第二部第三話part11『衝撃の一夜』


蘭: 真琴のマンション510号室 前 通路 午後


 

蘭: 真琴のマンション510号室 前 通路 午後


 蘭です。もうすっかり日が落ちていますが、まだ午後です。

 私は犬伏さんの依頼を片付けるため、稲葉真琴さんの住むマンションにやってきました。


 部屋の前に来ました。

 ガスのメーターが動いている、どうやら室内にいるようですね。


 私はドアに耳をあて、中の様子を聞こうとしました。

 すると、何やら大きな話し声が聞こえてきたではありませんか。

 何やら女性と男性が揉めているようです。 



「どういうこと! 約束したじゃない。やることやったら加入してくれるって、

 それなのに逃げるなんて、あなたひどいんじゃないっ」

「マルチ商法だとは知らなかったんだっ俺を騙したのはお前の方だっ」

「何言ってるのよ! このボケナスッあたしを弄んで」

「やめろっ警察を呼ぶぞっ」

「うるさいっ」


 マルチ商法・・・。


 まずい、足音が近くなってきた。男が部屋から出てきそうです。

 私は駆け足でその場から退散しました。


 しかしどうやら真琴さん、人集めによからぬことをしているようですね・・・。


犬伏:犬伏の部屋内 夜


 犬伏です。家に帰ると、蘭ちゃんが部屋で勉強していました。


「あっ蘭ちゃん。着てたの?」

「お帰りなさいませ、真希姉さん。」

「蘭ちゃん酷いよ、LINE未読でスルーするなんて~~返事待ってたのにっ」

「すいません。ちょっと忙しかったもんで」

「で、真琴のところに行って来てくれた?」

「はい」

「どうだった??」

「どうやら、彼女、マルチ商法に嵌っているようでした」

「まっまっマルチ商法!? それってねずみ講じゃんかっこわっ」

「いえ、日本ではねずみ講と似ているので偏見を持たれがちですが、連鎖販売取引の規制対象になっている商法の一つです。

 規制は受けていますが、違法ではありません。大学の商学部でも学ばれており、

 海外では割とポピュラーなビジネススタイルの一つです。」

「へえ~~蘭ちゃん物知り。頭いいんだね~~」

「それよりも、問題なのが、人の勧誘方法でした」

「真琴は何やってたの」

「大変言いづらいのですが、どうやら出会い系などのアプリを使い、男性と関係を持って勧誘していた可能性が考えられます」

「そっそんな!? 真琴が、そんなことっ」


 あたしは今すぐ真琴のところへ行こうと身支度を整えたけど、蘭ちゃんに制止された。


「ちょっと待ってください犬伏さん。今動くのは得策ではありません。時期を見て、二人で彼女の家に乗り込みましょう」

「蘭ちゃんがそういうなら、そうする。」

「とりあえず、動くのは牧野さんのライブが終わってから、ということでいいでしょうか。私も準備の件で今大忙しなので」

「うん、いいよ。それにしても、マルチって怖い・・・」

「・・・」


東矢:ジャズバー 夜


 東矢だ。

 森羅さんに牧野さんがライブをすることを伝えた。

 すると彼女は俺にある物を手渡してきた。


「これを、玉藻にあげてくれないかな?」


 それは、ギターとベースが一緒になったツインバレルの楽器だった。


「これを、牧野さんに・・・?」

「そう、ヒガシ君からって事にしておいて」

「解りました、必ず渡します」


牧野:レインバス社内 休憩室 昼


 牧野です。

 東矢さんからプレゼントを貰いました。

 それはギターとベースが一緒になったツインバレルの楽器でした。


「こっこんな高いもの、いただけませんよ」

「いいんだよ、貰ってくれ。当日、頑張るんだよ・・・」

「ありがとうございます、東矢さん。使わせて頂きます」


 ツインバレル・・・ゴクリ。



網浜:警視庁小野木佳代自殺事件捜査本部内 夜


 アミリンです。ただ今警察のネットワークに潜入して情報を漁っていました。

 そしてついに辿り着いてしまったのです。衝撃の事実に・・・。


「そんな、まさか・・・・東矢さんが?? 森羅聡里と・・・」


 これには流石の凜も動揺してしまいました。


牧野:牧野の部屋384室内 深夜


 牧野です。夜なのでベッドで眠っていたのですが、騒ぐインコちゃんに起こされてしまいました。


「あ~もう、うるさいな。静かにしなさ・・・」


 上半身を起こした私の視界に、白い影ですが女性と思われる幽霊が入っていました。


「あっああ・・・・」

「悔しい・・・私は殺された・・・私は、殺された・・・」


 私はあまりの驚きにショックを受け、気絶してしまいました。

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