第25話ワタシが好きになった人は、年が離れている

夏休みも2週間に一回ほど行かないといけない。

ワタシは既に知っている内容を煩わしく思いながらも教諭は、既知の授業。


夏休みは図書館や塾に勉強時間を大幅に手に入れた思ったのに。

ワタシの学校は、進学校なのだが

最高峰レベルの大学を目指す生徒

からすれば、今のカリキュラムは

やや古く、面白くない。


他の有名校を調べれば斬新で

勉強をするのではなく、実践的に

行うようなカリキュラムある。


正直、うらやましいと思う。

有名大学という狭き門を合格するため切磋琢磨せっさたくましないといけない。

一年とはいえ、悠長に出来ないし僅かな油断が大きな差をつける。勉学に励まないといけないのにワタシは・・・・・


(気づけば、足繁あししげくお兄さんの

家に向かっているし・・・。

バカじゃないのワタシは!?)


電車に乗り揺れながらワタシは暗記カードに集中して脳内でイメージで書いて字を浮かぶ想像してイマジナリ暗記を横から急にそんなことをよぎり考える。


(お、落ち着くのよ。

あくまで冬雅ふゆかが好きに

なった人のお兄さんが

危ないことしないか目を光らせて

いるんだから、

他意はない。話とか食事に釣られて

とか楽しいとか会いたいなんて

そんな浅はかな理由じゃ・・・・・)


うん、これ以上を考えるのは

やめよう。

ヤバい感情に呑まれそうになる。


ワタシの好みは爽やかなイケメンで

ワタシのわがままを嫌悪感を抱かず真剣な顔で優しい言葉を使う人ではないのだ!

目的地に降りるまで、

暗記カードを視界に映るが頭は

勝手な妄想を否定をする事に

強いられることになった。


外に出ると身が焼かれるような猛暑に肌は痛い上に汗が気持ち悪い。

ワタシは、顔をしかめる。


「暑い・・・」


早くお兄さんの家に入って

快適な空間でゆっくりしたい。

暑くって、死にそうだ。


わざわざ距離が近くとも遠いとも

いえないとはいえ、ここまで労力を

使うようなことだろうか?

自分でも理解できない原動力を

探り引き起こすのは、どんな感情で発端かを考えていたが、

家の前に着いたようだ。


「・・・考えながら歩いたら、

もうこんな所に」


最近は、思考と身体が乖離かいりしていて別々で動いているようで疑いたくなる。

もしそうだとすれば本当にそうなのかも・・・はっ!これは――

解離性同一性障害かいりせいどういつせいしょうがい(二重人格)だとすれば全ての辻褄が合う!


(・・・はは、我ながら現実逃避だ。

意識がなかったわけじゃないのに)


そんな人格を交代など体験したことも一度も無く違和感を無いのに。

一度、深呼吸してからインターホンを押そう。


ドアを開けたのは同級生の友人である峰島冬雅みねしめふゆか。カルミアの花言葉のさわなかな笑顔で歓迎してくれた。

次にお兄さんも慣れていない笑みで練習をしたのだろう笑顔で挨拶。


つい、甘えそうになるが堪える。

リビングに案内され、ゲーム等で遊んで昼食を一緒に

団欒だんらんと楽しんだ。

そして、今は参考書とノートで

勉強タイム。


「・・・・・」


あれだけ騒いでいた空間は 信じられないぐらいに静寂へと変わった。


勉強になれば、冬雅が決めている

告白の言葉や好きだと隠そうとも

しないで表情と延々えんえん

続ける会話を現状は

鳴りを潜めている。


一応は文武両道で真面目な性格。

校内では月のように物静かで美貌とか

謳われているわけなのだが

お兄さんの前ではその賛美も

逆へとなる。


笑顔を絶えず以外は

羞恥で物静かさは消失して

太陽のような人柄へと変貌する。


(ワタシもここまで、好きな人が

できればそうなるのかな?)


「えーと・・・まじまじと見られると

落ち着かないけど。どうしたの?」


「ううん、別に何も。

冬雅って勉強のときは真剣だなと

思って」


半分は思っていたけど、

もう半分は別。


「うん。お兄ちゃんに甘えてばかり

だと執筆の妨げになるだろうし、

勉強も大事だからねぇ」


微笑ましそうに見守る冬雅。


「あー、冬雅らしいよね。それって」


ちょっと抽象的な言葉に

なんとなく分かった。勉強しないと

お兄さんに気を使われるのが嫌なの

だろう。わたしの場合は少し違うが。


「えへへ、今の言葉って

お嫁さんみたいだよねぇ」


「飛躍しすぎ。ほら、勉強しないと、でしょう?」


「そ、そうだね。結婚すれば

わたしが働いてお兄ちゃんが家事を

する未来のためにも!

・・・・・うぅ〜」


近くにお兄さんがいるので

聞こえるように宣言するように声を高く言った。

しかし、冬雅の向かいにいるとはいえ集中していて、全くお兄さんは聞こえていない様子。


「ほら、恥ずかしがらないで!

無理して、ヤバいセリフを

言うんだから」


「・・・うん」


撃沈した冬雅は、視線を下へ向けて勉強再開する。撃沈というよりも自爆だけど。

もちろん、これで冬雅が告白まがい?

をやめるわけがない。数時間後。


「お兄ちゃん。その・・・また

泊まってもいいですか?」


「駄目だよ。女子高生が軽々しく

泊まるなんて」


ソファーで肩を触れる距離で会話をしていた二人。

ワタシはそれを冬雅の隣で横目をチラッと見て

正面の液晶テレビを向く。


ブルーレイボックスの

バトルスピリッツ少年撃破ダンを

鑑賞していた。


(ワタシもアニメオタクだと自負しているけど、これは知らなかった)


塾や自宅の勉強以外を今期の

アニメや時々、再放送もそれなりに観ている。


アニメオタクと呼べるほど

詳しくないけど、バトスピ(略称らしい)というアニメ知らなかった。

それと、お兄さんがワタシ達に

頑張った褒美に用意したもの。


(お皿にヨーグルトと大根おろしを皿に入れてハチミツを混ぜった簡単なもの。如何いかにも

不味そうな見た目なのに。

それが・・・こんなに

おいしいなんて!?)


ヨーグルトに大根おろし加えたことで

食べごたえのある食感で

次にハチミツの甘さが広まる。

さっぱりとした味になった。

スイーツと同等レベルのうえ、

どれも健康に必須的!


(おいしい・・・だけどお兄さんには言いたくない!)


謎の抵抗感で葛藤していると、アニメは流星王メテオヴルムの召喚シーン。

天から複数の流星が落ち爆炎に

包まれいき、土煙が晴れると龍が現れる。

カッコいいシーンだとワタシの心は

輝いていた。


「お兄ちゃん。バト・・・・・スピ

でしたけ?わたし興味あります!」


冬雅はキラキラとした目で目上げて言う。


「そうか・・・なら、俺の部屋に

古いけどデッキがいくつか

あるから、あとでデュエルでも

する?」


「はい!初めてカードゲームします

けど、お兄ちゃんとなら

楽しみです!」


冬雅は、想ったことを隠さずに

お兄さんに言えて羨ましい・・・

ちがう!?うらやましくない!

それに、二人が幸せそうに話を

している中で話を入るのは

気が引ける。


勝手にお兄さんを猜疑心さいぎしんを向き出して冬雅を護ると

義憤を燃やしているワタシが

一緒に楽しくする権利は

ないかもしれい・・・・・

二人とも理想的な関係でワタシがつけ入る隙がない。


「平野さん。よかったら冬雅と

デュエルしませんか?」


「へっ?ワタシがですか!?」


お兄さんの視線は冬雅から、ワタシに向けて声を掛ける。思慮深い人だな。


「いいわよワタシは!

冬雅にわるいですし」


「わ、わたしは別にそうでも・・・」


嫉妬するべき所をところを冬雅は不安そうに浮かべていて、どうしてそんな表情するの。


「・・・平野さんは、楽しそうに

観ていたのでデュエルしたいかなと

思って。えーと、どう

言えばいいのか私が相手だと

うまく教えれないし、

初心者同士なら教えやすいんだ」


「・・・ふーん、そこまで

言うならデュエルしてもいいわよ!」


ツンデレな返事になって恥ずかしくなるけど、二人は快く返事する。

ハモったことにワタシは

複雑な気持ちになる。


デュエルする約束してから手にあったデザートようなヨーグルトを食べ終え、アニメの次回予告を

観て電源を消したお兄さん。

時間も忘れお兄さんに教えてもらいながら冬雅とデュエルするのだった。


「はぁー、お兄さんなにやって

いるのですか?冬雅がいるのに」


「あー、うん。そうだね」


闇夜に月が照らされる時間になるまで

夢中で冬雅としては、お兄さん交代してデュエル熱中していた。


そして、ワタシが帰路に就こうと

すればお兄さんが家の近くまで

送ってくれる。

この間だけは、ワタシとお兄さんの

二人だけになるわけで・・・・・


「お兄さんって、仕事とかどうするんですか?」


「え、えーと。なんとかするよ」


スゴく歯切れの悪い言葉だった。

きっと、未来的に考えていないのよね

これだと。


「お兄さんって見た目とは裏腹に

器用だし、頭も悪くないし

顔は普通よりも下で引きこもって

肌がキレイだし。

お嫁さん的なポジションを

狙っている?」


もし、冬雅が結婚すれば働くかもしれないけど未来がどうなるか

想像が出来ない。・・・心が痛い。


「いえ、結婚相手に他力本願は

現実的じゃないと思うけど」


そういうけど、冬雅が社会に出て

活躍すれば現実味がある・・・

どころか確定される未来では?


「・・・平野さん気のせいかも

しれないけど、遠慮とかしていま

せんか?」


「はぁ!えんりょしていない。

勘違いだから!!」


的を射た質問に驚いたワタシは、

誤魔化そうとして悩み憤っていた強めの語調で

否定をしてしまった。

・・・本当は別の言い方がしたい。


「そうですか。でも元気がないと

私も落ち込むよ。

だから、冬雅ほどじゃなくても

相談とか愚痴は聞きますよ。

それに、国語や社会なら教える

ことは出来ますよ」


癇癪かんしゃくを起こしたのに

明るくワタシに励まして優しく

微笑んで言ってくれる・・・・・

それだから、ワタシの心が乱れるのに


「・・・・・だ、だったら

手を繋いでくれる?」


「・・・・・えっ?」


「ごめん。今の冗談だから!

はは、なにを真に受けて・・・え?」


右のてのひらに暖かい感触と

落ち着く形容し難い何かを感じる。

ていに言えば、

安心できる優しくて、ぬくもり。

それが、なにかは視線を動かさなくても理解できる。

本当に手を繋いで・・・・・


「わああぉぁぁぁーー!?」


「ご、ごめん。本当にごめん!」


咄嗟にワタシが離して叫ぶと、

お兄さんは悲鳴を上げたのだと

誤解させた。ちがう!本当は

驚いただけで、本当は歓喜を上げる

ほどに嬉しいのだ。


「・・・いいわよ別に。

それよりも、どうしてワタシの手を

繋いだの?冬雅が悲しむよ」


「い、いや!そんな気持ちで

繋いだんじゃ」


どうしてだろう。早く否定されると

悲しくなる。それだと、ワタシに

恋できないみたいじゃない。

お兄さんは、しばらく言葉を紡げず

しどろもどろ。

少しの時間で整ったのか、口をおもむろに動かす。


「平野さんも冬雅と同じくらいに

大事だからだよ。

最近は、苦しそうで言葉にするのが

困難なのが・・・なんとか

したいんだ」


「そう。ふーん、大事なんだ・・・

それじゃあ、今度こそ手を繋いで

くれる・・・・・ワタシが

いいって言うまで・・・離さないで」


どうしよう。後からになって

冬雅みたいな告白を言っているようで強い愛情だ!

ここから、消えたくなるほど

恥ずかしくなる。


「わ、わかった。では・・・・・

行きます!」


強張っているお兄さん。それを

逸していたワタシは視線をチラッとなんとか動かすと

イメージ通りで頭が真っ白になる。


「・・・・・あっ・・・・・」


「平野さん?」


「な、なんでもないわよ!

それと、お兄さん平野さんはやめて

ください。ワタシだけ距離感を

・・・・・感じます」


これも、最後を発すのに顔を逸らさないといけなくなる。どうなっているの

今日のワタシは!!


「ああ、わかったよ平野」


「できたら、冬雅と同じ下で!」


「わ、分かったよ・・・真奈まな


「・・・は、はい。えっへへへ♪」


家が近づくまで、ワタシはお兄さんと

手を繋いで歩く。

鼓動が早く鳴っているのを感じる。

この正体を知らないけど

幸せで仕方ないから別に考察しなくていいか。

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