第84話 異様な姿
第84話 異様な姿
各場所でほとんど戦闘状態に入り、金龍と同じように圧倒的力や能力を軽々といなされていた。
~セインとメル~
王都内北部の林方向に、狩人のメルと技工士見習いのセインは向かっていた。
「セイン君、もうちょっと早く走れないの?」
メルは、狩人のスキルである【高速移動】で通常の2倍のスピードでの移動が可能なのだが、このスキルは本人のみのスキルであるため他の人がいると使えないものになってしまう。
「ん~。走らなくてもよければ多分ついていけるかな?」
セインは、メルが少しイライラしていることに気付き、昨日仕上がった背中のリュックのボタンを押す。
「メルさん、今日、初めて使うので制御できるか分からないから、何かあったらお願いしますっ!」
パタン。ガタゴト。シュピーン。
ボタンを押したリュックが、展開していく。
大きな羽の着いた鉄製のものが、セインの背中いっぱいに広がり
「んと、方向を北に設定してっと・・・では、メルさん行きますねっ!」
セインは、メルに告げると、手元に来たハンドルの先にある赤いボタンを押す。すると、背中の真ん中と両翼の先端に着いた3つの噴射口から勢い良く炎と煙が噴き出す。
「なっ!セイン君それ何なのっ!?えっ!浮いてる???」
セインの身体は、背中のジェットエンジンで空高く上がっていく。そのまま、北の林へ猛スピードで飛んで行った。
「あ・・・アァァァァヴァァァ~~~~~・・・・」
ヒューン・・・・ガサガサガサッ・・・
セインのイメージでは、垂直にスピードも一体のスピードでメルの速さについていく程度のつもりであったが、エンジンの制御ができずに猛スピードとなり、さらに姿勢制御を考えておらずクルクル回りながら飛んでしまったため目を回して林の木に突っ込んでしまった。
「ちょっと・・・ちゃんとどうなるのか教えてから使ってよねっ!」
ようやく、セインの不時着現場に追いついたメルは、セインの身体を木の上から降ろしながら文句を言っている。セインに、大きなけがはないが目を回してフラフラな状態であった。
メルが、セインの身体に着いた、木の枝や木の葉をとっていると、
「ゼェハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・や・・・やっとお・・・やっと追いついた・・・。」
森の入り口のほうから3人組のBクラスのメンバーが追い付いてくる。本来森に入る前に攻撃を仕掛けるつもりであったが、なんかわからないけど空を飛んで奇襲場所の上空を飛び越えられて、さらに、エルフは目にも止まらないスピードで横を通り過ぎていかれてしまって慌てて追いかけてきていた。
「オ・・・おマエら、フザケタ格好でよグも・・・」
追いかけてきたBクラスの3人の体が、溶けていく。変身しているのだろうが、メルの目からしたら体がドロドロに溶けているようにしか見えない。急激な身体能力の強化と、特殊能力を与えられたために体の機能が追いついておらずしかも、急に走って体力のない状態で変身しようとしたため失敗したようである。
「アゴッ・・・ゴワァァ・・・・ゴゴグゥゥ・・・」
3人の身体は、それぞれの身体を引き込み一つになっていく。
「うわっ・・・キモッ・・・。
あれって、元に戻るのかしら・・・?」
メルは、セインの木の葉を取り去り回復魔法をかけながら敵の様子を見ていたが、体をグジュグジュと音を立てながら徐々に形を成していく様子を見ながら率直な心の声が漏れてしまった。
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