第19話サーマなので、水着デートしかない!

この時期は夏休みが入り毎日、冬雅が訪れるようになった。平野さん時々であるけど遊びに訪れる。

そんな夏休みを久し振りに実感させてくれた冬雅と正午の食卓を囲みアニメを観賞していた。


「いやぁー、お兄ちゃん

面白かったね。ジョジョ」


「まぁ、そうだな。面白かった」


芸術の域にたどり着けた数少ない作品がジョジョであろう。実際に美術館もあるほど素晴らしい作品だ。


月並みで短い感想を述べる。

語彙力は、ある方だと思うけど

飾ったりするのが好きじゃなく

俺はいつも簡潔にするのを好む。


「ふーん、第3部ですか。

それにしても、お兄さんって

ジョジョのファンだったんですね」


興味ないようで、何処かうずうずしている平野さん。


「んー、別にファンと呼べるような

ものじゃないけど。

知っているのはアニメだけで

原作のマンガは、まだ少しだけだよ」


とくに第一部しかまだ読んでいない。いつかは読破しようと決めているが、なかなか実行していない。


「いえいえ、お兄さん。

ファンは、イコール詳しいとか

知識が豊富とかそういう訳じゃ

ありませんよ。

少なくとも、ワタシはそう思います」


清楚系のギャルの見た目に反して

怜悧れいりな判断力に

目を見張るものだった。

そのため、こんなことをつい顔を出てしまう―――


「へぇー、そんなに驚くの?」


「えっ、あ・・・いや」


どんな人物かをイメージ像を

一部、読まれたようで機嫌を損ねて彼女は半眼を向けてくる。


「ご、ごめん・・・できることなら

なんでもするよ」


「なんでも・・・」


リビングテーブルの左に座る平野さんは、思いがけもしなかった

言葉だったようで真剣な表情になり考察を始めた。意外な反応に軽はずみに発言したことに後悔する。


「お、お兄ちゃん!どうして

そんな言葉を言うんですか!?

そのセリフは、わたしに言って

欲しかったですよ」


「も、申し訳ありません」


冬雅は願望をまったく隠すことなく人差し指を向けて上下に勢いよく振る。年齢低下現象が

起きたなぁと俺は思った。


「それじゃあ、ワタシが求めた

ときに断りなしで、すぐ

駆けつける・・・やっぱり無し!

勿体ない・・・これは、有耶無耶うやむやで終わるパターンになりそう。

えーと、なにしようか?」


真奈の迷い悩みからして今更いまさらと無効は無効だろう。

できることなら――と言ったつもり

だけど、拒否する権利を剥奪された

ような話に進んでいないだろうか?

そうだとすれば何か手を打たねば。


「そ、それよりも冬雅は

今日なにをしようか?」


話題転換・・・を悟られないよう

自然に尋ねてみた。そのうえに冬雅の機嫌を取れ、俺に惚れさせようと実行にも対策にある程度だけど対策を練るために確保できる。


「そうですね・・・こうして

見つめ合うこともありかな?

思ってるけど、夏なので海とかに

行きませんか?」


真奈は冬雅の影響を受けたようだ。


「おぉー!海・・・それじゃ

みんなで行こう」


「い、行くんですか!?」


作戦は失敗。話題転換できたが

今すぐ海にGOというリア充、並みの行動力に俺はおののく。


「そうか、二人とも楽しんでねぇ」


外が好き種族アウトドアではなく賢人は家を好むインドアなので行きたくなかった。


「いやだよ。お兄ちゃんも来てぇぇーー!」


冬雅は駄々をこねる子供にみたいだ。


「ワタシ達だけだと、ナンパされる

危険性もありますのでボディガード

としてお兄さんも同行ですよ」


・・・外堀を埋められ内堀も埋められ

裸状態に陥られた。

いや、そう考えているか駄目なんだ。

また、堀を作ればいいのだ。


「ほ、ほら。俺が行くと変な噂とか

流れる可能性があるよ。

それに見せられる身体じゃないし」


「いえ、わたしは変な噂なんて

気にしませんよ。そ、それに

お兄ちゃんとなら・・・えへへ」


「あー、幸せだね冬雅は。

お兄さん!

どうせ成人男性が気にするのは

淫行とか援助交際とか疑われるのが

怖いんですよね?

そうなったら、助けますので

安心してくださいお兄さん」


助けてくれると素直に信じるわけにはいかないのだけど。

俺の心配を他所よそに向かいの冬雅が顔を赤くして俺と行くのを楽しみにして妄想している。

平野さんは力強く守ると宣言。

年上なのに鼓舞されるなんて。


「気持ちは嬉しいけど・・・

俺は大人だから」


「そう。でしたら、なんでも従う

権利を行使させてもらうわ」


それが、決定打となり俺も同行

することになるのだった。

なんでも言うことを聞くがここでと

思ったが、悪くないと

爽やかな気持ちでそう思うのだった。


都内にある大きな海に向って電車、バスで乗り継ぎして移動。

覚悟していたが緊張する。

こう、好意を向けられる女の子と

行くのが人生で初めてもある。


冬雅は麦わら帽子と白のワンピースという夏シンプル衣装。

隣を離れずにいる平野さんを超える眩しい笑みや

ときどき告白など敢行しては

返事する前に顔を赤らめ俯く。


らしいのだけど、外では告白は

控えてほしいなぁと俺は思うのです。


平野さんの格好というと

ボロシャツとフレアパンツ。

ラフな格好が、彼女らしい。

似合うか詰問?され可愛いと

率直な感想を言うと

珍しく照れていた。


一瞬、好きなのかな?とよぎたが

いちいち恋愛になるなんて単純な推理に心の中で苦笑する。

普通に可愛いなど褒めなれていないだけだろう。

恥ずかしそうに訊かれるのも

オシャレな格好を選ぶ経験もなく

この反応だろうと納得する。


バスを降りて徒歩3分程度で目的地は到着。

平日の夏休みは思ったよりも人が多かった。主にファミリーや学生など。


「んぅ~、輝く太陽。

さわやかな風が気持ちいい、

おいしい。あとは・・・・・

渚と喧騒が真夏だと告げている」


「うわぁー、詩的な言葉だね真菜」


冬雅は苦笑していた。俺以外には基本的にドライな冬雅。

無理しての賞賛をしていると表情で悟る平野さんは複雑そうに

微苦笑をする。


「そうだ。お兄さんもここで詩を!」


からかい成分が九分九厘くぶくりんに歪む頬をする平野さん。つまり99じゃなく100%。

無茶ぶり過ぎでは。


「え、えーと・・・

夏の声と暑さを体感できる

順風な海に思いを馳せる」


「プッ!なにそれ?あはは」


哄笑を遠慮なく上げる。

わ、分かっているよ詩なんて才能が無いのは・・・と軽度なうつになる。


「わたし、お兄ちゃんの詩には

心が震えました。やっぱり

わたしが大好きになった器です」


「あ、ありがとう冬雅」


先まで苦笑していた冬雅は、明らかに下手な俺の詩を目を輝かせ

称賛する。


「あっ、やっぱり冬雅は

お兄さんを・・・恋をすれば

盲信になるんだね」


呆れながら嘆息をこぼす。そのセリフを聞こえた冬雅は顔を赤くなり恥ずかしそうに俺を見上げ上目遣い。

その反応に普通の告白よりも羞恥に悶えるのはなぜだろうかと首を

傾げたくなる。

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