第62話 編入試験

 実家に3人の娘たちを連れて帰ってきたユウキに、執事をはじめメイドたちは喜び、父親は戸惑い、母親は3人の娘たちに少し嫉妬のような視線を浴びせたが、3人と話をすると部屋を出て行った。


 しばらくすると母親だけ帰ってくる。


「どうしたの?ママ?あの3人は?」


 ユウキは、先ほどの嫉妬のような殺気のような顔が怖くなり「まさかいじめたのでは…」と思って母親に確認する。

 ステラはユウキの不安そうな表情を見て、優しい声で


「大丈夫よ。ユウキは、心配性なんだから。可愛い娘さんたちにちょっとびっくりしただけよ。桜さんまでご一緒だなんって。ユウキもやるわねっ!」


 母親の表情もいつもに戻っていた。

 母親と話をしていると、メイド長と一緒に3人が帰ってきた。3人とも、ドレスに着替えている。


 屋敷にいる間は、母親が可愛く着せ替えをしたいとの要望を提案されたそうであった。うちには、男の子しかいなかったから娘のような子たちに、可愛いが押さえられなかったようであった。


 ユキとフユ、ついでに桜まで可愛いドレスに頬を赤らめて喜んでいた。どこで聞いたのか、ユキとフユのドレスには胸のところにスパンコールがついていた。二人ともキラキラに喜んでいるように見える。


「ユウキ様、舞姫にまでこんなきれいなものを着せていただきありがとうございます。・・・およめさんみたい・・・キャッ・・・」


 桜が、顔を真っ赤にして何か言っているが最後のほうはよく聞こえなかったので、そっとしておくことにした。


 父親に、学院への編入の件も伝える。帰宅してから、いろいろと起こりすぎて学院の件も承諾してくれた。実は、僕たちが帰宅する少し前に黒いフクロウが来て、入学の件は伝えられていたそうであった。その際は、訳が分からない感じであったが、実際にユウキから話を聞いて納得できたようであった。


 女性陣達は、毎日のようにお茶や温泉など楽しんでいたようであった。1週間ほど滞在して、編入試験があるため王都へ向かう。学院長がユウキの魔法に王都のアラートが鳴らないようにしてくれていたため【転送魔法】で一瞬で宿屋の前に着いた。(王都の魔法防御壁やシステムは、学院長が構築していた・・・)


 とりあえず、宿屋に荷物を置く。【収納魔法】で、何でも持っていけるのだが学園長からの通知で持ち物を何も持たずに来るようにとのことだったため、装備品もすべて置いていく。ただ、初期装備のゲーム時代の装備については取り出すことはできても置くことができないため試験で使用しないようにすることにした。


 学院に着いた4人は、桜以外制服を与えられる。制服に着替えた3人は、黒いフクロウの案内で、外にあるドームの一つに通された。


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