第37話そろそろ恋を冴めす方法を

日が変わる時間帯、つまり零時に回りリビング内でソファーの上を寝転がりながら俺はラインでトークを

していた。

相手は仕事を終えビジネスホテルにいる弟にだ。


『兄者それ、本気か?』


前の対しての文章に訝しんでいるのが短い内容で現れている。

―ああ、本気。と送信する…ちなみに俺は、顔文字やスタンプは使わないのは語彙力ごいりょくを日常から鍛えるためにと理由だ。

弟の方は使うが、それでも好んで使うタイプではなく滅多に使わない。


『こんな事を言うのも

ヤバイんだけど、どこの世界で

絶世の美少女に好意を冷めすなんて

言う悩みあるんだよ。

贅沢すぎだろそれ!』


そうだけど、淫行条例に触れるとか

そんな悩みよりも冬雅の人生に

色褪せるようなことしたくないんだ。

と送信。


『…はは、数多の成功者からの

哲学を聞いてきたが兄者らしいよ。

基本的な根本を大事にできる、

悩めて、その真っ直ぐな考え…

思い出すよ』


……手が止まり、俺は弟の

現状にいささか不安を覚える。

弱音にも受け取れる画面の文字。

焦燥しょうそうに駆られない

よう気を付けて応える。

―疲れたら、いつでもラインとか家。

愚痴とか聞くから。と送信。


『そうだな困ったら頼らせてもらうぜ。そんなことよりもあの子を

冷めすんだよな。いくらでも知って

いるぜ。

周りのバカな会話だけど…』


俺は、頷きながら耳を傾くのだった。その方式メソッドを。

いくらか、参考になる情報を知って

就寝。早朝になりベッドから出て立つと隣のベランダから冬雅の2倍ほど明るさの声が耳に入る。


「お兄ちゃんおはよう!」


「……うん。おはよう」


「お、お兄ちゃん?」


顔を向けず淡々と挨拶で返す。

昨夜のアドバイスを実践じっせんするが、

罪悪感が湧く行いで失礼な行為だ。

冬雅も俺の返事に

戸惑っているのが、なんとなく解る。

ごめん冬雅…心の中で謝罪して

部屋を出る。

揺れる心も洗えないかと願いながら軽く洗顔をし、次に料理の

朝食の味噌汁を作る。

火を止め味噌を入れたら、

おたま(略せずにお玉杓子たまじゃくし)で混ぜながら考察する。


(冬雅の行動力が上がっていて、

真奈は、いつの間にか俺に好意を

抱いている、推測だけど。

二人の貴重な時間を俺に使うは

…あの、笑顔が偽りとは

思えない。

けど、せめて友達とか親切な人に

格下げしないといけないだろう!)


他のアドバイスにはセクハラ発言やイヤらしい視線などもあったが

すぐ却下。

大人の俺が女子高生にそれをやれば

恐怖を抱かせ最悪、二度と忘れないトラウマを与えてしまう。

爾来じらい(それから)、冬雅が

やって来て、明るい言葉と告白をした…少し前にした発言には申し訳ない。

いつも通り俺も明るく返事する。

しばらくして、真奈が来た。


「東洋お兄さん、冬雅おはよう」


「うん。おはよう真奈」


「おはようございます。中にどうぞ」


真奈に業務的な挨拶をして

中に入るよう勧める。


「お、お兄さん…」


「…ごめん」


いつもと違う態度に真奈は呆然と俺を見る。…一言だけ「…ごめん」謝ってからリビングに戻り案内する。

駄目だ!冬雅の件でマイルドにしたが

真奈は、機敏で強そうでも、精神は

そうでもないと考えている。

真奈は…悲しそうにしていた。

二人は遅れて入って来た。

なにか話でもしていたのだろう。

朝食を済ませてから

3人でアニメ鑑賞する。

ソファーの真ん中に俺。

右は冬雅が、左に座るは真奈という

挟む形になる。

これは、コンプライアンス的に

まずいと思い反論したが

二人が強く反論され呆気なく終わる。


「お兄ちゃん素敵な話ですね。

仲間が亡くなっても前へ進む

皆さんが」


機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ

で2クールで仲間が道半ばで倒れる

シーン。確かに類線が決壊して

ハンカチ用意すればよかったと

少し後悔する。

右を向けば冬雅も感動して涙を

流れていた。


「ぐすっ、ほら二人ともハンカチよ」


真奈が、スカートからハンカチを

取り出し冬雅、俺の順で渡す。


「あ、ありがとうねぇ真奈。助かった」


「ありがとう真奈、準備が良くて

立派だよ」


「フ、フン!そんなことでワタシは

喜ばないからねぇ」


「ふふ、お兄ちゃんに褒められて

照れているねぇ、お兄ちゃん」


「はっはは、そうだね」


「だ、誰が照れてるよ!

東洋お兄さんのバカ、バカ、バカ!」


頬を赤く染めながら指を激しく

振るい抗議を示す真奈を見て

なんだか微笑ましくなる。

さて次こそマイナスポイントと

なる行動に移ろうと気持ちを変える。

時間は過ぎて昼食を一緒に食べるとき 俺はなんの前触れもなく変顔した。

突拍子のないことすれば冷めると

聞いて実行したがキモかったかな?と

実行してから後悔と不安になる。


「あはは、お兄ちゃんのレアな顔。

これ、ギャップ萌えだよね。

えへへ、ご眼福です!」


「東洋お兄さんそれ、どうなの?」


冬雅は、満面な笑みを浮かべ

真奈は、引いていた…ですよね。

効果は真奈しかなかった。

これがダメなら。

冬雅が、食べ終えるのを見て

頃合いと見計らい俺は嫌悪感を抱く

ような偉そうにする。


「そうだった、私は疲れたから

冬雅…最後に食べたんだから

食器洗いをしてくれ」


冷淡な声で傲岸不遜に押し付けることで、好感度を下げようと次に出る。


「おぉー、了解です!お兄ちゃん。

わたしを頼ってくれたお兄ちゃんの

ために粉骨砕身がんばりますよ!」


あれ?俄然がぜんやる気に。


「ふ、冬雅…イヤだったら

別に断っても」


「いえ、東洋お兄さん。

たかだか食器洗いなんだから大袈裟おおげさだから」


結局、罪悪感に募りにつのった結果は冬雅と手伝うことになった。

洗い終え、ソファーに戻ると真奈は

「ゆ、夕食は、ワタシが手伝うから

感謝しなさいよ!」と要求?され、

その勢いに反射的に感謝した。

…嫌われようとしたのに大いに失敗。

もはや、真奈が夜に帰路に就こうと

する時間は俺と冬雅の送ることが

常習化となった。


「うぅ〜、いいなぁ。真奈は…

お兄ちゃんに手を繋げて」


「ち、ちが…東洋お兄さんが

寂しそうだから手を繋いでいるだけであって!そ、そんなこと言っても

冬雅どうせ戻るとき手を繋いでいる

でしょう」


「ど、どうしてそれを!?」


「冬雅の行動なんて手に取るように

分かるわよ。東洋お兄さんに

手を繋ぐなんてすきがあれば積極的にアタックするのはねぇ」


自信満々に言っているけど側で聞いている俺は凄く恥ずかしいのである…穴の中にあったら飛び込みたい。


「でも、簡単じゃないんだよ。

雰囲気ふんいきとか甘えやすい空気じゃないと言葉にするのが難しいんだよ」


後ろに歩く冬雅と右手を繋ぐ真奈が

口論のような強さでありながらも楽しそうに話を咲かす。


「二人とも大変に言いにくいのですが私がいないときに、その話を

してほしいかな?」


「「……」」


しまった!と判断ミスを気づく。

ヒートアップしていく二人は

スゴイ発言へとなって

俺は怖くなり阻止したのは成功したかも

しれないが、二人は羞恥で

俯いておとなしくなっている。しばらく静寂が支配する。


「…ねぇ、東洋お兄さんって

少しおかしな行動があったけど、

あれはなに?」


夜の住宅地となれば、車や自転車がほとんど音がない。

足音しか、聞こえなくなった静寂を

破るのは真奈。

尋ねるのは、冷めさせようとした

行動したことだ。


「え、えーと、そ、そうだ!

小説の面白いシーンを書こうとして

奇行に走った」


「えへへ、そうなんですか

お兄ちゃん?でも隠せていないよ」


「東洋お兄さんそれこそ奇行ですよ」


冬雅は、楽しげに答える。

真奈は、嘆息しながらも微笑。


「で、本当は?」


真奈の催促に正直に答える。

弟に相談して女性がよく彼氏に

冷める言動やそれを実行したことに。


「途中から効かないって諦めたけど、

二人に不安させてごめん!」


足を止めて事情をすべて説明した俺は

真奈、冬雅と順に頭を下げ謝罪する。


「い、いいですよお兄ちゃん。

わたし的には冷たいお兄ちゃんも

少し良かったなぁ、なんて思って。

えへへへ」


「冬雅それはどうだろう?」


俺は人道的に良くないと思いツッコミをする。


「冬雅それ、なんだかヤバイから」


俺が、オブラートに真奈は引きながらも注意する。冬雅がドSに覚醒を

阻止しないとなぁ。


「フフ、二人とも冗談だよ…

少しは。本当に恋をしている

わたしに、ありふれた恋とか

違うんですよお兄ちゃん。

わたしは、お兄ちゃんしか愛せないって自信を持って言いますよ。

それでは、最後の追加課題を果たそう、大好きだよお兄ちゃん!」


「東洋お兄さんスゴイ

愛されていますね」


「…そうだね」


過剰的なほどの告白を告げた冬雅は

後から羞恥を襲われたようで

俯き始めた。俺と真奈は顔を合わせ

自然に笑みをこぼす。

止めた足を進めて駅が見えると

隣に手を握る真奈の視線を感じ

視線を向けると、うわあ!と言わんばかりに驚き俯かせてしまった。

真奈も俺に好意を抱いている。

薄々そうかなと感じた。

それでも、盛大に勘違いしていると

思ってしまう。やはりそう確信的になれないのは

真奈がかなりの美少女だからだろう。


「東洋お兄さんが、冷めようと

しても…たぶん本物の恋慕を

変えるなんて無理だと思いますよ」


真奈の呟くほどの音量。

しかし、隣だったので聞き取れた。


「…その用だね」


「その、責任を取ってくれる?」


「せ、責任?」


「えっ!……真奈?」


背後からも冬雅が聞き取れたようで、

驚愕する俺と冬雅。

しばらく歩き進むだけで、会話は

途切れる。改札を通り階段を登る

前で真奈は足を止める。

手を繋いでいる俺も釣られる形で

止まる。


「…その、責任は迷惑を掛けた

責任です。

明日は、ワタシを逆に好感度を

上げるような事をしてください!」


そんな無茶な要求に俺は困惑という感謝に翻弄されるのだった。

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