第119話 掃除と運命(ラッキースケベ)
僕の所属するクラスでは男女別で5人に分れ、教室の掃除を週替わりに行っている。行っているはずなのだが、12月からクラス中から子ども扱いされている僕は、
「宇宙町くんの掃除の班なんだけど、星降町さんと一緒の方がよくない?」「たしかに、宇宙町くんてば、小さい子だし」「だね、怪我したら大変」「保護者の星降町さんと一緒の方が安全だよね」「なんでもっと早くそうしてあげなかったんだろ」
――などという多数の意見から璃月の班に混ぜてもらうことになっていた。
・・・・。
・・・・おかしくない?
これ先生の許可とかとってないし(普段は先生の話を一切聞いてない)。
僕と璃月以外のクラスメイトで話されてたし(珍しく璃月が関与してない)。
何より12月まで璃月がいなくても、1人で掃除やってたのに‼
みんなの心の中では、僕がちゃんと掃除してないと思ってたのかな・・・・。
ちょっぴり悲しくなっちゃう。
というわけで、お家に帰ったら璃月に慰めてもらおっ♪
たいして悲しんでいない上に、璃月と同じ班になれたのはとっても嬉しいのが僕の本音。とりあえず、12月まで1人で掃除ができていたことは黙っておく。
何はともあれ、今日がその掃除当番の日だ‼
「はぁー、鳴瑠くん。私ね、今から始まるお掃除で心配なことがあるんだ・・・・」
ホームルームが終わって掃除の班の子たちと集まる折、近くの璃月――否、抱き着いてきている璃月はそんなことを言ってきた。
えへへ、璃月に抱き着かれてる。
なんて、浮かれてる場合ではない‼
クラスメイトに子ども扱いされて掃除ができないと思われるのはいいが、璃月にだけは嫌だ。確かに僕は、彼女に子ども扱いされながら甘えるのも好きだし、年上のお姉さん風にえっちなことをされるのも大好きだ。毎日されたいまである。
だけど、ちゃんとできることは知っていてもらいたい。
知っていてもらわないと褒めてもらえないし、何よりこんな僕でも大好きな女の子の前でカッコつけたい気持ちはもちろんある。何より璃月にだけはちゃんとわかっていてほしいと思ってしまう。だから、涙目で抗議してしまう。
「ぐしゅり・・・・もしかして璃月も僕が掃除できないと思ってるの!?」
「そんなことないよ。私は鳴瑠くんがちゃんとお掃除できる偉い子だって知ってるよ。教室のお掃除当番も人一倍がんばってるの見てたもん。録画してたもん」
そう言えば、僕が掃除当番になると決まって璃月は、ビデオカメラを回してたっけ。あー、懐かしいなぁ。ちょっぴり掃除の邪魔になっていたのを思い出す。
まぁ、それはいいとして。
璃月にちゃんと見ててもらえたのが嬉しくって、ニヤけてしまう。
「えへへ、偉い子だなんて言い過ぎだよぉー」
「鳴瑠くんはとっても偉い子。だから、よしよししたあげる」
「えへへ、撫でて、撫でて」
「よしよし」
「もっとぉー」
「いーよ」
璃月は僕が満足するまで撫でてくれる様子。
とりあえず、しばらくは満足しないので、撫で続けてもらおう。
このまま、話を進めることにした。
「それで璃月。璃月は何がいったい心配なの?」
「そんなの決まってる」
「?」
「これから鳴瑠くんは私のいる掃除の班に入るんだよね」
「そうだね。すんごくよくわかんない経緯だけど、そうなったね」
「てことはだよ、ようするに女の子だけの班に入るってこと」
「あ、もしかして浮気の心配かな。僕、そんなのしないよ。だって、璃月のことが大好きだし。不安ならぎゅーってして、ちゅーしてあげようか?」
「私、別に鳴瑠くんが浮気するなんて微塵も思ってない。だって鳴瑠くんは私にゾッコンだもん。でも、ぎゅーとちゅーはして、してして」
ご要望にお応えして、ぎゅーして、ちゅーをしてあげる。
してから思い出す。
あれ、僕って璃月に結構な頻度で浮気を疑われてなかったっけ?
もはや、浮気疑惑シリーズとか、シリーズ化していたような。
その対象は、概念だったり、璃月自身だったり、身体の部位だったりと、本気で疑ってるラインナップではなかったけど。だからノーカンになるの?
僕の疑問はさておき、璃月が何を心配しているのか聞くことにする。
大好きな璃月の悩みをはやく取り除いてあげたいからだ。
「それで璃月は何が心配なの?」
「何を心配してるのかなんて、決まってる。女の子だらけの班に入った鳴瑠くんが、ハーレム主人公が如く、ラッキースケベを発動しないかだよ。私以外の女の子とえっちな展開になるなんて、絶対に許せないんだから。するなら、私として‼」
ふぇぇん、璃月のえっちな願望がガッツリでてるよぉー。
とりあえず、今に始まったことではないが、彼女がえっちだということは確か。
ここまでくると、ちゃんと掃除ができるか心配された方がよかったかもしれない。あわよくば、心配だからという名目で、掃除の時間中ずっと付き添ってほしい。
「そんなの起きないよ。璃月のド変態‼」
「私はえっちくないもん‼」
「えっちくない子はね、ラッキースケべが起きる心配なんてしないんだから」
「えっちくなくても心配する子はいるもん。マンガに出てくる『えっちなことが嫌いな風紀委員長』とか。その子、えっちくないのに主人公に、ラッキースケベでえっちなことをしないように、注意してるのよく見るもん」
「マンガを例に挙げられても困るよぉ!?」
それに大抵そういうキャラって、ムッツリスケベじゃない?
何より璃月って、えっちなこと大好きじゃん。ムッツリツキじゃん。言いたいこと、ツッコミたいことは山ほどあるが、これ以上は泣いちゃうからやめとく。
「鳴瑠くんはわかってないよ。君の立場ってものが」
「僕の立場?」
「うん。鳴瑠くんはね、2つもラッキースケベが起こりうる条件を満たしてるの」
「なにその条件って。そんなのあるの?」
「あるよ」
堂々と宣言されては、否定もしづらい。
何より、悲しくなる条件だと、聞く前から薄々わかってしまう。
だが、大好きな璃月の話だ。この僕が聞かずにいられるわけがない。
覚悟を決めて、その条件とやらを聞くことにした。
「まず、鳴瑠くんは今回、男女比がおかしいグループに入ることになったでしょ」
「たしかにラッキースケベを起こす主人公って、男女比がおかしいグループにいつもいるイメージはあるかも。で、もう1つの条件って?」
「決まってるよ、鳴瑠くんには男友達が少な――あ、友達がいないでしょ」
「僕には璃月がいるもん‼」
「そうだね、私がいるね、おいで、おっぱい飲む?」
「飲む‼」
大好きな子に鳴かされるのは好きだけど、泣かされるのは勘弁したい。
何より、男友達どころか、女友達もいない。
むしろ、当てはまってないまである。
とりあえず、大好きな璃月がいるから友達いなくても気にしないもん‼
頭を撫でられながらおっぱいを飲んで元気を取り戻すと、僕は訊ねることにした。
「そもそも、璃月はどんなラッキースケベが起きると思ってるのさ」
「えー、そうだね。例えば、箒の柄の部分で無意識にスカートめくったり。ちりとりでゴミを取ってる子がしゃがんでて中が見えたりだとか。あとは急に何もないところで転んで、物理法則を越えて女の子に覆いかぶさったり、だとか?」
百歩くらい譲って、ちりとりまではいいよ。
そこまでは許容できる。
けど、その次は意味がわからないよぉー。
急に何もないところで転んで、しかも物理法則を越えて女の子に覆いかぶさるだなんて。そんなことが起きるとは思えないよ、まったくもぉ。
アホ毛が日常的に物理法則どころか、髪の概念すら超えてることに僕は目を瞑る。
にしても、ラッキースケベ、か。
どんな感じなのかな。
僕ってラッキースケベとか関係なく、おっぱいをおねだりしてるし、璃月のブラウスやスカートの中、ましてや璃月が裸で寝てる布団の中に入っちゃうし。タイツをぺっちんしたり、一緒にお風呂や、ちゅーや抱き着いたりもしている。自分の意思とは関係なく、それらが起きることに対して、ピンときていなかった。。
もはや、璃月に本音を話してえっちなことをする。
それに僕は美学があるんだ。
と、適当なことを思うそんな時、僕は急に背中を押されて璃月に倒れ込む。
「はわわわわわわぁ」
――ぽふっ。
倒れそうになるのを予期していたように璃月は僕をおっぱいで受け止めてくれ、そのため、彼女は僕をおっぱいに着地させてくれた。
りちゅきのおっぱい、ふかふかぁー、ずっとここにいたぁいなぁー、えへへ。
はわぁっ、これがらっきーすけべ、ってやつかぁ‼
予期せぬ形で璃月のおっぱいが味わえる。
妙なお得感があって、ラッキースケベもいいじゃん(切実)。
僕は速攻で考えを改めました、はい。
新たな価値観を得たことなど知る由もない璃月は、僕に言う。
「ほらぁー、ゆわんこっちゃない。ラッキースケベの波、きてるじゃん‼」
「ふかふかぁー、ずっとここにいたぁい」
「もぉー、いてもいいよ」
「えへへー、わーい、わーい、今日からここが僕のおうち」
うりうりーと、顔を動かして璃月のおっぱいに甘えて楽しんだ僕は、そんな文句を聞いてはいない。何はともあれ、
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