第70話 教諭紹介


 第70話 教諭紹介


 副学院長は、職員を見回しながら、


「それでじゃ、Sクラスの主任教諭を

【ノーラ・サウザンド】先生に勤めてもらおうと思っておる。

さらに、副教諭として、

【マルス・ホールディング】先生にお願いしたい。」


 突然指名されたノーラは、まさか自分の名前が上がるとは思っておらず


「あわわわぁ・・わたくsxy・・わたくしですかぁぁ!?」


 驚きのあまり、手に持っていた朝食であろうサンドイッチを落としてしまった。

 黒髪にオレンジのメッシュの入った、まだ20くらいの童顔で背の低い女性である。ユウキも、紹介されて失礼とは思うが、正直Sクラスの面々をまとめられるのか少し不安に感じた。


「大丈夫じゃ。マルス先生もついとるし。」


 副校長から呼ばれ、立ち上がったマルス・ホールディングと呼ばれた教諭は、50代くらいの堀の深い顔の初老の男性である。ノーラ先生に比べると2倍くらいはあろうか、巨人族のようで体は年齢を感じさせない筋骨隆々であった。


「ユウキ君に、ユキさん、フユさんだったかな?今日からよろしく頼む。ノーラ先生とともに、教えられることはすべて教えよう。また、他の先生方もそれぞれの授業でお世話になるから顔は覚えておくように。」


 マルス先生は、ノーラ先生に比べるととても先生らしい。


 自己紹介が終わり、ノーラ先生とマルス先生の後ろを3人はついて教室へ歩いていた。

 だいぶ歩いたがまだ着かない。


「先生、まだ着かないんですか?Sクラスってかなり奥にあるんですね?」


 ユウキは、ノーラ先生に話しかけた。それまで、すたすたと先頭を疲れた素振りもなく歩いていたが、


「ハァハァ、そうなんですよ。Sクラスのメンバーは、将来のこの世界を担う勇者候補が在籍することになっているので情報漏洩の防止と、保護のために学院の一番奥に作られているんです・・・」


 ノーラ先生も疲れていた様子で息が上がっている。

 ユウキの【瞬間移動】魔法を使えばすぐにつくのだが、【瞬間移動】自体が珍しいスキルである上に大人数の移動や行った場所であれば大陸間も移動できる魔法は、この世界で使用できるものはごくわずかであり戦争利用の防止などもあり、学院長からSクラスのメンバーと教諭以外に知られないようにとの注意を受けていた。


 もっとも、今はまだ、Sクラスの座標登録が済んでいないため魔法の使用はできない状態であったためあきらめて歩くしかなかった。


 職員室からいくつかの階段と魔法を施された扉をいくつかくぐって、15分ほど歩いてようやくついた。ユウキは心の中で『即、座標登録をしよう』と誓った。


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