第40話 家庭教師 桜・舞姫(3日目)


 第40話 家庭教師 桜・舞姫(3日目)


 桜先生の故郷の話に、先ほどの出来事は忘れるくらい熱中した。


 桜先生もさっきのとろけた表情と裏腹に、先生モードでまじめな顔つきで話を始める。


「わたくしの故郷は、倭国といい遥か東にあることはお話しましたよね。」


 倭国の、位置や広さなど大まかな地図を紙に書きながら説明してくれる。やっぱり、ちゃんとした地図は無いようであった。


「そこには、君主【汪峨槇・影密オウガマキ・カゲミツ】様を筆頭に、侍と呼ばれる兵士や商人、農民など暮らしております。」


 王国の国王と同じような感じで、君主と呼ばれる人がトップにいてあとは市民がいるような感じだと教えてくれる。

 また、侍は想像通りの「ちょんまげ」でなく髪型は自由だそうだ。(少し残念)

 しかし、服装は、着物のようなものを着て刀も差しているというから一度は見てみたいと思った。

 続けて、忍者について説明してくれる。忍者も男の子心をくすぐる話が多い。


「その中に、約1万名ほどの忍者軍があり、その頭首の【桜・峨朗サクラ・ガロウ】がわたくしの父親です。父上は、その昔に『勇者』様と一緒に冒険もされたと聞きます。わたくしも、いずれはそのくらい力をつけて冒険に行ってみたいと思っております。」


 目をキラキラさせながら、物思いにふける少女のような顔になりながら話を進めていく。表情がよく変わり、またその顔が全部かわいい。


「わたくしも、幼少期よりくノ一になるためにいろいろな修行を受けてきました。父上は女の子だからと、あまり気のりはしなかったようでしたが・・・。修行の中では、戦闘技術はもちろん、男性への対応や拷問や辱めを受けても口を割らない訓練などもありそれが父上は嫌だったようです・・・。」


 修行の内容を聞きながら、森での出来事をまた思い出してしまい話しながら、桜先生は顔を赤らめてしまった。


『なんか、【隷属魔法】であんなになってしまうような子にしてしまって桜先生のお父さんごめんなさい・・・。』


 桜先生はその後も、忍者の武器の使い方や刀と剣の違いなど熱心に講義をしてくれる。時折、気が抜けたように熱い視線を向けていたができるだけ気にしないようにして聞いていた。多分、気にしてしまうと【オート隷属魔法】により無意識でも【隷属魔法】が発動してしまうことに何となく気づき始めていたからである。

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