第83話 13人対38人
第83話 13人対38人
ガンゴーン・・・ガンゴーン・・・
正午の鐘の音が12回なったのを合図に、ユウキたちは、決めたとおり2人一組で移動を開始する。学院内にはすでにBクラスの姿はなかった。そのため、移動を見られてしまう不利な状態になり待ち伏せされる危険があった。
「ユウキ君、配置はユウキ君の「移動魔法」で配置してくれればいいんじゃないの?」
メルは、そうユウキに言うが、ユウキは、
「見張りがどこにいるか分からない状態で下手に魔法で移動してしまったら、作戦を感づかれる可能性があるのと、前も話したけど「移動魔法」については他の人になるだけ知られるわけにはいかないんだよ。」
ユウキは、メルにのみだけでなくメンバー皆に向けて再度くぎを刺した。
「じゃあ、みんな、移動中は周りをよく見ながら、違和感を感じたりしたときには即座に対応できるように配置についてね。」
ユウキの作戦としては、中央の噴水公園からできるだけ広範囲に2人一組を配置し相手が集団で襲ってこれないようにした。Sクラスのメンバーたちも、この数日間しっかり訓練と2人での連携の練習もしている。Bクラスに負けるようなことはないと考えていた。
しかしユウキは知っている。大概のこういう話での油断は、負けにつながることがある話が多いことを。なので、とにかく油断しないようにとメンバーに念押しし、ユウキは全員の移動を見守る。【遠視魔法】についても、ランクアップしているため複数のメンバーの行動が頭に映像として浮かんでくる。
~金龍・ホープ組~
金龍がホープの前を走り、北東方向に向かって行っている。金龍は防具は軽装であるが、刀は「名刀:鬼切破砕刀
おにきりはさいとう
」を装備している。実家の家宝だと言っていた。ユウキの目には、名刀というより妖刀のような気配を感じていたが・・・。
移動中の金龍とホープの間に入るように、路地から3名のBクラスの生徒が飛び出してきた。Sクラスのメンバーでさえ軽装とはいえ戦闘装備であるのに対してBクラスのメンバーは皆制服のままであった。
「何でござるかっ!戦う気はないのでござるかっ!?」
金龍が馬鹿にされたと思ったのか、3人に向かって行ってしまう。その隙にホープは魔法薬を準備し、金龍に投げ身体強化をする。
「ホープ殿っ!助かるでござる!」
ホープは、照れ笑いしながらも次の魔法薬を準備している。
もちろん、体格的にも装備的にも金龍のほうが圧倒的ではあるが、ユウキから、金龍は勢いで突っ込んでしまうからと対策を言われていた。
Bクラスの3人に攻撃するころには、金龍の身体強化は済んでいた。金龍は、家宝の「鬼切破砕刀」を抜き3人に目掛け完全に一刀両断する勢いで薙ぐ。
「なっ・・・!?」
金龍の勢いに任せた横薙ぎの一閃は、3人を吹き飛ばすどころか一人のしかも片手さらに素手というあり得ない状態で止められてしまった。
「やばいな・・・。」
ユウキはその状態を【遠視魔法】で見ながら、予想以上にやばい状態であることを改めて認識することになった。
なぜなら、各場所でほとんど戦闘状態に入り金龍と同じように圧倒的力や能力を軽々といなされていたからである・・・。
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