最終章part10『自殺未遂の真相』

蘭:大学病院 一般病棟 病室 夕刻


 蘭です。

 お姉ちゃんは一命を取り留めましたが、まだ意識を取り戻してはいません。

 もしこのまま永久に目を覚まさなかったらどうしよう?

 流石の私も不安です。


 私が病室のイスに座り、姉の事を見ていると、犬伏真希さんが入ってきました。


「蘭ちゃん」

「犬伏さん。どうかしましたか?」

「いや、アミリンの事が心配で、お見舞いに来たんだ」

「姉の事より、ご自身の事を心配してくださいよ」

「そうだね・・・まだちょっと傷が痛むけど、でも平気だよ。動けるし」

「どうして自殺なんて、愚かな事を・・・」

「違うんだよ、蘭ちゃん。あたしは自殺なんてしたくなかったんだよ」

「何を言ってるんですか?」

「なんかね、DVDを観たら、突然腹を刺したい衝動に駆られてさ・・・それで」


 何ですって?


「そのDVDはどこにあるんですか?」

「まだあたしの部屋の再生機に入ってるよ」

「ちょっと中を改めさせてください」

「いいよ」


 私は犬伏さんと共にお姉ちゃんの病室を後にしました。


蘭:長畑の家 犬伏の部屋内 夜


 蘭です。

 白手をつけてDVD再生機からDVDを取り出すと、ノートPCに差し込みました。

 編集ソフトを使って中身を慎重にチェックしています。


 ありました。


 およそ0.1秒毎に、尖った物で腹を刺せ、という文字が入っていました。


「何これ、怖い」

「真希姉さん。これは一体どこで手に入れたんですか」

「家に送られてきたのを観たんだよ」

「送られてきた? 差出人は?」

「書いてなかった。白い封筒に入っていたの」

「・・・」


 これは、あの3U事件のときの物と同じ物の可能性が高いですね。

 ということは・・・一体この事実が意味する事は、果たして何でしょう。

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