第82話薄明を迎える
二人のデートをようやく開放され
文化祭を十二分と冬雅達も楽しんだ
はずと勝手ながら判断し
ラインで伝えてから外に出る。
外は、薄暗い黄昏の空を
一人で歩き本屋に寄って新刊を買って
真奈の家に近い場所へ見送り通る道である駅前のベンチに座る。
また、夜になれば真奈を送りに
ここに訪れるだろうなぁと考え
PCを立ち上げる。膝の上を長時間と
使用を続けると膝の火傷の恐れが
あるのでカバーをつけている。
やることは、執筆。
すぐに冬雅と真奈と三好さんの3人が待ち合わせの駅前に来た。
「お待たせしましたお兄ちゃん!」
「いや、私も先に来たばかりだよ」
冬雅のあらゆるものを照らす笑顔に
通行人さん達は立ち止まり見惚れる
人が少なくない。
「東洋お兄さんに直視できない
先に帰ってもらおうかなって散々に
悩んでいたのに本人に
前すると明るのだから、スゴイねぇ」
「むぅ、そう言うならお兄さん。
真奈はねぇ、お兄さんには
ロマンチックなデートを
出来なかったって後悔していたよ」
「わぁ!わぁーー!!
デートなんて言っていないけど!?」
気丈に振る舞おうとする真奈でしたが
視線は、止まるところ知らずと
頬は赤く染めて白い肌だと特に現れるのだなと思った。
「冬雅のお兄さん。こんばんは」
「はい、こんばんは」
短い髪を揃えた整って静かさを印象を
与える三好さんは、頬を赤くなりがらも挨拶をする。
三好さんが赤いのは人見知りで
特に大人が苦手意識が強い。
「え、えーと冬雅のお兄さん急な
質問をしますけど・・・
真奈さんとは、文化祭デートどう
でしたか?」
「文化祭デートか・・・」
正直、よく分からないのが本音だ。
付き合っているわけではなく、友達でもないので関係を説明するには
どれも不適当に思えるし。
それに、恋人いない歴が年齢であるため文化祭デートなんて知らない。
「ちょっ、ちょっと待ったぁぁ!!
次は、
お願いだからデートとかそんな
簡単に口にするのは・・・・・・」
「お、落ち着こう真奈さん。
二人で文化祭で回ってたでしょう?」
真奈は、肩をビクッと震えた。
「そ、そうだけど・・・・・・」
「なら、二人の思い出を
聞きたいなぁ」
文化祭で、回ったところを思い出と
メルヘンな言葉なのが
三好さんらしい。
「う、うん。まずはねぇ―――」
「あっ、それでしたらお兄ちゃん。
そろそろ行きましょうよ。
ほら、立って、立って!」
話を遮る形になった冬雅は、
袖をいつもよりも軽く引くのは、
PCが落ちないよう斟酌して。
「分かった」
PCを鞄に直してから、立ち上がる。
冬雅が、真奈の言葉を遮ったのは
話が長くなると感知して、そう
言ったのだろう。
天然だけど気配りができる。
現実では、相対的な矛盾も現実では
多々ある。人柄というのは、評価や
称賛などでは表れない。
立ち上がるとすぐ隣に来るは真奈。
左手をギューと握る。
当たり前だけど、恋人繋ぎではない。
「茜どうかな、今の真奈は?」
「そ、そうですね・・・小動物
みたいと言うのか。
でも、初めての恋人に手を繋げて
どうすればいいか分からなく
なっていると言いましょうか?」
「お二人とも、それぐらいに
勘弁してくれ。真奈そろそろ
限界だから」
俯いて沸騰が起きるのではと懸念しそうになるほど。
冬雅は、失敗したぁーと夕日を仰ぎ見て呟いた??
「お兄ちゃん。せめて、恋人繋ぎを
してください」
「「はい!?」」
同じタイミングで声を発する俺と
真奈。横見にすると真奈はハモったことに俺を見つめて視線が合うとサッと
避けた。
「ほら、だってですよ!わたしと
お兄ちゃんは楽しんだけど
真奈はデートを満足していません
でしたし、せめて家に着くまでは
恋人繋ぎをするべきですよ」
冬雅なんども思うのだが、恋い焦がれる想い人に親友に恋人繋ぎを
お願いするのは、良くないのでは。
「お兄ちゃん・・・」
冬雅の表情は、自分のことでは
ゆるふわなのに親友になると
人が変わるみたいに強い眼差しに
なる・・・俺には理解できない
二人の中に何があるのだろう。
「確認だけど、いいかい真奈」
「・・・・・・い、いえ。その」
深く顔を俯いてしまい、声には
戸惑いと期待が・・・込められている
ように思える。歯切れの悪いのも
納得できる材料でもあった。
最後の確認として冬雅を見る。
「冬雅も繋ぐかい?」
「ふぇ!?あ、あの・・・別の日で
お願いします・・・・・」
人差し指をツンツンとして視線を
泳がせる典型的で可憐なもじもじを
する冬雅。その、別の日は明日かも
しれないなぁと予期する。
家に着き、夕食を少し豪華にして
立食パーティー風にした。
文化祭を俺なりの祝いに3人は
嬉しそうに笑ってくれた。
温かいぬくもりって、こんな感じなのだろうかと俺はそう感じた。
「・・・よし、執筆だ」
三人を送ってから家に戻った俺は
自室に入り新作の小説を取り掛かる。
またもメインヒロインは、妹もの。
(どうしてか、冬雅と真奈の二人が
浮かび上がる・・・もしかすると
俺の中では理想像としてなっているのか?だとしても、できない)
新作のプロット段階で詰み、
浮かび上がらないのも事実だ。
俺は仕方なく二人の事を考える。
「もし・・・俺が高校生で
同い年だとして。
年の差である壁など悩みなく
付き合えたら・・・・・」
俺は、自然と手が動き始めた。
プロットも無いもせず、想像して
5万文字以上の小説を無我夢中で
書いて手を止めたのは、
眩い陽が照らし朝方へと移ろうとする時間帯であった。
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