第88話すっかり暑さよりも寒さを感じる季節ですね

「おはようございます・・・

お兄ちゃん!!」


目覚めると目の前に冬雅ふゆかの顔が、

あった。一瞬、夢かなと思う。

目の前の美少女は、目を見開き

刹那的な速度で腰を上げ

頭を45度を下げ挨拶するは冬雅。


いつもよりも力み掛かった挨拶で

お隣さんの妹(実の義理でもない

勝手に呼ぶ)は、頬が赤い。


「冬雅もしかしなくても私の顔を

・・・寝顔を見ていたよね」


「ぎくっ!?き、記憶にございませんよ。うん、お兄ちゃんの気のせい」


「・・・冬雅には色々と面倒を掛けてしまったね。熱で浮かされいないか

じっくり見てもらって」


「そ、それもあるのだけど・・・

途中から、子供みたいでかわいい

なぁなんて癒やされたのです!」


両拳を胸の前で、グッとして

嬉しそうに笑って言う。

語るに落ちるにもほどがある

でしょう・・・・・それが、

冬雅だから今更であるけど。


『お兄ちゃん朝だよ――』


少し恥ずかしくなる冬雅との歓談に

アラーム設定した二次元美少女の

ボイスが鳴る・・・いや、言う。


「残念でしたお兄ちゃんの妹さん。

わたしが、先にお兄ちゃんを挨拶してドキッとさせたんですよ!」


「いや、ライバル視みたなセリフを

言わなくても」


頭を抑えツッコム。んっ、頭痛がない。昨日は熱に浮かされていたが

すっかり治ったようだ。


「今更ですけど、お兄ちゃん

昨日は熱にうなされて

いたけど、平気ですか?

現在は元気で嬉しいですけど」


「ああ、平気だよ。冬雅と真奈の

二人のおかげだよ。本当に感謝

しているよ」


こういう時のラブコメの主人公って

頭を撫でるものだけど、

恋人でもなく十歳の下の子に撫でるのは、なんだか抵抗もあって

撫でれない。


っと言うよりも俺が撫でていいのか

セクハラになるから撫でないだけど。


「えへへ、お兄ちゃんに感謝

されると照れますね」


「それで、真奈は?」


「真奈は、一階で勉強中だよ。

いつから起きたの訊いたら、

4時と答えて流石と思いました!」


4時か。それは、スゴイなぁ・・・

俺が同い年だと、登校ギリギリまで

睡眠を取っていたし、もしかしたら

最近の学生って勤勉な人が多いかも

しれないなぁ。冬雅も、こうして

看病もしてくれたわけだし。

大人としてしっかりしないとなぁ。


「よし!元気になったから

いつものように朝食を作るよ」


「いえ、わたしと真奈で作りますのでお兄ちゃんは、小説かテレビでも

見てください」


「・・・・・」


今日も頑張るぞい!と一気乾坤と気合を入れたが、冬雅に優しい笑顔で

やんわりと言われて、はいと返事。


それは、慈愛に満ちた女神に微笑まれたように、とても反論なんて

言えなかった。逆に優しすぎると

言いにくいこともあるのだなぁ。

冬雅の後について歩き居間に入る。


「朗報ですよ真奈。お兄ちゃんが

元気になりました。たぶん熱は、

ないと思われます」


「・・・えっ、たぶん。

曖昧なのは、気になるけどお兄さん

本当に平気ですか?」


ソファーに座り、ローテーブルに

ノートや参考書など広げて勉強していた真奈は視線をノートから俺と冬雅に

移る。まるで、有名画家による

名作画のように彷彿して

錯覚させられる。


見慣れた家具や窓から照らすリビングなのに、真奈が浮世離れすぎている美貌がそう錯覚させているのだろう。

まるで、別の部屋にいるようだ。


「・・・お兄さんワタシの話を

聞いていた?意識がぼんやりしているなら部屋に連れていくけど?」


「ああ、ごめん。真奈があまりにも

美しかったから」


「「・・・・・・」」


突然に訪れる静謐なる空気。

そして、かわいいなど容姿など褒め使い続けた結果に思ったことは称賛の言葉をすぐに口として出る。

やってしまった!と後悔する。


「お兄ちゃんから、真奈を

告白するなんて・・・悲しいけど

おめでとう真奈」


「ちょっ、冬雅!?お兄さんの

告白ちがうよ・・・

お兄さんも普通にナチュラルに

しないでよ!!うぅっーーー」


冬雅は、拍手してどう聞き間違えれば告白と結論になるのか。

真奈は、恨めしそうに恐くない

紙さえも貫けないだろう眼差しで

睨まれる。普通に可愛いだけなのだけど。さて、この状況どう収集つかない

ようだし詰んでいる。


「熱は治ったよ真奈。だから、

心配は無用で杞憂。

冬雅、告白は普通に時と場所を

選ぶものなんだ俺は少し麻痺しているけど・・・そんなわけで、とりあえず俺は料理を・・・作る!!」


とりあえず、誤解を軌道修正と料理を

作ると一方的に口早に言い

台所へ足を行き進んでいく。


「お、お兄ちゃん!!せめて

わたしも手伝いますよ」


「あぁー、無茶しないで。

ワタシがやりますから」


そのあと二人が朝食と二人分の

お弁当を作ることになった。


冬雅に人参を輪切りがする速度が

上達して、真奈に関しては

お粥を溶き卵と混ぜると美味しくなると自分なりにアレンジもしていた。

二人JKが調理の上達前にして

なんだか目頭が熱くなる。

なんだろう知らずに見る見ると

成長に無量に感動するのは―――


「どうですかお兄ちゃん。

わたし女子力が高いでしょ」


「ワタシは、寸暇の時にレシピ本を

軽く見た程度ですけど、いつかは

お兄さんに作れるように知識を蓄えているんですよ」


「冬雅・・・真奈・・・だけど、

まだまだ俺に隣に立つには速いよ!」


つい二人の女子高校生に刺激を受け熱くなる27歳の姿があった。

それは、俺だ!ちょっとした料理の

包丁の使い方や隠し味の勝負を繰り広げていたが完成する。

食卓にやや豪華になった朝食。


ハワイの料理ロコモコ。

チーズベーコンエッグトースト。

卵焼き、味噌汁。


「いやいや、ワタシ達どれぐらい

作ったのよ。女の子お弁当に

そこまで無いのに残り物とパンが

多すぎない!?」


真奈のツッコミも理解できる。

激しく同意できる。


「人は争えば、いつも後から

後悔するものだ」


「おぉー!お兄ちゃんが

カッコイイ名言を言いました!!」


「・・・ただの後悔だと思うけど」


俺、冬雅、真奈の三人は並べた料理の数々にげんなりとなる。

半分ぐらいで二人は満腹になり

俺は8割で限界になる。

よし、残り物は夕食でまた食べると

しよう。テレビを見るとニュース。

建国70年の軍事パレード、今どき

この時代で世界が見ても軍事パレードなんて滅多にない。

そんなことより、時刻が二人の

登校時間そろそろだ。


「お兄ちゃんそれじゃあ、そろそろ

学校に行きますねぇ」


「ワタシ達がいないからって

急に倒れたら助けられないんだから

身体には気をつけてよね」


二人は、やおらに立ち上がり

玄関に向かう。俺もその後について

行き、なんだか夫婦みたいだなと

何故だがそう考えた。


「こう見送られると、夫婦みたい」


冬雅が、ローファー履きながら

そう言ったが、俺はそうだねと答え

真奈は、スルー。

履き終えると、冬雅が早く振り返る。


「お兄ちゃん昨日は告白しなかった

分は今日は2倍で告白しますね。

ずっと、わたしの愛は変わらないよ

お兄ちゃん大好き、大好き、大好き、大好き、大好き!!」


「あ、ありがとう」


大好きと告白最大級のセリフを

連呼されると心に響くものがある。

い、いやロリコンじゃないんだ。


「お、お兄さんその・・・ワタシの

手を握ってくれませんか?」


真奈は、白い頬を赤く染まり

右手を俺に向ける。主語を省いている

ような気がするけど意図は

理解している。


「ああ、もちろん」


俺は真奈の右手を左手で、優しく

ギューと握る。改めて握ると華奢きゃしやな手。あまりにも

柔らかく壊れるじゃないか感じ

苦痛じゃないか顔を見ようとすると

目が合い逸らす・・・真奈も同じく

逸しているだろうなぁと考えると、

二重で恥ずかしくなっていく。


「・・・ありがとう。

昨日、握れなかったから。

お兄さんまた来ますね」


「ああ、夜には真奈が満足するまで

いつでも握るといいよ」


「うぅっ、夜って使う必要性ありましたか!恥ずかしいです!!」


真奈は、すぐにドアノブを掴み

開く。冬雅は手を振る。


「それじゃあ、行ってきますね

お兄ちゃん!」


「ああ、気をつけて行くんだよ

冬雅と真奈」


「・・・行ってきますお兄さん」


満面な笑みの冬雅と恥ずかしそうに

する真奈の対極的な反応を示す

二人は外に出ていく。

夕方から大変そうだと予感し

その間に執筆しなくてはと急いで

リビングに戻る。

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