第85話 魔王降臨
第85話 魔王降臨
グジュグジュと気持ち悪く固まっていった3人のB組の生徒たちは、次第に形を成していく。
「ちょっと、なんであそこからこの形になるわけ?」
メルは、しばらく様子を見ていたが完成した姿を見て唖然としている。セインは、ようやく覚醒して、
「んと・・・メルさん・・・。なんで目の前に、伝説の魔王がいるのでしょう・・・??」
そう、二人の目の前には、魔王『シュテインベルク』が立っている。以前、勇者アーサーが命と引き換えにに倒したはずの、【魔王】であったとされている最強の魔族である。(世間にはそう公表されている・・・)
王都美術館に飾られている、勇者アーサーが、戦った様子とされている絵は、王都民を含め周辺諸国でも有名な絵である。そのため、王都の学院に入る生徒たちの大半はその絵を目にし、いずれは新たな勇者と一緒に冒険に出ることを夢見ていた。
そのため、勇者アーサーに倒される『シュテインベルク』の姿も知っているものが多かった。
「えっと、メルさん・・・。僕たち二人で、魔王を倒さないといけないんですかね・・・。」
「だっ・・・大丈夫よ!私だけでも倒せるわよっ!」
メルは、強がってそう言うが手にもつ短剣は震えている。セインは、ユウキに助けを頼もうというも、メルは倒せると言ってきかない。多分ユウキは何かあれば駆けつけてくれるだろうと、セインもポシェットから丸い球を手にいくつか取り、魔王に向けて投げつける。
セインが投げた丸い球は、それぞれ、鳥、ウサギ、ネズミ、蛇などに姿を変えて魔王へ向かっていく。
「ねえ、、、何それ?」
メルは、セインが何をしているのか分からず聞くも、セインは、フフッっと笑いながらさらにいくつかの丸い球を投げていく。牛、馬、ヤギ、こうもりなどに変形していく丸い球。
魔王の近くに行くとそれぞれが魔王の体にまとわりついたり周りを駆け回ったりしている。
ボンッ!ボボン!ボボボン!ボーン!
それぞれが、魔王『シュテインベルグ』の体や周囲で爆発を起こす。
『ぐぎゃぁぁぁ・・・!!!』
魔王は、爆発ぐらいじゃびくともしないはずだが、セインの作った爆弾でかなりのダメージを負っている。顔は半分吹き飛び、腹部からは内臓をまき散らしている。
「ど・・・どういうことなの?あれくらいで・・・?」
メルは、かなり悲惨な状態になった魔王を見ながら、何が起きたのか分からない。
「うん。多分なんだけど・・・。さっきメルが3人の生徒が合体した姿だって教えてくれた時に、魔王の力は持っていないんじゃないかなって思ったんだ。もし、魔王の力や頑強さがあればあの爆発じゃどうにもならないだろうって試してみたんだよ。」
セインは、自分の考えが正しかったと思いメルに、とどめを頼む。メルは、Bクラスの生徒だよ?と言っていたが、どう見ても元に戻れる状態でもなく、ただ苦しんでいるだけなので放置しても助からないとセインが説得する。
『グギ・・・ゴフッ・・・』
しばらくごねていたメルだったが、いよいよ苦しみだした『魔王』の姿だったものが形を保てず崩れていくのを見て、風の精霊の力を乗せた一撃を放つ。
『グウォォォォォ・・・・・・・。』
断末魔を上げながら『魔王』であった者はボロボロと、崩れ落ちていった・・・。
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