第82話 異様なBクラス
第82話 異様なBクラス
Bクラスとのクラス替え戦は、フィールドを学院全域に指定された。さらに総当たり戦となっており、人数の少ないSクラスのメンバーはかなり不利な状況である。
通常であれば不安に思うところであるが、朝からメンバー全員が案外余裕な表情であった。
「金ちゃん、今日は金太郎装備じゃないのね。金ちゃんのやっぱり金太郎装備を見てみたいわ。」
桜・春姫が金龍をちゃかしている。春姫と金龍は同じ東方の倭国出身者であった。侍と忍者と立場は違うが、倭国の出身者は仲の良いものが多い。
「春姫もそう言うでござるが、その忍者装備は軽装でござらんか。ちょっと露出も多すぎでござるが・・・。」
「そうなのよね。昨日さ、戦闘訓練したじゃん?洗濯してたと思っていた予備の忍び装束が洗濯忘れてたのよね。だから、仕方なくお姉ちゃんの借りてるのよ。」
確かに金龍の言うとおり、目のやり場に困る衣装を春姫は来ている。舞姫より幼いため、まだ露出は控えめであるもののそれでも目のやり場に困る。
それを言うと、うちのSクラスのメンバーは動きやすさ重視の装備の者が多い。Bクラスをなめているわけではないが、Bクラスとの戦闘ぐらいで重装備を着こむほどの怪我はしないだろうと、どこかでみな思っていた。
正午の合図は、王国内中心の鐘で知らされる。Sクラスは、13名であるため、離散したほうがいい気もしたが、ユウキは2人一組での行動をしてもらうようにした。組に関しては、はじめに戦闘訓練を行ったメンバーで組んでもらいユウキは、何かあった時の補助として動くと説明した。
ユウキの転移魔法に関しては誰もはっきりとしたことを知らず、
「ユウキ君はそう言ってくれるけど、悲鳴が聞こえたら飛んでこれるの?」
春姫が、ユウキの説明を聞いたときに突っ込みを入れてきた。
「心配しなくても、大丈夫だよ。こうやって・・・。」
ユウキは、【瞬間移動】魔法を再構築しなおし【転移魔法】に転化していた。瞬間移動は、自身のみに対しての魔法であったが、【転移魔法】にスキルがレベルアップしたおかげで他人でもさらに大人数でも移動を可能としていた。
クラスメイト達の目の前に見た事のない魔法で作られた門が形成されていく。その扉をユウキが開けるとみんなに入ってみるように促すと、出た先は学院長の部屋であった。
皆、こわごわと入っていたが、出た先が変化していることに対し多感期や驚愕の入り混じた表情でユウキを見ていた。一応、副学院長がノーラ先生からも転移魔法についてはクラスメイトにも見せないようにと言われていたが、今回のBクラスの動きに違和感しかないユウキは、皆に自分の能力を一つぐらい見せておくべきだと思ったし、見せないと安心して戦闘ができないだろうと思っていた。
「ユウキ殿、この魔法は・・・世界を変えかねない魔法でござるな・・・。移動リスク無しに戦場に駆けつけることができるとなると、あるいは、攻城戦中に城の中に魔法の扉から攻めることができたり・・・。」
金龍は、想像して言葉に出して身震いしながらユウキに話しかけている。
「そうなんだけど、一度行った所にしか行くことができないのと、全く興味を持たないんだよな。国盗りみたいなことに。だからどこの軍隊にも所属する気はないよ。王都だとしてもね。冒険者として生きていくつもりだからね。」
ユウキの言葉を聞き、全てのクラスメイト達は安心した表情になる。しかし、メルの表情だけは少しほかのクラスメイトと違っていた。メンバーの誰も気づいていなかったが・・・。
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