第96話ハロウィン・スクワッシュ
夜の
もやもやだった心が一段と強くなる。原因というか、もやもやの原因はいつもやってくる二人が
来ないことだ。
一応、ラインで遅れるとあるが
いくら何でも遅い。
冬雅と真奈の二人は、最も近い
(特に冬雅と真奈が3時頃に
準備があると言って冬雅の家に
行った。どうも引っ掛かる、
何か企んでいるかそれとも――)
強盗に遭遇して捕まっている。
バタッ。俺は、執筆していた手を
止め立ち上がり、家を飛び出す。
向かうは冬雅の家。
走って30秒も掛からず門扉に立ち
、どう行動するか思考を巡らす。
思考時間は刹那で行動も一瞬。
庭から、慎重に忍び足で移動。
立派な不法侵入だが冬雅達の
危険を天秤にかける余裕もなく
すぐに動いた。もし、不法侵入じゃない方が恐ろしい。
犯人に見つからいよう中を見ようと窓の右下からゆっくりと覗く。
(・・・あれ、これハロウィン?)
中はハロウィンの装飾された部屋だった。机にハロウィンカボチャ
ランタンが置かれていて、
天井に吊るされている百貨店で
買ったであろうミニカボチャの
飾り物。
「本格的だな・・・いや、
二人の安否がまだだ!」
オシャレなハロウィンパーティになった部屋に心を引きつかれたが
強盗の懸念は拭えていない。
ハロウィンカボチャランタンだけが灯しているたけだと余計に。
すると、電気がつく。
シーリングライトの明かりだ。
居間に入ったのは栗色の
サイドアップポニーテールの
雪を欺く美しい肌の真奈だった。
カジュアル私服そして
脱ぎ始める。
(ま、まずい・・・早々と
出ていかないと。うわぁ!?)
慌てて出ようとして、バランスを崩し転倒。縁側に上半身を
倒れてしまった。顔を上げると
・・・窓際にいる真奈と
目が合う。あっ、人生が詰んだ。
「ャッ――――――」
防音はよかった。甲高い叫びも
外からは小さな音として行く。
幸いと言っていいか、上を脱ごうとした真奈のへそ辺りしか
見えていない。それ以上は
まずいから。
そんなことよりもピンチだ!?
「お兄さんなにを考えているんですか!覗くような変態だった
んですか?最低、バカ!!」
「面目もございません」
俺は、庭で土下座する。
真奈の怒り言葉を誠実に謝罪
するしかない。
「まぁ、まぁお兄ちゃんも
悪気であって覗いたんじゃないと思うよ真奈」
真奈の叫び声に、居間に入ってきた冬雅は憤怒状態の真奈を
「うぅ〜、ワタシもそう思うけどお兄さんが覗いたことが
ショックで・・・って違う!
犯罪行為にあたるから怒って
いるの!」
ショックか、二人の身に危険だと
思って迷いもなく動いたのが
猛省しないと。俺の中では二人は
説明も感情では表せない適切な言葉がない存在になっている。
もちろん恋人とか意味ではなく。
「とりあえず、お兄ちゃんの
事情を聞いてから決めようよ」
「そうねぇ。お兄さん疑うわけ
じゃないけど・・・ううん
少しだけ心に蟠っている。
教えてよお兄さん」
顔を上げると真奈は複雑そうに
冬雅は、早く言った方がいいよと
笑みを浮かべる。
「そ、それは・・・」
強盗に入った憶測を説明する。
俺の思い違いに、二人は
軽く目を張る。
「ふ、ふーん?そう。
お兄さんワタシ達を心配して
スパイみたいな事を
していたと?」
「そ、そうなりますね」
最近ミステリー小説を読んで
影響でも受けたと思う。
スパイ映画は全く見ていないとは
言えず。
「ハァー、お兄さんらしいよ。
嘘をつけないと分かっている
から荒唐無稽な理由も不思議に
納得できるんだから」
「いえ、嘘を言いました。
スパイ映画を見たのって遥か前で海外のはヒーロー映画ばかり」
「そういうことじゃなくて!
小さな嘘をつけても大事なところはつかないことで!」
真奈の折檻が終わり二人は、
しばらく家で待つようにと入念に
言われ戻る。ハロウィンパーティーの準備だと知ってから、
気にせず執筆できる。
少しして、インターホンが鳴る。
玄関ドアを開けると
ハロウィン衣装を身を
包んでいた。
「トリック・オア・トリート
だよ。お兄ちゃん」
冬雅は、白と橙色の基調とした
魔女衣装であった。
本格的な雰囲気ではなく、
かわいい系の魔女衣装。
「ト、トリック・オア・
トリートォォ――――!!」
真奈は、ゆるふわオバケ衣装。
目には、☓となって、縫い目が
特徴。必ずいそうなキャラ。
「・・・・・・」
「お、お兄ちゃん?」
「あっ、ごめん。つい
見惚れてしまっ・・・可愛くってつい」
「えへへ、嬉しいです。
見惚れるほど、かわいいなんて
選んだ甲斐があったねぇ真奈」
「別に嬉しくないから!
かわいいなんて、聞き飽きているし・・・うぅー」
素直な冬雅は、ハロウィンランタンよりも明るく笑みを浮かび、
ツンデレ属性の真奈は
隠しきれず最後はうつむき唸る。
ここまで、ハロウィン衣装を
着こなす女の子は世界でも二人だけだろうと思える。
「そ、それよりもお兄さん!
ください・・・フッフフ」
悪い笑みを頑張って浮べようと
するが、うまく出来ず普通に
可愛い親しい人に向けるイタズラ
というべきか向けている。
「10月31日だからね。
市販の物だけど用意は
しているよ二人とも」
「それでは、いただきます!」
冬雅は、何故か敬礼をした。
「そうですか。出来たら
東洋お兄さんが作った
お菓子を食べたけど
あ、いえ別に・・・・・どっちでも
構わないけど」
真奈の本音が漏れるほどだと
期待していたのかもしれない。
少しスイーツを作れるようにレシピを見て来年は喜ばせよう。
「さあ、上がって」
二人は、僅かに迷い頷く。
連れて居間に入り、コーヒーと
お菓子を食べながら談笑する。
ホオリイ豆乳おから100%クッキーマンナン入り。ダイエット向きなお菓子だ。
「少し硬いですけど悪くない
味です。お兄ちゃんありがとう」
明るい笑みで言う。冬雅に毎日ずっとありがとうっとお礼しているのに嬉しくって少踊りしたく
なるほどに。
「ああ、これは
低カロリーだから少し硬いだろうけど気に入ってくれて
よかったよ」
「ふーん・・・えっ!?
お、お兄さんこれ少し
高かったじゃない」
真奈は、箱を見てスマホを弄っていた。まぁ、セリフからして
導かれる仮説は検索したの
だろう。
「ああ、まぁね。悪戯しにやって来ると
体重を気にすると思って」
当初は、コンビニに売っている
クッキーなどしようと思ったけど
さすがにどうかと思い
ネットで調べて、これじゃない!っと悩み低カロリーも考慮して
選んだ。
「お兄さん・・・次は、
ワタシが最高のおもてなし
します!」
感極まった真奈は、はしゃぐ
寸前な、嬉々としたような、
声で言う。
「あ、ありがとう ?」
楽しい会話は、終わり片付け
テーブルに戻ると二人は、
頷き同じタイミングで椅子から
立ち上がった。
トリック・オア・トリートの
要求は応えた。嫌な予感がする。
「トリック・オア・トリート!
お兄ちゃんお菓子は食べましたがイタズラはします」
「えっ、イタズラ?」
「はい。断ることはできないよ、
お兄ちゃん。なんだって
ハロウィンは魅了されるわけ」
すごい冬雅の理論に苦笑を
するしかない。前触れも一声もなく真奈は右手を握る。
「東洋お兄さんには、
サプライズしますので、目を瞑って歩いてください」
「えぇーと、よく分からないけど分かった」
矛盾な言葉で答え、ついていく。
しかしトラブルが起きった。
玄関で靴を履かないといけないのでこの時だけは目を開いてと
真奈に許可を得られ履く。
両手を引いて歩きドアを解錠する
音。冬雅の玄関前であろう。
少し歩き、冬雅が少し待って
くださいと言ってから少し。
「開けてもいいですよ
お兄ちゃん」
閉じた目を開く・・・ハロウィン
に飾られた玄関。玄関マットに
二人が歓迎するように手を
広げる。
「ようこそお兄ちゃん。
今宵は、わたしと真奈で
ハロウィン式でのおもてなし
だよ!」
冬雅は、太陽よりも眩しく・・・
もちろん比喩的な意味で、
明るい表情と声で言う。
「お兄さんを満足感でいっぱい
にさせます。だから、楽しんで
ください」
淀みもなく真奈は、完璧で欠点のないセリフをする。
途中から、オーナー目線で
接客できるか判断みたいなこと
心の中でした。そんなことより
ハロウィンパーティーを
美少女二人に歓迎されることに
夢ではないか思ってしまう。
リアルで一度もないから
実感するまで無限に掛かりそう。
そんなバカなこと考えず
いつもどおりに。
「か、可愛よ二人とも・・・」
あれー?おかしいなぁ、直視できずに逸らして称賛したぞ。
眩しいのは、笑顔かハロウィン
コスプレか?
「えへへ、照れられるとわたし
達も照れてしまうねぇ真奈」
「うん、そうねぇ・・・・・って、ちがうわよ!ワタシは
お兄さんが見られて恥ずかしいわけで、あぁー!?ちがう!!」
真奈は、混乱して本音は出ては
一人で否定する。まるでノリツッコミだ。冬雅は、ずっと
俺に照れ笑いを向けている。
俺・・・大人のだから10歳も
離れている女子高校生の言動に
ドキッとするなぁ!と意識すればするほど意識してしまう。
靴を脱ぎ中に入るまで数分も
要することになった。
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