈む真奈。


「へぇー、今になって声を掛けるんだぁ。わたしが助けを求めても助けなかった真奈様がなにか?」


「ま、真奈様はやめてよ!

いやー、平和的だったから

止めなくてもいいかなって」


微苦笑を浮かべ自分の罪を認めようとしない真奈。これが、人間の罰を避ける利己心な発言だなぁと

冷めた気持ちになる。


「フッ、真奈様も玄人のくすぐりを受ければ分かります」


「玄人のくすぐりって何!?

冬雅が闇落ちしたぁぁぁぁ!?」


まったく、人を闇落ちと決めつけないでほしい。それよりも羽柴さんのプロのくすぐりがある。

しないと思うけど、万が一があるので確認しよう。


「羽柴さん。お聞きしたいのてすが、玄人のくすぐり攻撃を真奈にも仕掛けるのですか?」


「えっ、しないよ」


見下ろしていた羽柴さんは、

即答した。うん、分かっている。


「・・・それは、真奈だけなの?」


「神々しい存在に触れようなんて、そんな恐れが多いこと」


羽柴さんは、先まで悪魔のような

姿とは遠く乙女の照れを浮かべる。理不尽な気持ちになり、わたしは立ち上がる。


「納得できないけど羽柴さんだし。わたし廊下に出るね」


「峰島さん、まだ吐いていませんけど」


「お兄ちゃんです!

そろそろ気になってです!!」


手をわなわなと、させた羽柴さんに目的を告げる。

本当は、真奈に訊きたいけど羽柴さんがいる前では無理だと玄人くすぐりに諦めた。


「ハァー」


一人、エントランスホールに向かう。午後6時、そろそろお風呂や

夕食がある。そうなると、お兄ちゃんと連絡やメッセージも難しくなる。エントランスに入ると

目立たない隅にある

ソファーに座る。


(・・・お兄ちゃんまた既読が

ない。わたしだけ嫌われている)


そうだとすれば、好きな人を見つかり女子高校生であるわたしを疎んじてきたから?


「冬雅、東洋お兄さんにメッセージ?」


真奈が後ろで声がした。振り返ると案の定だった。真奈は左に座る。


「ま、真奈・・・お兄ちゃんが

少し変なんですけど。ううん、

やっぱりなにも無い」


「なにか、あるからワタシに言おうとしたよね?問い詰めるような言葉になったけど、なにが

不安か語ってくれない?」


頭を優しくなでる真奈。心の中が暖かく安寧できてしまう。


「お兄ちゃんのことだけど――」


わたしは一部だけ省き包み隠さず説明した。わたしとお兄ちゃんだけのグループのメッセージを真奈を見せて。相槌を打つ真奈は

腕を組んで。


「冬雅、実はワタシも返事がないんだよ」


「えっ!?」


「ほら、メッセージ」


真奈のスマホを受け取ると、確かに既読の表示もない。


「なら、どうして?」


真奈とつき合っていないなら、

大人の女性と?真奈のおかげで

少し冷静になり、そのおかげで

この推論が荒唐無稽だと思えれるようになった。


「とりあえず、東洋お兄さんには催促だけして部屋に戻ろう」


「・・・そうだね」


わたしと真奈は一緒にメッセージを送り、それから来た道に戻る。


一緒に帰ったことで、羽柴さんに

デートと疑われることになった。


弁明の後に、入浴の時間となり

四人で同行。1クラス半分およそ

30分の入浴に次に入ることになっている。脱衣所では裸になるのは

少々、抵抗がある。


「ハァ、ハァ・・・真奈様の

裸・・・・・ハァ、ハァ」


「わぁー、香音!?鼻血が出ているよ。それに呼吸も喘いでいて」


(真奈あなたの裸を見て羽柴さんは興奮しているんです)


抵抗あるのは、真奈みたいに見られることないけど普段は一人で

入浴なのが人が多い場所だと

抵抗があるわけで、みんな裸!っと、半ば自棄になって脱ぐ。


「真奈それじゃあ入ろう。

その、羽柴さんは離れたら回復するから」


「そう?とってもそうには見えないけど」


「ぐへへ、しあにゃせ」


揺り椅子に天井を仰ぎ放心状態て

いる羽柴さん。鼻血を流し

愉悦な表情を浮かべるその姿は

まるで危険ドラッグで廃人となった人みたいだった。


(みんな引いているよ羽柴さん。

真奈は、真奈で好意に気づかない典型的な主人公だし、ハァー)


「私が看ているから二人は

ゆっくりと入ってきて」


茜は、いつもの笑みでいた。

慣れているのか茜はいつもだったことにびっくり。


「う、うん。そうさせてもらうねぇ」


「やっぱり、ワタシも看て――」


「だめだよ真奈」

「駄目です真奈さん」


「そ、即答?」


そもそも原因が真奈だって、わたしも茜も言わない。いや、諦めているのが適切。自覚がない上に

自分には自己評価が低いので

そんなわけがないで一蹴される。

つまり、言っても納得しないことがすごくたちが悪い。


「はぁー、極楽浄土」


「真奈、オッサンみたいだよ。

あれ、極楽浄土?」


わたしは、真奈と隣り合わせで

湯に浸かる。わたしの髪は長いので上にクルクルとドリルのように。お互いタオルを巻いて。それでも、真奈の女の子らしい膨らみや華奢な体型にほとんどのクラスメイトが見てくる。


同性ながらも、いえ同性だからこそ理想像がそこにあると憧憬と羨望の眼差しを向けてしまう。


(それに引き換え、わたしは・・・そろそろ成長期と期待している所を触っても、

大きくなっていない。これが

格差社会というものなのか)


わたしの身体は子柄、つまり貧乳であること。お兄ちゃんも真奈みたいな大きさに目を奪われ魅了される日が来るかもしれない。


「どうしたのよ?

まるで死んだ魚みたいな目をして。まぁ、どうせお兄ちゃんと一緒に入れなかったて思っていたのでしょう」


「ち、ちがうよ。・・・・・さ、さすがに一緒は恥ずかしいよ。それに自信が無いから」


お兄ちゃんに告白をして、される妄想はしても恋人としての細かい妄想はできない。半ば無理だって諦念しているからで。


「自信がないって、妖精のようにキレイなんだけど冬雅は」


「うん、知っている」


「知っているんだ!」


アイドルじゃないので、自虐的な

発言をしない。それでも自信を失っていくのは大好きな人にドキドキさせれているか。

お兄ちゃんは、なかなか照れてくれないので勘違いなのかなぁ?

思うことは多々ある。


「それよりも、その話を振る真奈の方こそ考えていたじゃないかな?」


「は、はぁ!?い、いいでしょう別に。一応だけどシミュレーションだからね!もちろん、そんな事を考えていないから!!」


か、考えていたんだ。真奈と、こうしてゆっくりと話す機会が

無かったけど、予想の上斜め。

お兄ちゃんと一緒に入るって、考えるだけで、頭が熱くなるの

だけど。


(た、例えば・・・・・お兄ちゃんの

家でそうなるとして)


『冬雅もう少し近づいてもいい

じゃないかな?』


『だ、だって、恥ずかしいんだよ!お兄ちゃん』


『いつも告白するのに、逆に攻められると弱いとは。ほら!』


『キャ!?・・・・・ふぇ、手?』


『お互い、正しい距離とか知らないから手を握るだけにしよう』


そして、見つめあう。優しくって

紳士的でわたしのことだけ見てくれる安心感もあって・・・・・


「ふ、冬雅。顔が赤いけど?」


「ま、真奈のせいだから!!」


「ワ、ワタシのせいなの!?」


スゴイ事を考えていたよ、わたしは。あわわ!

後から、茜と落ち着いた羽柴さんが入ってきた。


談笑中に視界の隅にこちらを凝視するのを感じ、チラッと見ると

目が合うと相手はギョッと驚き

うつむいて避けられる。


(あ、あれ?どうして見てきたのだろう)


えぇーと、彼女はスクールカースト高い岡山と一緒にいる一人。

騒ぐようなリア充ではなく、

物静かな才色兼備タイプ。


「どうしたの冬雅?」


「ううん、なんでもないよ真奈」


真奈が、美しいからその取り巻きであるわたしに視線を向けて

恥ずかしくなったのだろう。

お風呂を堪能の後に夕食を食べ終え、わたし達は部屋に戻り進む。


(海鮮料理は、美味しかったけど

やっぱりお兄ちゃんと一緒に

食べたかったなぁ)


隣に前にお兄ちゃんがいない

夕食は寂しさを覚えた。


「そうだ!お兄ちゃんにこの事を報せないと!」


そろそろ既読しているはず。

お兄ちゃんも寂しく一人で食事しているかもしれない。そう思うと

居ても立ってもいられない。


「冬雅のお兄さんによろしくと

伝えてください」


「えっ?あっ、うん。その少し

してから戻るね」


「それじゃあ、ワタシもパ――両親と連絡するから」


「はい、真奈さん」


茜は、にこやかに手を振る。

わたしと真奈も手を振って返す。


「そ、それじゃあ私も・・・」


「香音さんは、私と一緒に遊びましょう」


追いかけようとする羽柴さんを茜は純粋な笑みで遊ぶと誘う。

もしかして、止めてくれた!


わたしは、心の中でお礼をして

静かな場所を進む。

エントランスが見える距離になるところで甲高い悲鳴が聞こえた。


「い、いやだあぁぁーー!!」


何があったのだろう。

真奈と顔を合わせ頷き、早足で向かう。廊下から広いエントランスで察した。出入り口に三人。


前に昇降口で告白され、断った。

確か、複数の女性と付き合っていると豪語した。


「この人の幼馴染みです。

それでは」


「そ、そうなの」


「か、影姫かげひめこれはちがうんだ!だ、だから慈悲を」


20代後半の女性は、苦笑して外に出ていく。幼馴染みと言った人は

確か文化祭でこの人の彼女の一人でいいのだろうか?


彼女さんは、笑顔で腕を組み

怒っているのが分かる。


「ま、真奈ここは、広いから

気づかずにはしに」


「・・・了解」


移動開始して、振り返った彼女さんと目が合った。ポニーテールした可愛い彼女さんに会釈して

移動再開。


彼女は、放心でいたが顔を徐々にと赤く染まりわたし達に向って歩いてきた。見つからないように

していたが、諦め近づく。


「ち、ちがうの!この事は

秘密にして」


「うん。わかった」


「噂をされると大変なの」


「うん、しないから安心して」


「本当!ありがとう。

ほら行くよ一弥世いちやせい


「・・・・・ハイ」


意気消沈となる彼氏を連れて

わたし達が通った場所へと行ってしまった。


「な、なんだったんだろう?」


「気にしないようにしよう真奈」


恐らく、彼女(大人)と外にデートしようとここで待ち合わせにして

先の彼女さんに見つかった。


そこで、彼氏さんは恐怖のあまり

甲高い悲鳴を上げたのだろう。

今のは見なかったことにしよう。


わたしは、前に座った位置に

真奈も同じく。スマホを震える手で確認すると・・・・・既読なし。


「お兄ちゃん既読がない」


「・・・もしかして、お兄さん

倒れているの」


「っ――――!?」


色々と考えてきた。この心配も

していたけど、若いとか健康だからと、避けていたけど・・・理由としてはそれしかない。


「で、でも・・・・・違うはずだよ」


「じゃあ、返事がないのは!

お兄さんは、今は一人で助けがないまま倒れているって考えて。

ワタシ不安で」


「真奈・・・」


わたしは、無我夢中でメッセージを送った。どんな言葉をするか

考えずにただ迸る感情に従い、

動いていた。


「真奈、実はわたしも不安だけど。泣くほど、悲しくある。

だけど、倒れるなんてないよ。

健康で運動もして

それに・・・あんなに元気だったから」


涙を流していた真奈に気丈に振る舞おうと決めたけど、そろそろ

わたしも感情という堤防が決壊しそうになる。けど、堪えないと。


わたしが、最悪の想像を否定しないといけない。


「そうだよね。お兄さんがそんな

・・・こと。ワタシ送ってみるよ!」


メッセージを送り返ってこないか待ち続けてしばらくして送る。

わたし達の会話も自然と途切れ

既読か返事が気になって仕方なかった。


(もしかして・・・お兄ちゃん

本当に倒れているのかもしれないだとしたら、わたしが救急車を

連絡しないとダメかもしれないよね。でも違ったら迷惑で――)


わたしの手は119番を通報しようと動く。迷うなんて、わたしらしくない。お兄ちゃんに迷惑だろうと嫌われようが、危険な状態なら

助けないと。


(もしわたしの杞憂きゆうで助けれる人を遅れたら)


「お、お兄さんが既読になっている!?」


「え?」


「あのお兄さん・・・冬雅を心配させて、ほら!みて見てよ」


真奈がスマホの画面をわたしに見せようとするけど、距離が近くってつい苦笑してしまう。


それよりも既読と表示されていて

お兄ちゃんは元気なんだと、胸をなでおろす。もし真奈が言わなかったらお兄ちゃんの弟さんに相談しようと思案していた。


「うん。お兄ちゃん本当に心配させるんだから、恐かったよ」


「冬雅・・・」


安心したら次はわたしが泣く番だった。留めることなく涙は溢れてくる。わたしは自分のスマホを握りどう送ろうか考えていると通知音が鳴り画面には――


ごめん。本当に!


「・・・本当だよ。お兄ちゃん」


何はともあれでお兄ちゃんが

ラインメッセージをしてくれたことは望外の極みです。


「全くお兄さんは・・・今日は特に許せないなんだから」


真奈の三人のグループ用には

以下の事が書かれている。


東洋お兄さんのバカ!略してトオバ。とにかく超絶トオバ!


本当に申し訳ない。

小説に熱中していて、チェックしていなかったよ。

真奈には嫌ってほどデュエルに

付き合うから


言質を取りましたから。

忘れないでくださいね!💢


「ふふ」


うわぁー、お兄ちゃんには分からないだろうけど、真奈はすごく嬉しそうに笑みをしている。そして内容のほうは真逆の冷たい態度、

まるで対照的。


「お兄ちゃんと二人で遊べる約束できて、やったねぇ真奈」


「ふふ、そうなの。お兄さんには悪いんだけど、今度は遠慮なくワタシが満足するまで付き合ってもらうから・・・・・ち、ちがう。

カードの大会が近いからいい練習相手が出来たことで嬉しいだけなんだから」


そっぽを向いて真奈は、じょうぜつになっていく。頬には朱色に染まりいつものツンデレに、わたしは嬉しくなる。真奈は、元気だってことに。


「よし、わたしもお兄ちゃんにはデートの約束しないとねぇ!」


そうと決まれば、送ろう。

何を送るか・・・悩み末に選んだのは一緒に洋服選ぶだった。


お兄ちゃんはオシャレにすごく疎い。だからこそ、お兄ちゃんをわたしがカッコいい洋服で素敵にさせる。それに、わたしがかわいい格好で試着をしてドキドキさせる

という一石二鳥なのです。


お兄ちゃん次の日にわたしと

買い物しましょう


もちろん。構わないよ


ラインでのメッセージ交渉は終了した。冷静になれば、いつものことだった。逆にここのタイミングで頼む事の方が難しい。


「とひあえず、通話しよう!」


ラインに無料通話を押す。

迷いなく即断即決、そしてすぐに出てくれた。


「お、お兄ちゃん。

その、こんばんは・・・です」


『あ、ああ。こんばんは』


夜なのでこんばんはっと挨拶は普通ですけど、これは新しい刺激があるドキドキですねぇ。

なんだか恋の青春を感じます。


「ふ、冬雅もしかして、今って

お兄さんと話をしているの?」


「うん。そうだよ」


真奈の問いに頷きながら返事。


『もしかして、近くに真奈がいるのか冬雅?』


「は、はい。そうですよお兄ちゃん・・・・・えへへ、二人ともかわいいですねぇ」


「わたし、可愛くないから!」


『私は可愛くないよ冬雅』


お兄ちゃんも真奈、どうして自分を否定したか。悲しくもあって憤りもあります。こんなに素敵で優しい2人は、自分を軽んじる悪癖がある。


「そんなことないよ2人とも。

わたしが心から大好きなんだって叫べるぐらい素敵なんだよ」


沈黙。そう二人とも呆然としていました。お兄ちゃんは通話のみでなんとなくそう思ったのみ。


わたしと真奈は、お兄ちゃんにいっぱい話をして最後に、わたしは

告白をする。


「お兄ちゃん愛しています!」


わたしは、通話を切る。

愛の告白と通話の終了。

まだ、心には振られた傷が治らず、偽りの告白をした。


でも想いは、純粋な想いも少しだけ結晶の欠片かけらほど程度。後は、虚無の虚空。


だけど欠片ほどの想いは本物で

それにお兄ちゃんに伝えれたことに誇りを持ちましょう。


(いつか、前のように破片がない結晶の想いを込めた告白して

みせるよお兄ちゃん。

だから、今は欠片程度の告白を

続けていきます)


わたしは、スマホをポケットに入れて腰を上げる。そして、

視界の端に真奈がポカンと放心で見ていたことに気づきました。


愛しています!って聞かれたことに恥ずかしくって穴があったら隠れたいよ。


「冬雅、一ついいかな?

いつか、ワタシ達って争うことになるのかな」


「えっ、真奈。急にどうしたの?」


争う。親友どうしで?

・・・ううん、お兄ちゃんと恋のライバルとして指している。

前に解決したようでいたけど、わたし達はどこかで無理に納得しただけかもしれない。


「・・・そうだね。でも、わたしは真奈なら安心してお兄ちゃんに

任せられるよ。

きっと、嫉妬はいつかはする。

でも・・・大好きなお兄ちゃんの

幸せが、わたしの一番の幸せだから。そんなわけだから、気にしないで真奈もガンガン告白しようぜ!だよ」


終わりか来ても、わたし達は

幸せでいる。わたしも含めてお兄ちゃんも真奈も。


「・・・冬雅。ありがとう

って、別にお兄さんには告白はしないんだからねぇ!」


指をビシッ!鳴りそうに素早く指す。恋のライバルはやっぱり、

わたしの信頼できて大好きな親友で永遠にあり続けるだろうね。


二人で部屋に戻ると、早速わたしは羽柴さんに捕らえられ

今までの事を語らないといけなくなった。もちろん、お兄ちゃんと

妹として仲良くしたことと。


真奈は、両親と長話とかなり現実を捏造ねつぞうして。


「なるほどねぇ。真奈様とは

何もなかったと?」


「・・・・・はぁ、はぁ、はぁ。

そ、そうだよ。た、助けて真奈様!!」


すぐ玄人くすぐり極刑を受けてしまい散々でした。わたしの助けの言葉に真奈は前に出て

庇ってくれる。


「香音。スキンシップはそこまで!四人でトランプの大富豪でもしようよ」


わたしも含め快く返事。

そして、字面通りの大富豪となった真奈。ゲームの加護を持っているかもしれない。

なんども、死に戻りしてもわたしの負けが続いていく。

みんな、強い。


「もう寝よう!」


うぅん、大富豪は盛り上がっていいですよ。でもねぇ、連敗すれば、アイデンティティがクライシスしていく。そして、わたしの中にある大罪司教たいざいしきょう怠惰たいだ担当するペテルギウスが、

あなた怠惰ですね。

はい、怠惰ですけどなにか?


「ま、真奈様と同じ布団で

グッフフフ」


「香音さん、どぉどぉ」


羽柴さんと茜を見て、また嵐が起きそうだと、わたしは予感した。

個人的にこの感はハズレてほしいと強く願う。

結果は的中でした、わあぁーーーー!!?


「ぐはぁ、やーらーれーたー。

バタン」


そう言って倒れるのは羽柴さん。

体力のない真奈のまくらの投げ

倒れる演出。

四人で、まさか高校生でまくら投げをするとは。


「ふふ、香音。接待みたいなことをしなくてもワタシに遠慮なく

投げてもいいんだよ」


「い、いえ。真奈様には

接待なんて、微塵もありません。

私の欲望に従っているだけです」


羽柴さんの場合そうだよね。

全部、敬虔けいけんの真奈教徒だから。

当の真奈は、困惑しているけど。


「はっ!?」


邪気が来た。

わたしは、身体を反らして回避。

わたしの寸刻前にあった顔を

まくらが飛んでくる。


「あ、あれ?

まさか不意打ちを読まれるなんてスゴイよね冬雅さん」


大人しそうな茜だった。


「おそい!」


わたしは、素早く足元のまくらを拾って投げる。茜は避けようとするが回避コースを読みまくらは

そこにいく。


「あ、あれ?曲がっていない。

うぶっ!?」


茜の顔にまくらが命中する。

前持って言いますと加減はしている。続けて、わたしは攻撃されたまくらを拾い投げる。

茜の頭の上にポンと置かれる。


「えっ?私の頭にまくらが!?」


「えっ?あ、本当。

すごい。神業かみわざだね冬雅」


真奈が純粋な笑みで称賛してくれた。えへへ、普通に嬉しい。


「ありがとう。

もう遅しいから、そろそろ就寝しようよ」


羽柴さんも立ち上がり、そうですね淡々と言う。

真奈と茜は暖かく返事。

布団を敷いて、横になりわたしは

年季のある天井を見上げる。

先まで騒いでいたのに、もう静かで不思議に思う。


(いつかはお兄ちゃんとこうして

宿泊してまくら投げもして

一緒に寝てみたいなぁ)


少し危険な考えだなと、途中になり思った。・・・けど考えればお兄ちゃんとは純粋に楽しく話をして夢を語って笑えるような気がする。叶えれないと分かっていてもわたしは、その未来を夢想して。


そして、翌日。わたしは少し早めに起きる。お兄ちゃんをドキドキさせるために早く起きれるように

なったのだけど、ここがホテルだと気づく。


(そうだった。修学旅行だよ)


少し気持ちが重たくなる。


「冬雅、起きたの?」


「え?この声、真奈!?」


振り返り視線を上げると、真奈。

寝間着姿はかわいくって

好きというのを知らないお兄ちゃんでもドキッとさせる。


わたしが今になってそうなったか。窓から陽光が照らし、つややかな髪、綺麗な肌を一段と

美しくさせる。


「真奈その、儚くて穏やかな

姿ならお兄ちゃんもドキッとさせれるよ!」


つい、感動したわたしは、

眠気はどこかに消え、勢いよく

立ち上がりそうアドバイスした。


「どうして、そこでお兄さんが出るのよ!?それなら冬雅だって

天使のようで可愛いし、

お兄さんの心を揺らげれるんじゃない?」


「えへへ、そうでしたら

いいけど。効果が芳しくなくて」


「へぇー、冬雅でもそうなら

ワタシなんて、なおさらなおさらじゃないの」


「そんなことない!

きっと、かわいい言いますよ」


「わ、わかったから。

この話おしまい!」


顔を沸騰するのでは思うほど赤く染まっていた。

お兄ちゃんがいない修学旅行は少し寂しくあるけど

真奈と茜と羽柴さんなど盛り上がり初めて修学旅行が心の底から楽しいと強く思えて断言できる。

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